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《dune》白井桜子

京都芸術大学の卒業・修了制作展の白井桜子さんの展示は作品のボリュームに圧倒される。蛍光イエローの物体が展示空間の半分を占めており、蛍光ピンクの平面作品と対峙する。蛍光色、注意を引くための色、何かを侵食するかのように広がっている。

展示風景, ©白井桜子

展示空間を占める黄色の作品は《dune》とあった。浸食するように広がってきている黄色だが、どこか空虚に感じるのは、それが薄く、空洞に見えるからだろう。表面に盛り上がった痕跡は何だろうか。独特なテクスチャ―は、レジ袋を染めたものだろうかと感じた。マテリアルは化繊だった。レジ袋という印象は遠くなかったようだ。独特のテクスチャが空虚に拡がる様子、これは皮膚であるという。パッチワークで重ねられ、有機的に見える凸凹、女神転生に敵キャラクターとして出現した屍鬼コープスを連想した。コープスはゾンビが集合したモンスターであり、複数の顔や手を持つ。

トラウマを告発するようなステートメント、誰しもが持つトラウマへと連関していくのではないだろうか。

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