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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2021年12月の記事一覧

池上高志+石黒浩 『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』 読書メモ

アンドロイド研究者の石黒浩と人工生命研究者の池上高志による本、両者は正反対の立場から生命とは何か、人間とは何かという点を探求している研究者である。 本書は2016年の実験「オルタ」について触れているが、オルタの報告というわけでもない。専門用語が出てくるが、論文というよりも広く一般に読んでもらうために書かれている。深慮が必要なテーマをとても軽快な言葉で綴っているため、肩透かしに感じるかもしれない。平易に読めるのは助かる。 アンドロイドを人間らしく見せるためにはどうすればよい

2021年のNFTセールスは$22B.

そろそろ2021年はどういう年だったのか、まとめの記事が出てくる。 art newsに掲載されたNFTのマーケットの記事、22ビリオンドルまで拡大したという。日本円だと2.5兆円くらいだろうか。大きな金額、例示も分かりづらいかもしれないが、日本の小売で販売されるパンの規模と近い。(2019年の小売 2.7兆円、富士経済) タイトルの$22 B.から、キャッチ―である。なんと2020年から見て220倍の成長率、まさに新しい世界が始まったというインパクト。 この市場規模はG

KOCAスクール:現代アート/哲学入門:イマジナティヴ・クリエイター・ゼミナール 「ポスト・イリュージョン時代の未来を見る/考える」受講メモ

京急線の梅屋敷にあるKOCA、そこで行われるクリエイター向けの現代アート/哲学入門のゼミがあった。クリエイターは、いわゆるアーティスト、デザイナーに限らないということで、申し込んでみた。講師は映像作家の河合 政之。参加者全てが簡単な自己紹介を行い、”映像のはじまりとは”という問いかけからゼミが始まった。 はじまりは何かという問いかけをすることで、「映像」とは何か?ということを探求しようとする試み。参加者から、それぞれの映像の始まりについて視点や意見が上げられる。具体的な映像