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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2021年7月の記事一覧

桑迫伽奈&イイダユキ 写真展『夜になりすます。』@PHOTO GALLERY FLOW NAGOYA 鑑賞メモ

名古屋の柳橋中央市場にオープンした現代アート写真ギャラリー、FLOWの開廊展覧会に出かけてみた。 年期の入ったビルの2階、一番奥のスペースに隠れ家のようにオープンしたギャラリー、このビルが味わいがあって、ビルの中なのに廊下にカーブがかかっていたり、交換手が待機している電話が設置されていたり、消火栓の扉が黄色に塗られている。 ビルの内廊下にも関わらず、窓があるあたり、増築したのではないかと思われる。このビルの来歴にばかり気を取られていられない。 名古屋で現代アート写真を取

ノア・ホロウィッツのデジタル論 『Noah Horowitz: ‘Digital is here to stay’』

数週間前、ノア・ホロウィッツが、アート・バーゼル・マイアミのディレクターを退任するというニュースが入ってきた。アート・バーゼルも退職するという。2021年12月にマイアミビーチのフェアが始まるため、4か月前の退任とセンセーショナルなリードがついていた。 マーク・スピゲラーが、ホロウィッツの功績を次のように挙げている。 ●マイアミビーチのアート・バーゼルの知名度を上げたこと ●ニューヨークのプレゼンスを確立したこと ●アートマーケットレポートを立ち上げたこと(クレア・マクアン

Gagosian Quarterly「Fashion and Art:Delphine Arnault」メモ

LVMH が何か新しいことを発表すると、ケリングは違った新しいことを発表する。そうした企業の競争、切磋琢磨は世界を豊かにし、消費者にメリットをもたらすとされている。だから独占が法律によって禁止されている。これはファッション企業に限った話ではない。 Facebookを解体するべきという意見は、大量のユーザーを抱えるFacebook、Instagram、WhatsApp を持ち、SNS とりわけデジタルのコミュニケーションのほとんどを独占している。Facebookを離脱した利用

MOMAのテキスト「What NFTs Mean for Contemporary Art」を読んで思ったこと

NFT が注目されて久しい。作品に限らず、売り方、どんな作品が売れたのか、アートをNFTのコンテキストに持ち込んだときにどんな影響、反応、変化を受けるのか、NFTの技術的観点そのものについて、様々に議論があり、いろいろなテキストがある。そんな大量のテキストの中から、MOMA の『What NFTs Mean for Contemporary Art』が目についた。 冒頭のリードから、アーティストとキュレーターが語るBeepleそしてNFTがどのようなものかという点を整理して