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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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2021年3月の記事一覧

修士(芸術)、MFA(Master of Fine Arts)を取得してみて<全文公開>

2021年3月、修士課程を修了してMFAの学位を取得した。 節目にあたり2年間の学びを振り返っておこうと思う。 大学院へ進学の1年前、2018年。長く関わっていたコンサルティングの仕事(複数のプロジェクトに携わっていたため、仕事と書いた)が終わり、新しいクライアントの新しいプロジェクトを担当していた。長く関わっていた仕事はファッション・アパレル関連の仕事であり、ビジネスアイデアをひねり出す事業開発系の複数のプロジェクトだった。その後のプロジェクトは、情報システムを構築する

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奥野克己『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』読書メモ

修論に関係して、アニミズムについて情報を集めようと考えた。 アニミズムは地球や宇宙にあって人間だけが主人ではないという考え方、もしくは思想のことと定義している。 アニミズムでは、人と人外(人以外の存在)は、姿やかたちは違えども、心がつうじ合っている。(P.7) 第一章はこんまりについて始まる。そこから風の谷のナウシカへ行き、川上弘美の「蛇を踏む」に連なっていく。イントロの入りやすさと面白さ。 こんまりに接続する文書は、モノが捨てられない点について人の精神の分析を行った

『Irregular Reports いびつな報告群と希望の兆し』@東京都美術館 鑑賞メモ

東京都美術館で開催されていた京都芸術大学の発表とも言える展覧会を見てきた。 会期が短く、休日の日程は23日のみだった。 湯島天神は梅が咲き乱れ、上野公園も早咲きの桜が開いていた。そうした春の陽気のためか、人は多いと感じた。ただ、コロナ禍以前の花見の時期ほどではない。 去年も鑑賞に出かけた。 服部浩之をキュレーターとして、京都芸術大学の学生、院生を含む150名の応募者の中から16組を選出した展覧会。 この展覧会で注目したのは、本田莉子の作品。去年の『フィールドワーク