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ANOTHER STORIES OF RED LINE ―― 『RED LINE外伝 ―彼らにまつわる5つの物語― 』

※この記事は、ゲームマーケット2021秋に発売した、「RED LINE OFFICIAL BOOK」内のコンテンツ「ANOTHER STORIES OF RED LINE 『RED LINE 外伝 -彼らにまつわる5つの物語』」です。
記事単体でも購入できますが、マガジンでの購入がお買い得でおすすめです。

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※文章内にはネタバレを含む部分がございます。
必ず、『POLARIS-01: RED LINE』をプレイしたうえでお読みください。

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ANOTHER STORIES OF RED LINE
ストーリーゲームレーベル POLARIS の記念すべき第一弾『RED LINE』。
シナリオの鈴木禄之による、『RED LINE』のアナザーストーリーをお届けします。



1、「ヤナギさん」

「ヤナギさんって、いつ休んでるんだろうな」
 会社近くの中華料理屋。ランチセットの回鍋肉をせわしなく口に運んでいた先輩が、ふいに箸を止めてそう切り出した。
「なんですか急に」
 私が首を傾げていると、同席していた後輩が確かにと相槌をうった。
「わかります。あの人いつ見ても会社いません?」
「なんか怖いよな」
「そう怖い!凄い人なのはわかるんですけど、暗いし、目つきも怖い!」
「あーあー」
 先輩はわざとらしく頷く。
「社歴もわかんねんだよなぁ。転職組らしいけど、同期の話とか聞かないし」
「最近はサンレジチームともほとんど顔合わせないで研究室籠ってるらしいですよ」
 黙ってその話を聞いていた私に、先輩が質問を投げてきた。
「お前入社したときヤナギさん直上だったな。なんかねぇの、ヤナギさんエピソード」
「下にいたのは一年だけですし、特にないです」
 その後もヤナギさんのことで盛り上がる二人をよそに、私は黙々と海老そばを啜る。
 確かにヤナギさんはとっつきにくかった。年中煙草臭いし。目つきは悪くて、無愛想で、何を考えているのか分からない。ランチを一緒にしたことなど一度もない。
 …………いや。そういえば。一度だけ、一緒にコーヒーを飲んだことがあったな。

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