物事の本質をとらえるのに、年齢は関係ない #048
私には、“師匠”と呼ぶ女の子がいます。
出逢ったのは、もう10年以上前のこと。当時その子は年長さんくらいで、私はアラサーでした。
夜に淡路島の海辺でゆるやかなイベントが開催され、そこに大人や子どもたちが集まっていました。
砂浜を歩いていると、髪の長い小さな女の子がいました。「こんばんは」と声をかけると、「こんばんは」と返してくれました。
そのときは、あいにくの曇り空。
晴れていたら、満天の星空が見えるのになぁ、なんて思っていました。
「今夜は星が見えないね」と、何気なくその女の子に言いました。
すると、「星が見えないんじゃない。人間の目からは見えないだけ。星はいつもそこに在るんだよ」と女の子は言いました。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』に出て来そうな言葉と素敵な感性だなと思って、一瞬で私はその女の子のファンになりました。
「ねぇ、もしよかったら、お姉ちゃんと友達になってもらえないかな?」と、私は女の子に伝えました。
それまで小さな子にそんな風に声をかけると、だいたい「いいよ!」という返事が返ってきていました。暗に私はその返事を期待していました。
ところが、
「友達になるには、長い年月が必要なのよ」
と、その女の子は言いました。
私は瞠目するとともに、自分の安易な提案を少し反省しました。確かに本当の“友達”になるには、長い年月が必要だよなぁと。
そんなことを思っていると、今度は女の子から声をかけてくれました。
「でも、いいわ。友達になってあげる。私は〇〇〇。あなたの名前は?」
「△△△(私の下の名前)です」←思わず敬語。
「△△△!OK!よろしくね!」
と、軽やかに私の名前を呼んで、挨拶をしてくれたのでした。
そのときになんだか嬉しくてフフフと思わず笑いが込み上げてきました。一方で、私は友達になりたいと提案しながらも、自分の名前も名乗ってなかったことに気づいて、また少し反省しました。
20歳以上も年下の子に、そんな大切なことを教わるなんて――。
いや、物事の本質を教わるのに、相手の年齢なんて関係ない。この小さな女の子も、私にとっては立派な師匠です。それから、私はその女の子を「〇〇〇師匠」と呼ぶようになりました。
そして、あれから約10年の歳月が経ちました。師匠は今や高校生に成長し、現在もゆるやかに交流を続けています。
彼女は手先がとても器用で、着物の着付けも自分でできるほどの腕前。昨年の夏は、興味津々の娘が浴衣の着付けや、簪を使った髪の結い方を教えてもらいました。
娘にとっても、私にとっても、彼女はリアルな“師匠”。
そういえば、ちょうど娘が、彼女に出逢ったころの年齢になっているんだなと思うと感慨深いです。
当時もこんなに幼かったはずなのに、彼女の言葉は私に大切なことを気づかせてくれたんだなぁと。
今も師匠の言葉は心の中の額に入っていて、ふとしたときに思い出したりしています。
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