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白銀の思い出

スキーが大好き

実家の整理を進める中、随分と前からそこにあることは承知していたけれど、特に使うあてがある訳でもなく、かと言って誰かに譲る訳でもなく、まして売却を検討するなどあり得ず、とは言え邪魔な訳でもなく、ただ単にそこにあることを黙認して来たものが多々ある。(書きぶりがしつこい)

今回、二階の奥の部屋を整理するうちに、30年ほどの長きに亘り壁に立てかけられ続けているスキー板たちに目がいった。

4セットのスキー板。ストックもある。かつて、日本中のスキー場に溢れた、メジャーなブランドのスキー板だ。

思えば、若い頃は12月から3月、4月まで、ほぼ毎週のようにスキー場に出掛けたものだ。

残念ながら、所謂下手の横好きではあったけれど。

本格的にスキーに取り組んでいる人たちから見れば、単なる雪遊びに過ぎないだろうけれど、自己流ではない、独学だと言い張りつつ、ただ只管に雪国に足を運んだものだ。

おかげで雪道の運転には強くなったし、行ける行けないの判断だとか、そこそこ自信を持って運転していた。

何万キロ走ったか記録していないけれど、勿論無事故だ。危ないことはあったけれど。

クルマやドライブの話は別の機会に書こう。

同じくスキーに取り憑かれた友人たちの中には、きちんと検定を受けている者もいた。しかし、自称独学スキーヤーは寧ろ場数を踏むことに嬉々とし、取り立てて具体的成果や客観的評価を求めることなくスキーに没頭していた。

随分とそんな暮らしを送るうち、今の我が家を建てることになった。そしてそのタイミングで、経済的にも体力的にも時間的にも物理的にもそろそろ潮時とばかりに、思い切って雪遊びから撤退した。

以来、世間がスキー・スノボの話題に溢れようと一切雪国に足を向けることなく過ごすようになり、早いもので既に二十年ほど経過してしまった。

そのことを掘り下げてしまうと、それだけで相当な分量の文章を書いてしまうに違いない。なので、ここではあくまでも道具の処分に関してのみ書くことにしなければ。

と言いつつ、既に少なからず尾ひれは付けてしまったけれど。

兎に角、実家には(所有する一部ではあるけれど)愛用していたスキー用具が保管されているのだ。

スキー用具をどうしたものか

既に気になって調べていたことではあるが、我が市では(多分どこでも大同小異だろうけれど)、スキー板とスノーボードは粗大ゴミ、スキー靴は燃やせるゴミ、ストックは家庭用金物類(長尺物)である。

だから、迷うこともなく、手を加えることもなく、その通りに分別して搬出するだけなのだ。

あとは、そこに込められた思い出との惜別だけが課題となるだろう。

いくら「雪遊び」に没頭していただけだと言っても、そこそこ滑れるようになれば次第に高価な用具を買い求めるようになり、それなりに悩み苦しみ屁理屈を捏ねながら購入し、素人なりに手入れをし、大切に、そして時として誇らし気に使用してきたものばかりである。

ただ、今、目にしているものは初めての道具。しかも、4セット中の2セットは兄のものだ。懐かしさは一入ではあるものの、強烈かつ捨て難い程の思い入れがあるということでもない。

なので、意外とあっさり搬出することが出来た。

兎に角、室内保管とは言え相当長期間放置していたものである。2枚の板を纏めていた合成ゴム製のスキーバンドは加水分解して床に落ち、ビンディングのパーツも同じく分解して中のスプリングとともに脱落している。

手にすると兎に角重たい。当時は、一般の場合、身長+10センチとか15センチとかいう目安があったけれど、だいたいその程度の長さの板である。

初中級者用の板であるから、特別な構造のものではない。合板にコーティングしている程度の板である。それでもやたらに重い。

いや、それだからこそ重いのか。

後々は、何か用具を買おうとしたら、まずは当時何種類も発行されていたスキー雑誌の付録カタログで目星をつけ、その用具についての解説記事(今のようにネットのレビューなどない時代だった)をチェックし、それから店頭で実物を見て触り、散々逡巡した挙句購入したりしなかったりしたものだ。

しかし、初めての道具の時は結構あっさり購入した記憶がある。友人たちが先行していたので、多少はカタログ研究をしたりもしたけれど、基本的には店頭でほぼ衝動買いした記憶がある。

自分の分と妻の分。今回はその2セットと兄の関係の2セットの、合わせて4セットが処分対象だ。この程度の長さであれば、我が愛車(軽乗用)にも積み込める。

同じ部屋にあった石油ストーブと、押し入れから新たに見つけた布団類も合わせ、小さなクルマの荷室と後部座席、そして助手席は満タンになった。ストックは持ち込むことなく処分出来るから残す。

今回はここまでで良しとしよう。

床には、ストックの他、スキー靴、ショートスキー、グラススキーが残された。

もし仮に、急にスキーをしたくなったとしても、スキー靴は加水分解が恐い。時折りスキー場で雪上に放置されたスキー靴の踵や爪先部分を見かけることがあったけれど、まさにそれが心配だ。

ショートスキーもビンディングの取り付け部分とかの劣化が心配される。決して安心して使えはしないだろう。

また、判断に悩むのはグラススキー。レアすぎて市の分類表にはない。

殆ど使用していないけれど、売却するには経年劣化が心配になるし、果たして補修パーツが流通しているだろうか。

兎にも角にも、残りの用具の処分については今しばらく悩むこととした。

次に手を付ける時には、自宅に保管しているもの(かなり思い入れのあるもの)も含め、激しく悩むことになるかもしれないなぁ。