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(ネタメモ。 進撃 エルリ 現パロ)
名前は何人か出るけど大学生ハンジとリヴァイ。
社会人(偉い)エルヴィン前の続きメモ。

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 気が付いたら駆け出していた。その姿を追いかけていた。
 冬の雨の夜。見慣れた街角で、よく似ている後ろ姿をみつけた。
「エルヴィンッ」
 追いついて、その右腕を掴んだ。右腕があることに安堵した。
 振り向いたその顔は探していたその人で。
「探した」
 戦慄いた口が紡いだ言葉。
 自分を見つめ返すその瞳。記憶よりも幾分眼光が柔らかい。懐かしい懐かしいい碧の色。 
 …しかし、帰ってきた返答が現実。不意に、ハンジの言った言葉が脳裏をよぎった。
ー「…手の届かないところにいる。偉くなっちゃってさー…」ー
 嘘だ。こんなに近い。
「…君は…?」
 そうか。これが現実か…。
 無垢な瞳。純粋な疑問を投げかけてくるその瞳を見つめていることなど出来ず、俯いて唇を噛み締めた。やっとの思いで、「すまねぇ、人違いだ」と絞り出した。しかし、その右腕を放していない事に、リヴァイ自身は気が付いていない。完全なる無意識。
「…ぐ……っ」
 エレンやミカサにだって記憶がないぐらいだ。ハンジにだけあったのが奇跡のようなものだ。そうそう都合よく奇跡など起きない。それが現実。
 

 人違いだと言いながら、放してもらえない右腕に困惑した。振り払っても構わないのだが、何故かできなかった。目の前の少年が泣いているように思えたからだ。
「…君はその…泣いているのか?」
 雨なのに傘もささずに走ってきた少年に腕を掴まれて「人違いだった」と謝られて、しかし腕は放してもらえない。それが今の状況。加えて、季節と雨のせいなのか、本当に涙なのか分からないが、肩が震えているのが気になる。
「…人違いとは些か可笑しな話だ」
 少年だとばかり思っていたが、ちょうど、少年と青年の間と言った方が正しいのだろう。改めて自分を見上げた瞳が驚きの色を見せた。
「君は私を「エルヴィン」と呼んだ。何故、私の名前を?」

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