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白単厳粛デッキガイド【新環境ヒストリックBO1】

1.アモンケットリマスター実装

このたびMTGA内でアモンケットリマスターというセットがリリースされた。これはアモンケットブロックのほぼ全てのカードに加え一部の強力な番外カードを収録した特殊セット。これによりヒストリック環境にはまたしても大きな変化がもたらされることとなった。

大量の新カードの追加は楽しいものだ。さっそくデッキを考えよう。

2.《厳粛》というカードを使おう


2.1 厳粛 + 光明の繁殖蛾

そこで筆者が手を出したカードは…

厳粛+モスラ

イコリアのカードが発表される時期、《光明の繁殖蛾》が公開された時に話題になったカードがこの《厳粛》。この2枚を並べるとクリーチャーが墓地に落ちた際に無限に場に戻ってくるため、無限コンボのパーツとして注目された。

モスラ無限コンボ生物パーツ

厳粛+光明の繁殖蛾が場にある状態でプレイすると無限ダメージや無限マナ、無限ドローで即勝利となるカードの一例。

よっしゃ組んだろ!!!

…うん…このコンボ、微妙なんだ。理由は説明するまでもないだろう。パーツが揃わないのだ。そもそも3枚コンボはそう簡単に揃うわけもない上に、コンボパーツとしては生物はかなり脆弱であり簡単に妨害されてしまう。それでもどうしてもこのコンボが使いたいなら最終的には恐らくこうなるだろう。

モスラゴブリン

…なんか思ってたんと違う…。別に無限コンボ入れなくても勝てるし…

2.2 厳粛 + 九つの命

厳粛+9命

それならこれだ。カウンターが置かれなくなるため通常のダメージでは《九つの命》の敗北条件を満たさなくなり不死身の状態になれる。

幸いヒストリックで支配的なデッキはオーラアグロ、赤単バーン、ゴブリンなど直線的なダメージで勝利するデッキが多く、このコンボが揃うだけで実質勝利できるマッチアップがそれなりに多そうだ。

しかし悲しいかな、コンボデッキの特性としてサイドボード後に対策カードを大量投入されて大抵の相手に対してサイド後は相性が悪くなる。
→じゃあ1本勝負のフォーマットで使えばええねん!という崇高なコンセプト(笑)で作られたのが今回紹介する「白単厳粛ロック」である。

2.3 プロトタイプ

白青猫サンプル

最初に作ったのが青白コントロール風のデッキ。厳粛+九つの命でたいがいのクリーチャーデッキは完封できるわけだからあとはドローサポートと妨害としてカウンター等を入れたら完成。

このタイプがなぜ没になったのかというと、想定していたアグロデッキのとマッチアップを案外取りこぼしたから。後手番でカウンターが足を引っ張ることが多かった。

それに最大の問題点はサクリファイスデッキに勝てなかったことだ。

サクリファイスリスト

このデッキには厳粛ロックを貫通してライフを削るカードが多く入っている(詳細は後で解説する)。《墓掘りの檻》や《魔術遠眼鏡》を増量して対抗しようとはしてみたものの成果は芳しくなかった。

個人的にはBO1フォーマットで肝心なのは多数派の仮想敵を明確に狩る事だと考えている。恐らく青白型はBO3向けだ。

そこで次に試作したのが白単。

白単試作

(英語版の荒い画像しか残っていなくて申し訳ない)

コンボパーツのサーチは《牧歌的な教示者》に任せ、後出しでも使える妨害カードを増やすことで対アグロの取りこぼしを防ぐ。サクリファイスの多角的な脅威に対抗するにはこの方針のほうが感触は良かった。

問題はコントロールデッキに対して無防備になることだが、ヒストリックBO1ランク戦におけるコントロールデッキは本当に使用者が少なく、総合的には無視しても良いレベルだと判断した。(参考までに、プラチナ~ミシック帯の直近60ゲームでコントロールデッキとの対戦は5ゲームのみだった。)

それに仮に青のカウンターを採用したところで対コントロールが五分五分以上の相性になることはないだろう。厳粛+九つの命の合計8枚の完全無駄カードを抱えた上で無理にコントロールデッキに勝とうとすれば構築に歪みが生じる。

3.現在のデッキリストと解説

プリズン

2020/08/19の最新版リストになる。

MTGアリーナ用インポートリスト

序盤用

序盤用のカード。《ルーンの光輪》は場に出てきた生物を指定することも多い。

望外

厳粛ロックを崩壊させうる致命的なカードを止めるカード。止めないといけないカードには主に以下の種類に分けられる。

①《大釜の使い魔》や《忘れられた神々の僧侶》のようなライフルーズをさせてくるカード
②《精霊龍、ウギン》のような厳粛ロックを破壊するカード
③《踏みつけ》(《砕骨の巨人》の出来事モード)のようなダメージ軽減を無効化するカード
④ 即死コンボ
⑤《副陽の接近》《タッサの神託者》のような特殊勝利カード

具体的に何をどう止めるかは後にマッチアップ別に解説するのでそちらを参照していただきたい。


勝ち手段には《大いなる創造者、カーン》を採用。プロトタイプでは《副陽の接近》を採用していたが、カーンから持ってくるカードで十分勝利できることが分かったため無駄カードである副陽は抜けた。

カーン用

カーンのサーチ先アーティファクト。これらのカードは確定だが他は自由に選んでいい。なお筆者はここに載っているカード以外を持ってきたことはまだ一回もない。

土地構成

土地構成。最初はサイクリング土地も使ってみたが、このデッキでは多くの場合1枚カードを引くのと1枚占術することにほとんど違いがないため占術土地を限界まで投入するべきという結論に達した。回してみてタップイン土地が多いと感じるなら平地を増やせばいい。

4.マッチアップ別プレイングガイド

BO1限定デッキなのでサイドボーディングは存在しないが各マッチアップごとに知っておくべき知識はあるので軽く解説する。ついでに自分の戦績も記載しておく。

まず前提として、厳粛+九つの命が全く揃う気配がない初手はマリガン。たとえ土地とマナカーブに沿った妨害手段が綺麗に並んでいる初手でも最終的には厳粛ロックが揃わないと負けるデッキだからだ。相手がコントロールかもしれないとは考えない。

・対オーラ(戦績8勝-1負)

相性は超有利。相手に厳粛ロックを破るカードはないため単純にコンボが揃うまでに殴り切られるかどうかの速度勝負になる。2マナの妨害カードで相当減速させることもできるのでよほど運が悪くない限り負けない。

ロックが決まった後《魔術遠眼鏡》《ギデオンの介入》で指定するカードは特にない。強いて挙げるなら《忘却の輪》《爆発域》《厚かましい借り手》のようなエンチャントに触れるカードになるが…まあ99%入っていない。

ゲーム開始前に《夢の巣のルールス》が相棒として見えた場合、相手のデッキはオーラかラクドス系の2択になることは覚えておこう。


・対赤単バーン(8-0)

相性は有利。マッチアップの焦点は速度勝負+《砕骨の巨人》の有無。
オーラよりブン回りの平均キルターンが速いのとダメージ軽減を1ターン無効化して厳粛ロックを破る《踏みつけ》があるのでオーラよりは負ける可能性がある。

赤単危険

完全勝利条件は厳粛ロックを揃えた上で《ギデオンの介入》で《踏みつけ》を指定すること。決して「《砕骨の巨人》!!」と指定しないように。

次に問題を引き起こしうるのが《義賊》。何度も能力を誘発されるとこちらの勝ち手段の《大いなる創造者、カーン》を全て追放される危険がある。また《魔術遠眼鏡》を奪われてカーンを指定される可能性も僅かながら存在する。新環境で《義賊》はほとんど採用されていないカードではあるが念頭には置いておきたい。

他にヒストリックのカードプールで厳粛ロックを突破できるカードとしては一応《嘲笑//自傷》と《苦悩火》が存在する。とはいえ普通に考えて採用しているプレイヤーはいないだろうからこれらは無視してよいだろう。

ちなみにゲーム開始前に公開された相棒が《湧き出る源、ジェガンサ》の場合は相手のデッキは9割がた赤単、残りはジャンドサクリファイスである。


・対ゴブリン(3-0)

相性はかなり有利。このマッチアップも速度勝負のみ。檻でマクサスからのの即死を防げることもありそうそう速度負けすることもない。

ゴブリン要注意カード

唯一気を付けるカードは《群衆の親分、クレンコ》。え?ロック決まればダメージ喰らわないからどうでもよいのでは?と思うだろうが、違う。相手が絶対勝てないことが確定しているにも関わらず投了せずクレンコを起動し続けるとアリーナの処理能力の限界を超えてゲームが落ちるのだ。その場合強制的に引き分けか、最悪の場合投了しない限りゲームがフリーズし続けることになる。本来ならこちらの勝ちなのに…

100%勝てないことが確定しているのに遅延するのは悪質なルール違反だが、クレンコの能力を毎ターン起動し続けること自体はルール的に罰せられるかというと微妙なところ。厳粛ロックが決まったならできるだけ早く《魔術遠眼鏡》でクレンコを指定して悪質な処理落ち狙いを防ぐようにしよう。


・対サクリファイス(6-1)

相性は少し有利程度。ここまで挙げてきたアグロデッキより厳粛ロックを貫通してライフを失わせるカードが多いため押し切られて負けることがある。

サクリファイス要注意カード

特に注意する必要があるカードは左の三枚。

《ルーンの光輪》は僧侶を止めれる。
《安らかなる眠り》は猫を止めれる。
《魔術遠眼鏡》は猫、僧侶、城塞の起動能力を止めれる。
《墓掘りの檻》は猫、城塞のカードプレイ能力を止めれる。


《死の飢えのタイタン、クロクサ》の脱出能力は墓地対策で止めれるが手札からのプレイはギデオンの介入以外では止めれない。土地以外を捨てれなかった場合ライフルーズなので注意。厳粛ロックの上から《思考囲い》の連打で手札を減らされてクロクサで負けないように不要カードはなるべくたくさん手札に抱えておこう。

Bo1ではかなりのレアケースではあるが《砕骨の巨人》が採用されている場合もあるので余裕があるなら余ったギデオンの介入は《踏みつけ》を指定。

20202/8/15追記

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このカードが使われだした。幸い《ルーンの光輪》か《安らかなる眠り》で止めることはできるが、やっかいなカードが増えたことに変わりはない。これからは4枚目のルーンの光輪や《神聖の力線》の投入も検討に値するかもしれない。


・対死者の原野ランプ(戦績2-0)

相性は五分五分程度。相手のデッキ構成に大きく依存するので一概に有利不利とは言えない。

原野

原野デッキは人によって採用されているカードがばらばらなので他にも危険なカードが入ってる可能性はあるが、厳粛ロックを破ってくる主なカードはこの辺になる。遠眼鏡かギデオンの介入の先置きでしか止められないカードが多く、これらのカードが多数採用されていると相性は不利に傾く。

《爆発域》は厳粛が先に置けていればそれだけで無効化できる。《約束の刻》で爆発域を持ってこられても大丈夫なように可能なら3ターン目に先に厳粛を張っておくとよい。

相手のデッキに《大いなる創造者、カーン》があると《漸増爆弾》を持ってこられるだけで負けてしまう。ただこちらの構成上4マナのカーンをケアしきるのはかなり難しく、相手のデッキに入っていないことに賭けたほうがよい場合も多い。例えば《魔術遠眼鏡》をプレイした際、相手の手札にカーンがない場合は筆者は基本的に《精霊龍、ウギン》を指定することにしている。体感ウギンのほうがカーンより採用率は高い。(厳粛が間に合わない場合は《爆発域》指定も考慮)

相手のキーカードを対処する優先度としてはおおまかに以下の順番。
爆発域→ウギン→ウラモグ→余裕があればカーン、大渦の脈動など

2020/08/17追記
原野デッキの数が全体的に増えてきたことで同型対策として重いカードを多めに採用した形が目立つようになってきた。そのせいでこのデッキの対原野デッキの相性はかなり悪くなってしまった。


・対エルフ(戦績0-1)

相性は有利。よほどブン回って4ターンKILLされでもしなければ問題ないだろう。(実戦では見事に先手4KILLされた。)

《集合する中隊》は檻で止めれる。

唯一危ないのは相手がメインから《破滅の終焉》からの《再利用の賢者》を投入している場合。ロック後は破滅の終焉と中隊を檻で止めつつギデオンの介入で《再利用の賢者》を指定できればより安全だ。

・対4色ケシスコンボ(マッチングせず)

メインから対策カードの束みたいなものなので相性はかなり有利なはず(一回もマッチングしていないので推測だが)。唯一《ウルザの殲滅破》だけには注意。

・対青いデッキ全般(1-7)

青いコントロールデッキは基本的には無理。
クロックパーミッション系のデッキも当然無理だ。
そういうデッキなんだ。諦めてくれ。

5.最後に

普段やっている「普通のMTG」とは違ったテイストが楽しめるのがこの厳粛ロックデッキの面白いところ。一番楽しいのは厳粛ロックが決まったあと《魔術遠眼鏡》や《ギデオンの介入》で指定するカードを考えている時だ!

今はまだほとんど対策されておらず楽に勝てるゲームが多く、とにかくランクを上げたいという人にも向いたデッキだと思う。自分はこのデッキにかなり愛着が湧いてしまったので今はなんとかBO3に対応できないかと考えている。

それでは最後まで読んでくれれありがとう。BO1ヒストリックというニッチなジャンルのデッキ紹介になったが何かの参考になったのなら幸いだ。それではよきMTGAライフを。



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