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コーカサスから中東へのバイク旅行 (その101)

2023/11/3   (その2)

蛇男の指示で、建物の2階に移動
携帯電話は取り上げられたままだ
いろいろな書類やパスポートの積まれた、3帖程の部屋に通されて、少し待つと若い男がその部屋に入ってきた
彼は英語をしゃべり、こちらに英語をしゃべれるかどうか聞いてきた
少しはしゃべると答え尋問が始まった
実際はそれほど長い時間ではなかっただと思うが、気分的にはすごく長く感じる尋問だった
それというのも通訳で連れてこられた若い男は英語こそしゃべれるもののへ致命的に柔軟性がないというか、想像力が欠如している
しかも、今の国の体制や、行政区分といった知識も不足していて話が噛み合わない
イラクに入国した日はいつだと言う質問は、逆にそれはクルディスタンに入った日かそれとも連邦イラクに入った日か聞き返すと
???
イラクに入国した時の飛行機の便名を答えろと言われても、自分はオートバイで旅行していて飛行機で入国したわけではない
そんな質問もずいぶん苦労をして説明しないと理解してもらえなかった
蛇男は英語がしゃべれないので通訳任せになる
その通訳がポンコツだと大問題だ
しかも、この通訳自分の頭で理解できないことを勝手に端折ってる節もある
こいつめ😡
蛇男の出す質問も、ピントがずれているものが多く、母親の名前を聞かれるとか想像もつかない方向からの質問も織り交ぜていて、もしかし無くてもひっかけ問題的なことを試みているようだ
イラクのどこで働いたことがあるのか?とか
もちろん自分は旅行者なのでイラク国内で一切働いた事は無いと答えておいた
こんなひっかけに引っかかるわけねーだろ
こんな調子の尋問が続き、良い子のふりをしていたが、次第にイラついてきた
なかなかスムーズに進まない。尋問に不機嫌な態度は隠せなくなって来ている
うまくコミュニケーションが取れず、そんなポンコツ通訳から私の英語が理解できているか?とか聞かれて切れそうになる
確かに英語が堪能じゃないが、英語以前の問題だ ボォケェェエ🤯

とりあえず聞き取りのほうは終わり、通訳は帰っていった
後は書類をまとめる。蛇男を椅子に座って待っていた
自分の取り上げられた携帯が時折メールの着信が入っていたが、そのうち電話が鳴り蛇男がそれを受けて何やら話している
多分話している相手は、アリーだ
蛇男は、淡々と事務的に受け答えて電話を早々に切り上げ、しばらくするとまた電話が鳴りの繰り返しを何回かしていた
最後の頃は、さすがに蛇男も怒りを隠せない感じになり、口調も強くなっていた
いいぞアリー
どこから来るのかあの底無しのバイタリティーにはほんと感心する
ある意味大物だ
しかし、そんなアリーの努力もむなしく、蛇男は何かを冷たく言い放ち電話を切って、その後呼び出し音が鳴っても電話を取る事はなかった

そしてようやく書類をまとめ終わった後、珍しく英語でドントウォーリー、ノープロブレムと言って自分についてくるように言い、最初に顔を合わせた中庭に戻って来た
蛇男が他の職員に何かを言い、その職員があと30分ここで待つようにと言う
やっと解放されると思ったのに、少しがっかりしたがあと30分待たされる位ならどうって事は無い
そう思っていたら、オートバイを移動するように言われ、中庭の隅の邪魔にならない場所にオートバイを移動させられた

嫌な予感がしてきた
職員の1人にこれからどうなるのか尋ねた
すると、彼は2日後に新しいパスポートとビザを手に入れることができるだろうと言う
???
ビザはどうかわからないが、そんなに早く新しいパスポートが再発行されるはずもない
大体大使館が開くのは明後日だ
そう言うと、お前はわかってないが大丈夫だ安心しろと言う
それでも怪訝な顔をしていると急に怒りだし、取り上げられているパスポートを持ってきて、パスポートを見せながら、これがこうなったのはお前の責任だと言う風なことを言ってる
仕方がないので、納得したふりをして話が通じないのでその職員とはなるたけ関わらないように視線も合わせないようにしていた
どうも雲行きが怪しい
これはまだまだ終わらないのかもしれない
少し白けた雰囲気の中待っていると、蛇男がさっきの通訳と一緒について来いと言う
通訳は帰ったわけではなかったようだ
そして別の場所に移動する

20分ほどのドライブ
もう20時を過ぎていて、携帯も取り上げられているので、自分が今どこに居るのかわからない
着いた場所は、別の警察署
今までの私服ではなく、警官の制服に着替えた蛇男
制服を着るとまんまインドや中東で映画に出てくる悪徳警官そのものだ
しかし、さっきまでの無表情で傲慢な態度が一変して何部屋か訪れ、それぞれの部屋で愛想を振りまきペコペコしている
本当にわかりやすいキャラクターだこと
そして、最後の部屋には自分も中に入るように言われ、中の偉そうな署長らしき人物に挨拶をする
蛇男が所長に何事か報告をした後
所長から2,3質問され、それに応える
最後の質問は何の目的でイラクに来たのかと言うものだったが、私が観光と答えるとそれを聞いて馬鹿にしたように笑った

そして、部屋を出る前に、通訳がこれからどうなるのかを説明してくれた
その説明によると、2日後にすべての問題が解決されるから、私はここで待たなければいけない
さっき、最初の警察署で聞いた内容と同じだ
2日の日曜日にバグダッドに行くための何らかの便宜を図ってもらえると言うことか?
ん?
さっきここで待つとか言ってたよな
通訳にここで待つと言うのは、警察署で待つと言うことか?と聞くとそうだと言う
それはジェイルに入ると言うことか?
イエス
😱ホワット⁉︎
蛇男は早々に退出してどこか行ってしまった
背の低い丸顔の愛想の良い警官が自分についてくるように言いついていくと、正しくそこは留置場
のぞき窓から中を覗くと中には拘留されている囚人でみっしり
全く以て理不尽な対応に、頭は思考停止して動きが緩慢になっている
この意味不明な状況に抵抗したい気持ちと、ここで抵抗しても状況は悪くなるだけで何も覆らないと理性的に考える心とがせめぎ合い留置場に入るように言われても、体が動かない
丸顔の警官は、にこやかに笑いながらノープロブレムを繰り返す
何がノープロブレムだよ
プロブレムだらけだよ
こいつらの言うノープロブレムは1ミリも信用できない
留置場に入る前に持っているものを取り上げられ、密かに隠し持っていた予備のiPhone 7と財布とバイク用グローブ
それとバイクの鍵束を押収され、腰に巻いているクレジットカードの入った貴重品入れだけは預けるのを拒否して持って入るのを認められた
囚人は危険だけど、お前ら警察も信用していない
そしてにこやかな警官に背中を押され14人の囚人のいる留置場に入れられた

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