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コーカサスから中東へのバイク旅行 (その107)

2023/11/5   (その3)

バングラディッシュ人の1人が看守に呼ばれて房から出て行った
どこいったのか聞くと、友人の面会らしい
友人というか、働いていた店のオーナーが来たとのこと
ふーん
と思っていたら自分も呼び出し
なんだろうと思ったら、そこの警察署の割と偉そうな警官に会って片言英語の会話と挨拶しただけだった
表敬訪問?珍獣観察?
房に戻って、しばらくすると、さっきのバングラディッシュ人の大量の食べ物を抱えて戻ってきた
ピザの箱も持っている
彼は仲間のバングラデシュ人と話をしたり、ちょうどお祈り時間が来たので皆でお祈りが始まった事していて、自分は何やら落ち着かない
この世の中にはね、冷めたピザはどうのと言う諺があってね🤤
などともうすでに自分が食べれるもんだと決めていて、それならなるたけ暖かいうちに食べたいなぁなどと意地汚い妄想を膨らませてヤキモキしていた
そんな思いが通じたのか、祈りが終わった後みんなで食べようと言う話になって、ありがたくピザを1切れいただいた
ピザなんて留置所の飯で出るわけがないので、やはり皆一斉に集まってピザをぱくついた
その後ケバブも出してくれたので、みんなで食べる
みんなも満足して、それぞれの定位置に戻り、自分も満足して食後の一服をしていたらまた呼び出しがあった
なんだか忙しい

今度は何が待っているのかと思ってさっき訪れたのと同じ部屋にまた入ってみると、今度はずらりと偉そうな警官たちが勢ぞろいしていた
何事かと少し驚くと、まぁまぁとりあえず座ってくれとソファーに座らされ、そこの1番偉い人だとおぼしき人物から携帯が渡された
それはもちろん私の携帯ではなく、所長の携帯でそのビデオ通話で見たことのない人物が写っている
電話の向こう側には、2人の人物がいて、1人は英語を喋り今の状況を説明してくれた
そして、彼の言葉によると、私は明日完全に解放される事は決定しているとの事だ
そしてそのために動いてくれたのが電話の向こうにいる。もう1人の人物で、その人はクルディスタンの軍事組織の将軍だと紹介された
何が何やらわからないが、とりあえずお礼を言い、感謝の言葉を苦労しながらなんとかひねり出した
再び英語を話す人物に変わり、補足的に説明してくれたことで、大体の事態は理解できた
どうやら私の友人であるスレイマニヤの床屋さん、アリーの仕業で彼が友人の将軍に連絡して、将軍からこちらに連絡が入り、自分釈放が決まったと言う流れのようだ
冗談かと思ってたら、ほんとに知り合いだったのね😅
でも前アリーの店で会った別の将軍とは違う人だったけど、、、というかあんた何者なのよ、アリー⁉︎
イラクとクルディスタンは、潜在的に敵同士だけど対ISILならば共闘する立場でもあり、連絡を取れるツテがあっても、不思議では無い
しかしこんなただの貧乏旅行者を助けてくれるために動いてくれるとは信じられないが、目の前の現実は進んで受け入れる主義の自分としては都合の良い現実を受け入れるのにやぶさかではない

呼び出しを受けたのか、後からあの蛇男もやってきていた
蛇男の名前はアブドゥラらしいことをここで初めて知った
なんとなく、蛇男にぴったりの名前だ(全国のアブドゥラさん、ごめんなさい)
アブドゥラはつとめて平静を装いながら、書類をテーブルに置き、これまでの経緯を所長に報告した
署長の顔は厳しい
気のせいかアブドゥラが小さく見える
たまに署長からの言葉に目が泳いだりしている
そんなアブドゥラを私は冷めた目で見ていた
仕事は熱心だが、自分の昇進しか頭になく、上には愛想振りまくくせに、自分より下の者には傲慢な態度をとるまさに絵に描いたような小役人だ
今回は自分の仕事を増やしてくれた間抜けな外国人旅行者など、自分の決めたストーリーで処分しても問題ないと思ったのだろう
本来なら、ただの旅行者に抵抗する術はなく、彼の思った通りに進んだのであろうが、今回はちょっとした奇跡が起きてしまった
自分には権利があると思うので、ここで1つ心の中で言わせてもらおう ざまぁ!

アブドゥラの報告が終わり、それに引き継いで対面に座る長身イケメンの私服の人物が流暢な英語で話しかけてきた
彼が言うには、私の問題はもう先ほども聞いたように、明日の朝になったら解決することが決定している
だから何も心配する必要は無い
ここからバグダッドに移動する際に、チェックポストを通行できるように手配はするので、問題は無いとの事
1つ聞きたいことがあったので、ビザの再交付に付いて質問したらバグダッドのレジデンスオフィスで無料で別のビザを発行してもらえるらしい
そしてこの後何か問題があった時は連絡してくれと名前と連絡先を教えてもらった
彼の使う英語はとてもわかりやすく、あのポンコツに爪の垢を煎じて飲ませたい
そのことを伝えると、彼は今警官の少尉で子供の頃から外国で暮らしていたらしい
絵に描いたような美男子で長身、理知的で物腰も柔らかくこのイラクでと言ったら失礼だが、スマートで洗練された人物
只者ではなさそう
彼に教えてもらったが、今小さくなっているアブドゥラの階級はメジャーらしいので日本で言うところの少佐だ
その少佐と対等に口を聞いていると言う事は良い家柄のご子息なのかな?

署長室を退室し留置場に戻る
部屋の皆に自分が明日出ることが決定したと簡単に説明し、一服しているとまた呼び出しがあった
少しウンザリしながらも、今度はなんだろうと留置場を出ると面会者が来ていると言う
自分にこの辺の知り合いはいないはずだが?
そうか
きっとアリーが連絡を回してラマディで会う約束をしていた2人のうち、どちらかが面会に来てくれたのかもしれない
自分を持ってていた面会に来た人物は、3人で、会う連絡をとっていた2人の人物とは違うようだ
写真向こうはこちらを知っているようで、彼らは何やら手続きをして私を外に連れ出してくれるようだ
おお、それは嬉しい
手続きが済んでいそいそと警察署を出る
スマートフォンも返してもらって、3日ぶりに自分の手に戻って来た
嬉しい
4人は1台の車に乗り込んで警察署を出発する
私は振り帰って警察署にファックユーと中指を突き立てると、みんなが笑った
目的地に到着してみると、そこはきれいな化粧品店
そこの店長はラマディで会うようにアリーが紹介してくれたムハンマドさんだった
迎えに来てくれた3人はムハンマドさんに言われてきてくれた彼の兄弟か親族が友人、、、、聞くの忘れた
というか、目まぐるしく変わる環境についていくのに精一杯だ
そこでまずシャワーを浴びたいので、シャワールームを貸してもらおうとすると、その前にシェイブしようと言われ、車に乗せられて床屋さんへ
そしてその床屋でシェイブと言いながら、散髪もされて普通にヘアカットされてしまった
なんか旅行すると、どんどん髪の毛が短くなっていくんですけど
お客をもてなすのにヘアカットも入ってるのかな?この国の人は
三日間頭を洗ってないので散髪されて恐縮したが、カットも終わって店に戻りシャワーを浴びてスッキリ
シャワーから出てくると大きなチキンバーガーが待っていて、お腹は減っていないが彼らの好意を断るわけにもいかず、ハンバーガーを平らげる
さて、今日はムハンマドさんの家に泊まる流れかなと思って聞いてみるが、どうも違うようで、アリーにメールで確認すると今夜はハミットさんの家に泊まることになっているようで少ししたら迎えが到着した。
なのでムハンマドさん達と一緒に車に乗って、ハミットさん宅へ
ハミットさんと息子さんたちが歓迎してくれたが、疲れていたので早めに眠ることにする
外出許可は翌朝の7時半まで
それまでに戻らなければならないらしく、久しぶりのネットチェックもそこそこに就寝

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