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おいしい水おじさんはファンじゃねえ ~ポケコン場外戦~

※この投稿はあくまで個人の感想であり、コンテスト運営や特定の個人を批判するものではありません。人によっては不快に感じる方もいらっしゃると思いますのでご注意ください。

※プライベート特定につながる情報にはフェイクを入れています。


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私は某都市のポケモンコンテストに数年ほど参加しているポケモンコーディネーターです(女性・かわいさ専)。

世界一かわいい(主観)私のポケモンと二人三脚で努力してきた甲斐あって、先日ようやくハイパーランクまで昇格できました。

しかし、どれだけランクを上げても逃れられない災難があるということを思い知り、この投稿を書いています。
それは「おいしい水おじさん」との戦いです。



知っての通りポケコンはポケモンの見た目やわざの魅力を競い合う大会ですが、ポケモンだけでなく、私たちネーター(コーディネーターの略)もドレスアップして舞台へ上がります。
ポケモンとネーターのファッションが総合して評価されたり、大会によってはダンスを覚えたりしないといけないので、ネーターはポケモンと同じぐらい自分自身を磨く必要があるのです。

コンテストの観客層は基本ポケモン愛好家の人たちですが、ネーターを見る目的の人もかなりいて、人気のあるネーターには多数のファンがつき、ファンコミュニティ的なものも形成されていきます。
私が主戦場にしているかわいさ部門は特に年齢層が低く女性ネーターが多いので、アイドルを追うようにコンテストを見に来ている男性ファン=ポタクの存在が目立ちます(私の体感では半数近くがそれです)。

観客投票による審査が実質ネーターの人気投票になってしまう場合もあり、ポケコン界隈では少し前から問題になっています。ですが問題はそれだけではありません。



コンテストの現場ではアピールタイムの後、審査結果が出るまでのあいだに「ミーティング」と呼ばれる時間があります。
ネーターがステージから降りて、見に来てくれたお客さんたちとロビーなどで直接交流する時間です(ネーター側がアピールのため自発的に始めた文化らしく、運営は黙認しているのが現状です)。

ポタクたちも、推しネーターを間近で見ようとミーティングにやってきます。それなりに古参な私の元にも、おかげさまでそういう人たちはそこそこ集まってきます。
彼らのほとんどは控え目で礼儀正しく、黙って物販だけ買っていくような人も多いのですが(私は怖いので物販やってません)、中には推しに認知してもらうためか突飛な行動をとり、ネーターを困らせる厄介ポタクが存在するのです。

厄介ポタク行為の代表例として、「おつかれさま、ノド渇いてない?」等と言ってリュックから「おいしい水」を取り出し、無理やり渡してくるというものがあります。
私も昔、勢いに押され受け取ってしまったことがあるのですが、あとで確認したら既にフタが空いていて、真顔でゴミ箱に放り投げたのを覚えています。
推しに受け取り拒否されたおいしい水をそのまま他のネーターに渡そうとする、特性「はがねのせいしん」的な人を見かけたこともありました。

同様の行為を行う厄介ポタクが複数人存在することが界隈で話題になり、彼らは決してお茶やミックスオレは選ばず、最もリーズナブルなおいしい水を渡そうとしてくることから、「おいしい水おじさん」と呼ばれるようになりました。
(単に『水』と呼ばれたり、水で喜ぶと思ってることから『警備員』とも呼ばれてました)

現在「おいしい水おじさん」は、ネーターに物品を渡しそうとしたり、過激な言動をとるポタク全体を指す用語として使われています。
ポケコン界隈に詳しくない人は知らないでしょうが、私たちネーターはポケモンや自分を磨く努力と並行して、襲来するおいしい水おじさんをいかにしてかわし、退けるかという戦いも強いられているのです…。

コンテストの所属ランクがアップし注目度が上がるほど、おいしい水おじさんは淘汰されていく傾向にあります(ファン数が増えて接触のチャンスが減ったり、ファン同士の自治が進むため)。
逆に言えば新人のネーターが集まるノーマルランクのミーティングはかなりハードで、気を抜くと強火の水おじさんが集まってくるチャンピオンロード状態な時もあります。

私がノーマルランクにいた頃問題になったのは「きんのたまおじさん」でした。ミーティングの際にネーターの女の子を狙って「これ、欲しい?」とバッグからきんのたまを取り出し、女の子の反応をニヤニヤ楽しむというなかなか最悪な行為を続けていました。
一度あるネーターの子が「え~ありがと~♪」ときんのたまをそのまま受け取ってしまったことがあったのですが、翌週おじさんは新しいきんのたまを用意して同じことをしていたので、筋金入りだったんだなあと思いました。
(余談ですが、「ファンからの物品は直接受け取らない」という不文律を守らないで、目先の人気取りや小銭稼ぎに走るネーターの存在がこの問題をより面倒にしていると感じます)

私自身はきんのたまおじさんにアプローチされたことはないのですが、経験した中で強烈だったのは「がくしゅうそうちおじさん」です。
最初は普通に、ポケモンかわいかったよ、アピールすごいねなど他愛無い会話をしていたおじさんが、突然足元のボストンバッグをゴソゴソしだし、ヘッドギアを2つ取り出したのです。
その片方を頭にかぶったおじさんは「これ、がくしゅうそうち、Tちゃん(私)に、ボクの経験値をあげようと思って」と言い、もう片方を私の頭にかぶせようとしてきました。

 …いやいやいや、それポケモン用の道具でしょ? 何やってんの!?
 そもそもおじさんからもらえる経験値って、私に必要!?

その場は愛想笑いでどうにかかわしました。
ああいうごっこ遊びでじゃれたがる人もいるんだな~などと思っていましたが、後日聞いたところによると、おじさんはあのやり方で「女性ネーターの頭髪を集めていた」らしいです。

その後運営による観客の手荷物チェックが行われるようになり、大きな物や貴重品は場内持ち込み不可になったことで、きんのたまおじさんやがくしゅうそうちおじさんは姿を消しました(そしてコンパクトなおいしい水系のおじさんが台頭しました)。

しかし、小規模な非公式のコンテストでは現在もこのような状況が続いており、しめつけバンドやあなぬけのヒモを用いた露骨なセクハラや、盗聴器を仕込んだピッピ人形を渡そうとするなどの事件が起きているそうです。


ハイパーランクに上がって以降、私自身は以前よりずいぶんコーディネートに集中できる環境になったのですが、それでもおいしい水おじさんはやってきます。以下に私が実際に遭遇したり、友人から聞いた実際のケースをリストアップします。

・「Tちゃんはさァ~天然なとこあるからァ~」と言い「ちりょくのハネ」を渡そうとしてくる
・↑と同じ人が「これ好きでしょ、食べて」と笑いながら「のんきミント」を嗅がせようとしてくる
・「ゆでタマゴ」を渡してくる(放り投げてきたので思わず受け取ってしまった)
・ステージ審査の最中に客席から「きあいのタスキ」を投げ込もうとする
・ネーターが他のお客さんの対応をしている隙に、出場ポケモンのロコンを「ほのおのいし」で勝手に進化させようとする(犯人曰く「サプライズで喜んでほしかった」らしい)

…等々、例を挙げればキリがないのが現状です。


言うまでもないことですが、ネーターファンのポタクのすべてがこういうやばい人たちというわけではありません。
むしろ「推しを困らせてはならない」という共通認識をきちんと持って、ポケモンについても自主的に勉強して評価してくれる人がたくさんいます。

そんなポタクの皆さんに、ネーターを入り口にしてポケモンの方にも興味を持ってほしい、魅力的なポケモンたちを好きになってもらうにはどうすればいいのかというのが、ポケコン界隈のポジティブな課題としてあるんじゃないかと私は思います。

しかしその一方で、ポケモンそっちのけでネーターにばかりしつこく絡み、自己顕示欲とおかしなリビドーを無節操にぶつけてくるおいしい水おじさん共に対しては、私は怒りを込めてはっきりこう言いたいと思います。


お前らをポケモンの、そして私のファンだと思ったことは一度もねえよ。
二度と私たちの本気の場を邪魔するな。殻にこもってナパーム弾でも食らっとけ。


…熱くなってしまいましたが、おいしい水おじさんによって現場のネーターたちが被害に遭っているのは事実であり、由々しき問題です。

これに対して、
「お前らもチヤホヤされたくてやってるんだから文句言うな」
「そんなに嫌ならステージから降りてミーティングなんかやらなきゃいい」

という意見が出てくると思います(私も人から直接言われたことがあります)。

断言しておきたいのは、コーディネーターは誰だって、まず自分のポケモンを評価してほしいからやっているんだということです。
大事なポケモンの隣にいて恥ずかしくないように自分を磨いているんです。

中には自分自身を売り出すためにポケモンをダシに使ってる人もいましたが、そういう人は例外なく途中でどこかへ消えていきました。
ポケモンのコーディネートは想像以上の大仕事です。自分がチヤホヤされたいだけならこんな非効率なやり方おすすめしません。

そしてミーティングについては、すでにコンテストの一部分として重要な役割を担っており、ネーターとしてはいきなり「ハイやめまーす」とは言えません。
この文章ではキツい部分ばかりを書いてしまいましたが、ファンの方との直接の交流は、嫌なことの100倍、1000倍以上、うれしい言葉やためになることを聞けて、あったかいエールを受け取ることができます。
私はその幸せを1・2のポカン!と忘れられそうにはありません。
(ファンとの交流を制限してミーティングをしないネーターさんを否定するつもりはありません。こればかりはスタイルの問題だと思います。)

ファンの方と素晴らしい時間を過ごしたいという気持ちが、嫌なことをガマンしなければいけない理由にはならないはずです。わがままと批判されても、私は譲る気はありません。

…まあ、運営の黙認とネーター同士の不文律で成り立ってる現状のミーティングはいつか破綻すると思うので、早いうちに運営を巻き込んだシステムとルールの構築をした方がいいとは思いますが。


さて、愚痴っぽい文章になりましたが(実際愚痴目的だし)、私は基本的に楽しくコンテストに参加しています。ライバルやファンのみんなと、これからもいろんな景色を見たい。そのための努力を最優先したい…。

だからできるだけさよなら、おいしい水おじさん。

たぶんこれからも、静かに戦っていくとは思いますが。

皆様におかれましては、ポケモンと人を思いやる気持ちを忘れずに、よければお近くのコンテストの現場に足を運んでみてください。魅力的なポケモンたちとコーディネーターが、皆様を待っていることでしょう。

…あ、その際は、荷物はなるべく軽めでお願いします。






追記。
男性ネーター界隈で話題になっている、アクシデントを装って自分のポケモンとネーターをキスさせようとする「ムチュールおばさん」については、情報が集まり次第また何か書くかもしれません。

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