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オリンピックボクシング代表選手について

どうもお久しぶりです。ポ・キールです。
前回のnoteからとても時間が空きましたが、とても書きたい話が出来たので久々に筆を取っている次第です。

こちらのニュースについてX上ではトレンドとなっていますが、誤った認識が多分に見受けられ、トランスジェンダー問題に繋げて語る人も多くいます。

これについて訂正考察を行っていきたいと思います。当然ながら批判どんとこいで。

ではスタート


1.今回の経緯

上記のリンクを踏んで記事を読んでいただければ大体解ると思いますが、パリオリンピックにおいて女子ボクシングでイタリア代表のカリニ選手とアルジェリアのケリフ選手が対戦しました。

数発のパンチを交わした後、46秒経過時点でカリニ選手が棄権を選び敗北。しばらくリングに座って涙を流した。

ケリフ選手は昨年の世界選手権大会では性別適格性検査で「不適格」となっている。

このようなニュースが流れた後、
「なんで世界選手権はアウトやのにオリンピック出てんねん!」
「女子ボクシングで男子が出てくんなや!」
「これやからトランスジェンダーは。」
「ケリフは男やのに女子の大会に出てきて汚い」
等のポストがたくさん流れたわけです。
※正確な情報を元に呟いている人も沢山います。

ケリフ選手の事を知らずに誤った投稿をしている人がおり、本質から外れているものも多いので、次はケリフ選手について見ていきます。



2.イマネ・ケリフ選手について

ケリフ選手は女性として産まれ、女性として育ち、ボクシング選手となり試合を繰り返します。

その中で昨年の世界選手権で性別適格性検査で「XY遺伝子を持っている」ことが判明、「テストステロン(俗に言う男性ホルモン)高値」のため不適格とされる。

というのも、「性別の判断」は出生時に男性器(おちんちん)が付いているかどうかで判断されます。
おちんちんが付いてるから男性。ついてないから女性。という具合に。

産まれてきた赤子全員を遺伝子検査にかけるのはコスト的に現実的ではなく、「女らしく成長しない」「妊娠しない」「スポーツ大会に出る」などの過程があって初めて検査を行い、そこで解る事がほとんどです。

結果、ケリフ選手は性分化疾患である事が解ったということとなります。

少なくとも「トランスジェンダー」や「男性選手が無双するために女性性を選んでいる」という事とは明らかに別の話であると言い切れます。

3.性分化疾患とは

一応これも説明しておきたいと思います。

ヒトはお母さんのお腹の中で自ら作ったの性ホルモンの影響を受けて性器(内外含む)が形成されていきます。

その時に「テストステロンが十分に出ない」「テストステロンを受け取ることが出来ない」などの影響で男性器が形成されなかったり、女性器を無くすホルモンが十分に働かずに女性器が残ったままになる。または両性の性器があるといった事があります。

これらが起こる要因は様々考えられるので全て列挙は出来ませんが「こういう事がある」と思って下さい。


4.ケリフ選手は男性か女性か?

これは非常に難しい問題だと思います。
遺伝子的に言うならば「XY」であるため男性です。

しかし、女性として産まれて女性として育っており、籍においても女性であるため社会的には女性です。

生物学的には何を重視するかで変わるので男性とも女性とも言えるでしょう。

私個人的には女性と思います。
しかしさらに踏み込んで「スポーツ大会において女性選手として出場して良いのか」と問われれば私は反対します。

「女性だと認めているが女性としてスポーツ大会に出るべきではない」という矛盾がここに発生しています。


5.男性女性で分けて良いのか

女子選手は一部競技において「テストステロン値」によって出場権が剥奪されます。女子陸上のセメンヤ選手は記憶に新しいところだと思います。

そもそもは「外性器で確認」していたところが、「遺伝子によって判別」、「テストステロン値で判別」と変遷してきた経緯があります。

ここでの問題は「女性として生きてきたのに女子選手と認められない」という事が発生してしまいます。「お前は女性じゃない」って言われてるみたいな。

だから「男性・女性」てレギュレーションを分けるのではなく、いっそ「テストステロン値〇〇以上、〇〇未満」って分けちゃえば良いじゃんという提案が思い浮かびます。

しかし、テストステロン値は常に一定であるわけではなく、「昨日はセーフだけど今日はアウト」みたいになる可能性があります。

当日で決めたらいいやんと思っても、「これまで積み重ねてきたものが当日に全部ふいになる」というのは中々に厳しいものがあります。

テストステロンは筋肥大に影響を及ぼすので、「当日に低くても練習中は高値でバリバリ筋肉がついた」ならば趣旨と外れています。

なら「ある期間毎日測れば良い」と言っても選手の負担が大きいですし、「それ全員するんか?」という疑問も浮かびます。

さらに言うなら「明確にXXであり、テストステロン高値の人はどうするんや?」という事も挙げられます。

そもそもスポーツのトップ選手って超人揃いで、骨格が優れていたり、「飯食えるのも才能」と言うように内臓機能が高かったり、筋肉の付きやすい体質であったり、脳の処理能力が高かったりします。

それを「テストステロン値だけで弾くのはどないや」となりませんか?「筋肉付きやすい体質なだけやんけ」と、「ならミオスタチン関連筋肥大(端的に言うとめっちゃ筋肉がつく病気)はええんか?」「成長ホルモンは?」と。

大体「テストステロン値のラインをどうやって決めるの?」となりますし、「基準値内ならより高いほうが有利(な可能性がある)」みたいなよくわからんことになります。

テストステロン値で判断するのは問題がありそうですよね。


6.ならなくしちゃえば?

これもひとつの意見だと思います。
いっそ性別を分けずに全部一緒くたにすればええやん。と。

でもこれだと女性がスポーツにおいて活躍する機会が大幅に減りますよね?

私は突き詰めると、差別とか平等とかって視点では女性をわざわざ活躍させる必要があるともあんまり思わないんですが「レギュレーション」って面白さの幅を拡げるためにあった方が良いと思います。

例えば柔道やボクシングって体重で階級が分かれていて、階級によって違う面白さがありますよね。無差別級だけににしちゃうとデカくて重いやつばっかで迫力はあれど大味になっちゃいます。

私個人的には、陸上とかの記録を追い求める競技では女子には興味が沸かないんですが、体操は種目が違いますし、球技などの対戦競技は面白いと思って見ています。特にバレーは男子は速すぎて何やってるかわからないので女子の方が楽しめますし、柔道の史上最高の選手は田村(谷)亮子さんだと思っています。

そうなると男女のレギュレーションは無くし難いですよね。


7.私の提案

私はいっそ「Yあり・Xのみ」に分けたら良いと思います。

何故「XY・XX」ではないのかと言うと「クラインフェルター症候群(XXY)はどうすんねん?」「ターナー症候群(X)は?」などモノソミー、トリソミーを振り分けるためです。 

「男女」と銘打たないことで、「女性なのに女子競技に出れない」という状況を無くすことが出来ますし、明確で単純明快な基準を設定しているので迷うことはありません。

トランスジェンダーの方もきっちり分けることが出来ます。MtFの人は「Yあり」で頑張ってもらえば良いです。

当然今回のケリフ選手のような性分化疾患の方も「Xのみ」の方には出ることが叶いませんが「Yあり」の方で出場可能です。

それで出れなかったとしたら残念とは思いますが、特段可哀想とは思いません。「いわゆる一般男性が十分な素質がないために出られなかった」と同じ事なので。

素質や才能なく勝てない人のことを考えても仕方がないですよね。実力が第一であるべきです。

※日常生活における生きづらさという話は置いてあります。今回はスポーツ競技における話です。

まあこれはこれで問題が無いとは言いませんが、まだマシな提案かなとは考えています。


終わりに

話が二転三転してしまい、よくわからない内容になってしまった部分もありますが、言いたいことは「明確な基準設定って大事だよね」ってことと、「昨今の風潮に流されて脊髄反射的に批判するのは違うよね」ってことです。

私的にも柔道の審判とか思うことはありますが、楽しむことを最優先にした方が良いですよね。

皆様がオリンピックを楽しめること、選手皆さんが力を出し切ってより良きパフォーマンスを出せることを祈っています。

ではまたいつか。(いつになるか本当にわからんな)


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