【おはなし】初めての鬼 #毎週ショートショートnote
私はよっちゃん。5歳。次の春が来たら小学生になるけぇ楽しみ。
お母ちゃんは夜に魚市場の食堂で働きょーるけぇ、私が保育園に行っとる間は寝とる。
でも、親子遠足や運動会の時は来てくれるんよ。
今日は運動会。
お母ちゃんと一緒に走るんぢゃ。お母ちゃんは走るのが速いんぢゃって。
ドキドキする。
次の競技は「鬼のパンツ」です。お家の方と一緒に元気に走りましょう!
黄色と黒のトラ模様の、大きな大きなパンツ。
右と左の足の所に、私とお母ちゃんが入って準備ができた。
「よっちゃん、一等賞とっちゃろーや!」
「うん!」
パーンッ
お母ちゃんは私の手をつかんで走り出した。
「わぁーーっ」
私とお母ちゃんが足になった大きな鬼のパンツは、白いテープに飛び込んだ。
「走ったんか飛んだんか分からんかったが!お母ちゃんは、ほんとに足が速かったんぢゃなぁ!」
はぁはぁと息を弾ませて言うと、
「そうじゃろう?」とお母ちゃんは笑った。
初めての鬼のパンツは、お母ちゃんとの汗と笑顔の思い出。
(415字)
下記の企画に参加させていただいております。
今回のお題発表の記事で「チャリンチャリン太郎」と「ビール傘」を紹介していただきました!
嬉しいですっ。驚きと感激。ありがとうございます。
これからも楽しく参加させていただきます。
よっちゃんシリーズ記念すべき初回はこちらです。