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大人になって泣き虫になった

子どもの頃の私は大人は泣かないものなんだと思っていた。

両親や学校の先生、いつも行くお店の店員さん。

自分の周りの大人たちはいつも涙とは無縁の顔をしてそこにいたから。

大人になった今、驚いている。

子どもの頃より泣いている自分がいるからだ。

きっと私は今の方が泣き虫だ。

大人になって、社会人になって、自分のポンコツ具合に驚いた。

出来ない、出来ない、出来ないばかりの日常。

マルチタスクが出来ない。優先順位がたてられない。積み重なった仕事の山。なんとか減らそうと焦ってしたものはミスを連発し、何度も始末書を書いた。

呪文のように「落ち着け」と「頑張れ」を心の中で繰り返していた。

悔しさが恥ずかしさが悲しさが限界値を超えると涙が止まらなくなった。

仕事中に泣くなんて……。

周りの冷たい目。甘えている。みっともない。

それは自分が一番よく分かっていて、泣いちゃいけないと思えば思うほど涙は止まらなくなった。

一体どうしたらいいのだろう。

悩んで悩んで辿り着いた答えがある。

それは泣く自分を許すこと。

へたに泣くのを我慢するとその状態が長引いてしまう。呑み込んだものはなくならない。ただ、沈んで積もっていく。

それならばいっそ開き直って、トイレでも屋上でも一人になれるところに行って全力で泣いてしまうことにした。

時計を見て10分だけと決めて、その間は全力で泣く。

もっと時間が欲しい時は昼休みまで待って、昼ごはん片手に1人で泣いた。

そうすることでいつもの自分に戻ることが出来た。

泣いている暇があるなら仕事をしろという声が聞こえてきそうだが、社会人である前に私は1人の人間だ。

だからこそ自分ぐらいは弱い部分を許したい。

そして、許した上で強い部分を引き寄せたい。

逃げるために甘えるために泣くんじゃない。乗り越えるために私は泣く。


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