花曇り、足元にドクターマーチン
類は友を呼ぶ、という言葉に殺されかけています
自分という人間を明確に表現できないまま生きてきたせいで、周りに心から信じられるひとがいない
一挙手一投足、言葉の端々に気を遣うようになって、また気を遣っていないと落ち着かなくなってしまった 今のはウザくないか、キモくないかと
私は何を間違えたんだろうか。どこをどう直せば、信じるに値するひとと巡り会えるんだろうか
類は友を呼ぶというのだから、私に悪いところがあるんだろ、だから誰か教えておくれよそれを
また死にたくなった
なにかあると、すぐ死を考えてしまう思考回路があまりにも安直で笑えたし、悔しかった
って、思ってたのは昼のこと。
雨は17時から降るって天気予報にはあったし、それを信じて新品の靴を選んだのに、ぶ厚い雲が1時間早くやってきて雨を降らせた。
ただでさえ落ち込んでいた私の気分は、最悪のその先を行った。
つやつやの黒い革の上、絶え間なく落ちてくる雨粒を、じっと眺めて、眺めているうちに
ふつふつふつふつ腹が立ってきた
さっき、起こったことがらに
ないがしろにしたあいつらに
されたわたしの弱さに
私に怒る権利はあるだろうか。立たされた「いま」に、理不尽だと声を荒げる権利はあるだろうか。この怒りが正当か不当か、決める権利は果たして私にあるのだろうか
考えながら、道を歩き、歩きながらドクターマーチンを目で追い続ける。私のマーチンは雨に濡れても依然かっこよかった。途中から考えるのをやめ、歩くこととマーチンを見ることだけに神経を集中させていた。
ドクターマーチンは、父が履いていてずっと憧れていた靴。決して安価なものではないのに、受験の激励としてこの春、両親が買ってくれた。ドクターマーチンを履くような高校生は日本に何人いるだろう。
ロックンロールの聖地、イギリスで生まれたマーチンには、本革であるのも相まってちょっとやそっとでは曲がらない強さがある。まるで、何かに抗うような。シンプルな黒いボディにあかるい黄色のステッチが入っているのも、遊び心というか、メインカルチャーに静かに刃向かおうとする闘争心みたいなものを感じる。
それはつまりrock 'n' rollだ
ドクターマーチンを履くにふさわしい人間になるためには、私にもそういう強さがなくてはならないと思う。そもそもどうしてあいつらのために私が死ななきゃならないんだ、そんなのおかしいだろ
わたしは胸を張って、信じた道を堂々と征こうじゃないか
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