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『お笑い好き』の呪い

お笑いの賞レースを見たあとは、noteで色んな人の感想をひたすら見るのがすごく好きだ。

お笑い好きは、お笑いが好きじゃない人に比べて『物事を面白がる才能』があるのだと思う。


お笑いが好きじゃない人に好きな芸人さんのネタ動画を見せて、自分が思ってたよりも笑ってくれた時が1度でもあっただろうか。


お笑い好きじゃない人は、テレビで賞レースをたまたま見ても「最近の芸人はつまらんのばっかりやなあ」とかつぶやく。自分が面白がれてないだけなのに。


よっぽど面白くない芸人ならまだしも、テレビでネタを出来るくらいには知名度がある芸人に対して「知らない」「つまらない」とか言っちゃう。


お笑い好きからすれば「自分には物事を面白がる度量がない、つまらない人間です」アピールでしかないのに。


しかし『お笑い好き』と言われる人たちにも、決定的な欠点がある。

「好きなお笑い」と「嫌いなお笑い」が存在することだ。

お笑い好きじゃない人からすれば「お笑いなんてどれも同じで、別に好きな芸人も嫌いな芸人もない」のだろうが、彼らは違う。

少なからず彼らには「お笑い」が好きになったきっかけのネタや、ルーツである芸人さんがいる。

その芸人がきっかけで周りの芸人さんについて知ったりライブに行って知らなかった芸人さんのネタを見たり。色んな経験や知識を得て、楽しみながらお笑い好きになっていく訳だが、


詳しくなれば自ずと、好き嫌いが生まれてくる。


好みのネタや芸人さんが増える分、その逆もある。


ギャグがとても面白い芸人さんが好きな人は、高度な会話や設定から笑いが生まれる長編コントが好きじゃないかもしれない。大喜利系フリップ芸人が好きな人は、中堅、ベテラン枠あたりの長尺時事ネタ漫才を見ていて退屈するかもしれない。



好き嫌いがあって当然。という話ではあるが、
人が不快になるネタをする芸人はそういないので、
言葉にするなら『好き』か『認めていない』の2択に分かれてしまう。

お笑いが好きなはずなのに。


みなさんも「今まで食わず嫌いしてきたけどネタを見たらすごく好きになった」という芸人さんがいるんじゃないだろうか?



『自分の好きなお笑い』ではなさそうな芸人を、無意識に避け、たまたま流れてきたらよく知らないままアンチコメントしてしまう、そんな人がお笑い好きの中にはいる。それも沢山。
それに反論するファンと、「信者め」とさらに反論する知らない人。


私はこれを『お笑い好きの呪い』と名づけたい。


なぜ急にこんなことを言い出したのかというと、私もその呪いに苦しめられているからだ。


私の『お笑い好き』のルーツは、高校1年生の時に出会ったラーメンズだ。

YouTubeに100本近く上がったネタ動画のうちの一つを見て、人生が変わってしまった。

片桐仁のキャラクター性の高い顔や演技もすごく好きだが、それより小林賢太郎のつくる、不思議で美しくて面白い世界に魅了された私は、芸人や作家の中にウヨウヨいるであろう『コバケンチルドレン』に高校1年生で早くも仲間入りしてしまった。


そんな私の好きな『お笑い』を簡潔に説明すると、

・不自然な説明ゼリフの無い洗練されたコント
・台本だけ読んでも面白そうな、設定や人物設定が面白いコント
・長尺で『面白い』だけじゃない、驚き、ほっこりなど他の感情も揺さぶられる仕掛けのあるコント
・気の狂ったコントに入る相方を、外側からツッコむ漫才
・面白いこと言わなそうな人がやる面白い漫才


こうだ。コバケンイズムが見事に現れていて正直とても恥ずかしい。




逆に『認めていないお笑い』をあげてみると、

・見た目が変(雑な女装など)なだけの登場人物にリアクションするだけコント
・ボケのキャラや「言い方」だけでウケようとするコント
・『今から面白いこと言うぞ~』顔でボケる芸人
・説明ゼリフが多かったり、小道具の奇抜さでウケようとするコント
・野球ネタや選手のモノマネで笑いが取れると思っている人

になる。
認めてないコントいっぱいあるな〜この人。




もう大体雰囲気はわかったかもしれないが、
正直に言えば今の私の『好き』はダウ90000で、『認めていない』はジェラードンだ。


私は『好き』なダウ90000は単独に行ったりYouTubeのネタを全部見たりしているが、『認めていない』ジェラードンは劇場で見た事がないだけでなく、キングオブコントの決勝とYouTubeでネタ数本を見ただけなのだ。

好きだから色んなネタやコンテンツを見るし、認めていない(好きじゃない)から見ない。


当たり前のことなのだが、

結果、クリームパンのパンの部分だけ食べて「味がない」と言い放ってしまっている状況だ。


私の好きなダウ90000は、その呪いの被害を今の若手で1番くらい受けているグループだといえる。

「コントじゃない」「青春感が嫌い」「多いだけで目立ってる」「賞レースでは勝てない」「大きい笑いは起きない」「"陽"の感じが嫌い」


こう言っている人が周りにいたら気をつけてください、

そいつ、ダウ90000の事そんなに知りません。一口かじったことあるだけです。


僕がジェラードンやネルソンズを認められていないように、彼らはダウ90000のことを認められてないのです、まだ。


この「まだ」が非常に重要で、ある程度名前のしれた芸人なら誰にだって好かれる要素、人気の出る理由がある訳で、知れば知るほど面白い部分が分かっていくのです。


まだ分からない、ただそれだけなのです。


長くなってしまったが、結果
お笑い好きに友達が多くない理由として

お笑い好き ←😡→ お笑い好きじゃない人
お笑い好き ←💓→ お笑い好き

ではなく、

お笑い好き ←🙂→ お笑い好きじゃない人
お笑い好き ←😡→ 違うタイプのお笑い好き

であることが言えるのだろう。


みんなの周りにお笑い好きな人がいたら、
友達になってあげてね。

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