昼間の様子

 リモートワークがひと段落した午後。
 私はすぐさま近隣のスーパーへと足を運んだ。
 たどり着くと、中では幾人もの利用客が食品棚と睨めっこしている。
 平日の昼間のため、会社員や工事現場の格好をした者、主婦や老人など年齢層は様々である。
 私はいつもの菓子パン棚の前に立つと、特にこれといった目当ての品も考えることなく、右から左へと商品と値札に目を通す。
 私が商品を選ぶときの第一前提。それすなわち、値段である。多くの商品に言えることだが、安いものほど質が悪いというのは、某百円ショップでアルバイトをした私は心得ていた。
 もちろん全てが悪いというわけではないが、あまりにも値段が安いと、セールでもない限りその商品は、その値段に見合った範囲の性能しか発揮しない。なので人々は、高額と低額の間、手頃で長持ちする商品を手に取るのだ。
 しかし私は違う。
 人によっては反感を買うのかもしれないが、私は安くて高い性能を誇る商品を常に求めている。
 安い料理で例えるなら分かりやすいが、味がしっかりとしてて、尚且つ安価のものこそ私の理想である。
 しかし今回は菓子パンだ。
 あまり手の込んだスパイスは期待できそうにない。
 私は予算三百円を念頭に置きながら値段に睨みを効かせ、定価百四十円ほどの食パンを手に取り、レジへと向かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?