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UBI版Might and Magicシリーズの歴史と世界設定のまとめ その3


歴史の時代(現代) - その2

ネクロマンサーの追放 (771 YSD)

魔術師の国である七都市でネクロマンシーが禁忌とされ、ネクロマンサーは追放処分となりました。ネクロマンサー側も黙ってこれを受け入れたわけではなく激しく抵抗し七都市は内戦状態に陥りました。結局この戦いでネクロマンサーは敗れ、東の荒野ヘレシュへと逃れそこに新たな国のナル・ヘレシュを興しました。人間、エルフからの援助も得て勝利した他の魔術師の側も損害は大きく、多数の都市が廃墟と化し、特に南方は不毛の砂漠地帯へと変わりました。生き残った魔術師たちは強力な魔術師であるサイラスを中心として新たな国のシルバーシティを作り上げます。

折れた杖の戦争 (813-822 YSD)

追放されたネクロマンサーはヘレシュで力を蓄え、恨みをはらすためシルバーシティに攻め寄せてきました。当初はネクロマンサー側が優勢でしたが後に魔術師側が挽回し、ネクロマンシーの創始者である死の天使ベルケスを殺害、ナル・ヘレシュを破壊し尽くします。これによりまだ生き残っていたネクロマンサーたちは各地に離散し、その一部は神聖ファルコン帝国に潜入することになります。

第4の月蝕 - 第4次対デーモン戦争 (843 YSD)

久々に月蝕が訪れてデーモンの大規模侵攻が始まります。地上での戦いは神聖ファルコン帝国側が勝利したものの、カ・ベレスは同時にサキュバスのジェズベスを工作員として帝国の首都ファルコンズ・リーチへ送り込んでおり、皇帝メイヴを暗殺、首都を焼き払ってしまいました。その混乱の後で唯一残されていたファルコン王朝の正当な跡継ぎであるブレンダン・ファルコンも謎の暗殺者組織ブレイズにより暗殺されてしまいます。誰がブレイズに暗殺を依頼したのかはこの時点では不明でした。

女帝メイヴを暗殺し首都に破壊をもたらしたサキュバスのジェズベス。
元は人間の魔術師でしたが第2の月蝕で悪魔崇拝者であることが露見し倒された後は
シェオグに逃れデーモンになりました
Clash of Heroesに登場する
割と日本人受けも良さそうなジェズベス

神聖ファルコン帝国から神聖グリフィン帝国へ (845-853 YSD)

内戦の中で特に激しく戦ったのがグリフィン公爵家のイワンとスタッグ公爵のシェイマスでした。イワンはまだ帝国が健在な頃から他種族と積極的に交流するなど優れた統治の手腕を見せグリフィン公国を発展させていましたが一方でシェイマスは教会の支持を取り付け、新たな皇帝を名乗ります。
イワンは一旦はシェイマスに従ったものの対立は収まらず、武力衝突に発展します。この戦いでは他の公爵の支援を受けたシェイマスがイワンを打ち破るものの、かねてより付き合いのあったシルバーシティや他種族の実力者がイワンを助け、互角の状態に戻ります。
長く続いた戦いに倦んだイワンはシェイマスからの停戦の申し出を受け入れることにしますがそれは彼をおびき出すための罠でした。ブレイズに襲われたイワンはからくも逃げ延びましたが、それによりブレンダン・ファルコンを暗殺させたのがシェイマスだったことが判明します。
これにより他の公爵家や教会もシェイマスの元から離反しイワンを正当な皇帝と認め、皇帝となったイワンはシェイマスを討伐してようやく内戦は終結しました。

神聖グリフィン帝国の皇帝となったイワン・グリフィン
イワンと激しく争ったスタッグ公爵シェイマス・ナ・フェイド
(スタッグ公爵家は途中で断絶しその血縁者が後を継いだ)

束縛の剣を巡る争い (929 YSD)

Clash of Heroesで描かれる物語です。リマスター版が出るのでネタバレを避けるためこの部分は割愛させて頂きます。

第5の月蝕 - 第5次対デーモン戦争(灰色の同盟の戦争 951 YSD)

再びデーモンの大規模侵攻が起こり、地上側は人間、エルフ、魔術師が連合軍を結成してこれに立ち向かいました。人間の代表は神聖グリフィン帝国の皇帝アレクセイ、エルフの代表はバニエルの後を継いで上王となっていたアラロン、魔術師の代表はシルバーシティの代表であるサイラスでした。この連合軍はついにカ・ベレス率いるデーモン軍を撃破し、アレクセイは止めをさすためにシェオグへ進軍します。しかしアラロン、サイラスは無謀すぎるとして彼を見捨てました。そのため単独でシェオグに突入することになったアレクセイ率いる人間の軍勢は全滅、アレクセイも討ち死にしました。竜騎士団の生き残りであったティエルがアレクセイの魂だけを回収し、それを元にグリフィンの心臓と呼ばれるアーティファクトを作成しました。これはデーモンを打ち払う力を持ち、その後の戦いで活躍していくことになります。皇帝の座はアレクセイの子ニコライが継ぎました。

地の元素竜シランナの眷属でエルフの同盟者でもあったエメラルドドラゴンはアラロンの卑怯な行いに憤激しイローランとの関わりを絶ちました。アラロンは閉鎖的だったエルフの社会を改革し、他種族とも積極的に交流することで国力を高めましたが、エメラルドドラゴンの離反はエルフにとって大きな打撃となり、後にその影響で彼自身も命を落とすことになります。

第6の月蝕 - 第6次対デーモン戦争(女王イザベラの戦争 969 YSD)

この戦いはUBI版Might and Magicで初の作品となるHeroes of Might and Magic 5で描かれています。この当時はシリーズの名前はHeroesが先だったのですが、後に6が発売されて少し経った頃に現在のMight and Magic: Heroesへと改められました。

即位時は幼かったグリフィン帝国の新皇帝ニコライが成人し、グレイハウンド公爵家のイザベルと結婚式を挙げますがそれと同日に再びデーモンの大規模侵攻が開始されました。ニコライはグリフィンの心臓を携え、軍勢を率いてデーモンとの戦いに出立します。

残された皇妃イザベラは軍勢を集めて夫の支援に向かおうとしますが、その眼前でニコライはダークエルフのレーラグが姿を変えていたデーモンのアグラエルの手にかかって戦死してしまいます。悲嘆にくれるイザベラに接触してきたのはネクロマンサーのマーカルでした。彼は先帝アレクセイの妻フィオナの親しい友人として宮廷に留まっていましたが、邪悪な研究に勤しんでいたことが見つかって追放された身でした。彼は自らの術でニコライを蘇生させると請け負いました。しかし復活したニコライは人間ではなくヴァンパイアに変わっており、イザベラに対しなぜ自分をこんな化け物として蘇らせたのかと呪詛の言葉をなげかけ、イザベラは激しい衝撃を受けます。

グレイハウンド公爵家出身のイザベラ

自失状態となったイザベラから国権を奪い取ったマーカルはヴァンパイアとなったニコライに率いさせたアンデッドの軍隊で帝国内の反抗勢力およびエルフの国のイローラン、魔術師の治めるシルバーシティを攻撃し陥落させます。イローランではレンジャーのフィンダンがアラロンの命を受けてエメラルドドラゴンとの関係修復に努め、これに成功していたもののアンデッド軍の侵攻には間に合いませんでした。

皇帝ニコライを倒したアグラエルは自らが敵であるイザベラに惹かれていることを自覚します。またカ・ベレスより与えられていた任務であったグリフィンの心臓の奪取に失敗したことで立場も悪化、そんな彼にそのグリフィンの心臓を作った張本人である竜騎士団のティエルが接触してきます。
ティエルの手引きで元のダークエルフに戻ったレーラグはイグ・シャルに帰還、有力なリーダーの不在で分裂していたダークエルフを統一し、イザベラを救出するために軍勢を率いて神聖グリフィン帝国へと向かいます。

神聖グリフィン帝国の忠臣ゴドリック、イローランのフィンダン、シルバーシティの代表で今はなきサイラスの子であるゼヒールはそれぞれの勢力を引き連れ、この連合軍によりマーカル、ニコライ、アンデッド軍は敗北します。しかしその頃イザベルは既にカ・ベレスにより連れ去られた後でした。そのことをレーラグより知らされた3人の英雄は、レーラグも仲間に加えてシェオグに向かいます。カ・ベレスは連合軍と戦いますが敗れ、逃げ延びます。連合軍はイザベラを伴い地上へ帰還しますが、彼女の目は不気味に赤く輝いていました…。

神聖グリフィン帝国から神聖ユニコーン帝国へ (969-973 YSD)

Heroes 5より続く物語で、拡張版のHammers of Fate、Tribes of the Eastで描かれている戦いです。

地上へ帰還して正式に女帝となったイザベラでしたが、彼女は性格がすっかり変わっていて、無実の人間に罪を着せて反乱者として処刑しようとしたり、ドワーフの王国へ攻め込むなどの暴挙を繰り返していました。
実はゴドリックらが連れ帰ったイザベラはレーラグが配下の女魔術師を変身させてでっちあげた偽物、レーラグは本物のイザベラとイグ・シャルで仲睦まじく過ごしていたのですが、この女魔術師はデーモンの1種族であるサキュバスのビアラが変身した姿だったのです。ゴドリックらを欺いていたつもりだったレーラグ自身も騙されていたわけですね。ビアラの差金により神聖グリフィン帝国は徐々に悪魔崇拝者によって蝕まれていくことになります。

この混乱に終止符を打ったのがネクロマンサーのアランティールでした。マーカルが敗れた後、強力な指導者が不在となったヘレシュで急速に勢力を伸ばした彼はエイシャより啓示を受けシルバーシティに向かい、そこでデーモンを崇めるカルト信者と遭遇します。悪魔崇拝者の首魁が神聖グリフィン帝国にいることを知った彼は討伐のために帝国へと向かいます。

悪魔崇拝者との戦いの中でアランティールは1人の予言者と出会います。彼女曰くデーモンメサイアの予言の成就を阻むためには第7のドラゴンの頭蓋骨と呼ばれるアーティファクトが必要になる、しかしアランティールはそれを手に入れるための戦いで命を落とすことになるだろうとのことでした。アランティールは「世界そのものが滅びようとしているのに自らの安全を考えてどうなる?」と喝破し、悪魔崇拝者の根絶とアーティファクト探索のために旅立っていくのでした。

神聖グリフィン帝国をデーモンの支配から解放した
ネクロマンサーのアランティール。
その後もデーモンメサイアの予言の成就を阻むために戦い続けますが…

アランティールの活躍により偽の女帝イザベラの正体が暴かれ、これを打倒するために各勢力が立ち上がります。イザベラになりすましていたビアラの策謀でゴドリックは既に殺されていましたがその娘のフリーダ、女王イザベラの戦争でも活躍した魔術師のゼヒール、ダークエルフ、ドワーフ、オークの軍勢はビアラに決戦を挑み、これを撃破します。ビアラはその場に現れた本物のイザベラによって滅ぼされます。そしてイザベラはこの戦いで功のあったフリーダに皇帝の座を譲ると発表します。ゴドリック、フリーダはユニコーン公国の当主であったため、これより神聖グリフィン帝国は神聖ユニコーン帝国に改められることになります。

デーモンメサイアの予言の成就

カ・ベレスとイザベラの間に産まれた子のサレスは悪魔崇拝者によって連れ去られ、養育されていました。成長した彼は師匠のフェンリグと共にシャンティリ帝国の遺跡を訪れ、シャンティリ・クリスタルを手に入れます。これはシェオグの封印を解くのに必要な第7のドラゴンの頭蓋骨への道しるべとなるものでした。そこから始まる戦いがシリーズの中で時系列的には最後に位置するDark Messiah of Might and Magicです。開発は後にDishonored、Preyなどを手掛けイマーシブシムの名手と言われたArkane Studioです。Arkaneといい、Clash of HeroesのCapy(Capybara Games)といい、このシリーズはなぜこうした素晴らしい開発会社にメインラインではなくスピンオフ的な位置づけの作品を担当させてしまうのか…

その後サレスはフェンリグからの指示で仲間のメネラグが領主をしているストーンヘルムへと向かいます。その際にフェンリグはザナという精霊を案内役としてつけていますが実はザナの正体はカ・ベレスに使えるサキュバスで、フェンリグ、メネラグもれっきとした悪魔崇拝者です。

ストーンヘルムの領主メネラグ。
実は彼の名前はHeroes 5の拡張版Tribes of the Eastで
悪魔崇拝者の幹部として登場しています
(但しリリース時期的にはDark Messiahの方が先)

ストーンヘルムはアランティール率いるアンデッド軍の攻撃を受けており、メネラグもその兵の1人に殺されてクリスタルは奪われてしまいます。サレスはメネラグの姪にして弟子であるリアンナとともにクリスタルを追ってパオ諸島に向かい、一旦は第7のドラゴンの頭蓋骨を手に入れますがその後現れたアランティールの手にかかって一旦死を迎えます…がザナの持つデーモンの力により復活、この時からサレスはデーモンに変身できるようになります。

サレスはポータルを通ってヘレシュにあるアランティールの根拠地であるネクロポリスに向かいリアンナを救出します。アランティールは不在で、彼はストーンヘルムの全住民を生贄として捧げることでシェオグの封印を強化しようとしていました。ストーンヘルムに戻ったサレスはリアンナよりデーモンの力を浄化するように求められます。デーモンの力を浄化すると取り憑いていたザナもまた消滅します。逆にそれを拒絶した場合はリアンナと戦うことになります。

登場する味方の大半が実は世界の敵な中で
唯一の良心とも言えるヒロインのリアンナ。
彼女はメネラグの正体に気づいておらず全くのシロです

最終的にサレスはアランティールの儀式場に乗り込み彼を打倒、第7のドラゴンの頭蓋骨を使って儀式を行います。それがシェオグの封印を解くものであったのか、封印を強化するものであったのかは明かされていません(その先を描いた物語が出ていないので)。

イザベラとカ・ベレスの間に産まれたデーモンメサイアことサレス。
彼自身も途中まで自分の産まれについて何も知らず
師匠の正体やその思惑には最後まで気づいていないと思います
ゲーム後半でネクロポリスに行く時に
最下層でクソデカ蜘蛛が待ち構えていますが落ちている文章に
「偉大なるナムタルの餌を云々」という記述があります。
他のゲームで登場した時とは姿が全く違いますが
あの大蜘蛛がマザー・ナムタルだったのかも

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