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UBI版Might and Magicシリーズの歴史と世界設定のまとめ その1


Might and Magicシリーズとは

旧版(NWC版)の世界設定概要

NWC版でシリーズ全体を通して描かれるのは複数の惑星にまたがる文明を築いた古代人と、その敵対者であるクリーガンの間の戦いです。
旧版をプレイした人の感想として「唐突に宇宙レベルの話になるゲーム」というのがあると思いますがこれは当時国内で情報が不足していたことから起きた誤解で、実際にはシリーズの根幹の部分から宇宙は関わってきます。

Might and Magic 1の舞台となる世界はVARNという名前ですがこれは本来は機械の名前でVehicular Astropod Research Nacelleの頭文字を繋げたものです。古代人が惑星に投下してそこを居住可能な環境に作り変えるいわばテラフォーミング装置で、それを投下する母艦的存在が2の舞台となるCRON(Central Research Observational Nacelle)です。CRONは複数のVARNを管理していて内部には各VARNと行き来するポータルがあります。

1~5の話は古代人がこのVARNの1つが投下された惑星テラの管理者として派遣したアンドロイドのシェルテムが暴走したことから始まります。古代人はその対処のために同じくアンドロイドであったコーラックを派遣、この2人はVARN、CRON、テラで争い、最後はテラから発射された宇宙船でまた別の世界であるジーンに到着、ここでようやくシェルテムを追い詰めたコーラックは自爆して相打ちとなります…がなぜかその後もコーラックは普通に生きてます。

一方この頃、クリーガンが侵攻を開始し古代人の植民星ネットワークは寸断されてしまいます。また各植民星の住民たちは入植から長い時が過ぎたため、古代人のことは忘れられており、クリーガンのことは「天より降りてきた伝説の悪魔」と思っています。その侵略を受けた惑星の1つエンロスの現地住民とクリーガンの争いがMight and Magic 6~8、そしてスピンオフのHeroes 1~3あたりまで続きます。結局クリーガンは放逐され惑星エンロスに平和が戻りますが、その後色々あって結局惑星は滅亡、また新たな世界での物語が始まった…ところでNWCの親会社の3DO Companyが例のゲームハードの販売不振から経営難に陥り、NWCもそれに巻き込まれて消滅することになってしまいました。

版権の売却による世界設定の刷新

このあたり詳しい事情は明らかになっていませんがともかくMight and MagicのIP(版権)はUbisoftが取得することになり、その際にSF的な要素は削除して純粋なファンタジーものとしての新たな世界、歴史が作成されることになりました。この時にデザイナーとして参加したのがTRPGのデザイナーとしてWhite Wolfで働いていたリチャード・ダンスキー(トム・クランシー関連のゲームのライターもしています)、エルワン・ル・ブルトンの2名です。ル・ブルトンはその後2008年よりシリーズのプロデューサーとなりその後の作品の総指揮を務めています。

神話の時代

2匹の原初の竜の誕生とエイシャンの創造

ある時、何も存在しない虚無の中に2つの卵が現れ、そこから秩序を象徴するエイシャと混沌を象徴するウルガシュ、2匹の原初の竜が誕生しました。ウルガシュが虚無の中から力を引き出し、エイシャがそれを形に変えて惑星エイシャンが作り出されます。

秩序のドラゴン エイシャ
混沌のドラゴン ウルガシュ

6匹の元素竜と定命の種族、6人の悪魔の大君主とデーモンの誕生

世界の創造に際してエイシャは自らの子である6匹の元素竜を作り出し、彼らと力を合わせて世界の住人である定命の種族を作り出しました。定命の種族はエイシャを崇める一方で元素竜の中から1体を種族全体の守護者として選び、崇拝するようになります。元素竜と各種族の組み合わせは以下のようになります。

  • 光の竜 エルラス - 天使

  • 闇の竜 マラッサ - フェイスレス

  • 風の竜 イラス - 人間

  • 地の竜 シランナ - エルフ

  • 火の竜 アルカス - ドワーフ

  • 水の竜 シャラッサ - ナーガ

一方でウルガシュも自らの下僕であるデーモン、そしてデーモンを統率する6人の大君主を作り出します。

  • ウル・ジュバール - 狂気の大君主

  • ウル・トラッガル - 苦痛の大君主

  • ウル・ヘカル - 憎悪の大君主

  • ウル・フラグ - 破壊の大君主

  • ウル・ヴォモク - 貪欲の大君主

  • ウル・アアザヒール - 増殖の大君主

こちらは特にどのデーモンがどの君主に仕えるといったことはなくよりフラットな構造でした。

エイシャとウルガシュの争い

創造が一区切りとなった頃、秩序と混沌という相反するものを象徴する2匹の原初の竜はそれぞれの子供達を巻き込んで戦いを始めました。最終的にエイシャが勝利し、ウルガシュはエイシャンの地中深くに封印されましたがエイシャもまた深く傷つき、また戦争によりすっかり荒廃してしまった世界を見て涙を流します。その涙がこのシリーズで度々登場するエイシャの涙という強大な力を備えた秘宝です。またこの時エイシャは世界を物理的な力によって変化していく物質世界と、創造当時の姿を留め決して変わることのない精神世界に分けました。エイシャと元素竜は精神世界に留まり、エイシャンの住民たちと直接接触することはなくなりました。

ウルガシュとの戦いで受けた傷、そして世界分割のための儀式のためにすっかり衰弱したエイシャは巨大な繭を作り出し、その中で傷を癒やすための眠りにつきました。この繭は物質世界からも見ることができ、それはエイシャンの住民たちからは月と呼ばれるようになります。
戦いの後、6匹の元素竜の中で最も強大だった光の竜エルラスはウルガシュを完全に滅ぼしてしまうことを提案しましたが、闇の竜マラッサは混沌が失われれば秩序も存在できなくなるとしてこれに反対しました。その結果、エルラスを崇める天使とマラッサを崇めるフェイスレスの間に対立関係がうまれます。一方で主であるウルガシュを失ったデーモンたちは地上に残って復讐の機会を狙っていました。

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