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UBI版Might and Magicシリーズの歴史と世界設定のまとめ その2


エイシャンの世界地図(現代)

古代

エルダー戦争 - 統一帝国の崩壊

エイシャによって創造された定命の6種族はこの頃はシャンティリ帝国という1つの国家でまとまって暮らしていました。傷を癒やすために眠りについたエイシャの存在は次第に忘れられ、6匹の元素竜に対する信仰のみが残りました。帝国はしばらくの間繁栄していましたが、やがて天使とフェイスレスの対立関係が激化、両者の間で戦いが起こり帝国は崩壊してしまいます。Dark Messiah of Might and Magicで訪れるシャンティリ帝国の遺跡はこの時滅びた統一帝国の残した建造物です。

第7のドラゴンの誕生

まだシャンティリ帝国が存続していた頃、人間の中から世界初の魔術師となるサル・エラムが登場しました。彼は月の中で眠るエイシャと交信することに成功し、偉大なる力と知恵を授かりました。彼は6匹の元素竜と並ぶ第7のドラゴンと呼ばれることになり、彼がエイシャと交信したこの年が0 YSD(Year of Seventh Dragon - 第7のドラゴンの年)と呼ばれるようになります。彼の尽力により天使とフェイスレスの間で停戦条約である「黄昏の盟約」が結ばれます。これにより両種族は互いに傷つけることができなくなりました。しかし戦争の残した傷跡は大きく、直接戦った2つの種族以外の4種族、人間、エルフ、ドワーフ、ナーガたちもそれぞれの国を築くことを選んで旅立ち、シャンティリ帝国は滅亡してしまいます。

歴史の時代(現代) - その1

炎の大戦 - 第1次対デーモン戦争

エルダー戦争と帝国の崩壊により力の衰えた定命の6種族に対しデーモンたちが戦いを挑んできました。定命の6種族は必死に戦ったものの戦力の差は大きく敗退を重ねていきました。結局この戦いは第7のドラゴンことサル・エラムが自らの命を犠牲として牢獄の世界シェオグを作り出し、全てのデーモンをそこに追放、封印したことで終わりました。

ウルガシュは惑星のコアに封印され
その周囲のマントルがシェオグです。
ウルガシュの牢獄は彼を滅ぼすべきではないと考えた
闇、火、土の元素竜の力で作られています

大戦の余波

エルダー戦争で深く傷つき、さらに炎の大戦で個体数を減らし絶滅寸前となった天使はもはや自力での存続が難しくなり、人間が作った統一国家であるファルコン帝国に身を寄せることになります。その結果それまで風の竜イラスへの信仰を国教としていたこの国は光の竜エルラスに改宗することになりそれに伴い国名も神聖ファルコン帝国に改められます。改宗を受け入れない人々は帝国の異端審問官により迫害され、帝国の東方へと逃れて自由都市を築くことになりました。こうして誕生した自由都市の1つがDark Messiah of Might and Magicの舞台となるストーンヘルムです。そのため主に神聖ファルコン、グリフィン帝国が舞台となることが多い本編、Heroesでは人間はエルラスを崇めていますが、Dark Messiahではイラスが信仰の対象となっているわけです。

またサル・エラムの死後、魔術師たちも分裂することになりました。彼の高弟であったサル・シャザールは魔術師の大半を率いて南の砂漠に彼らの国である七都市を築き、高弟サル・アントーは癒やし手、賢者、予言者たちの集団である盲目の同胞団を立ち上げます。この団体はまた元素竜ではなくエイシャを神として崇めることを選びました。最後にもう1人の高弟、サル・バドンは肉体と精神を鍛え、かつてサル・エラムが歩んだ道を辿ることを理想とする修道士的な団体の竜騎士団を設立します。竜騎士団はまたデーモンとの戦いに身を捧げることを誓った宗教騎士団的な存在でもありました。サル・エラムの弟子たちが道をわかったこの出来事はスキズム・オブ・ザ・セブン(第7の分裂)と呼ばれています。

デーモンメサイアの予言

追放されたデーモンたちはもはや自力で地上に戻ってくることはできなくなりましたが、例外がありました。サル・エラムはシェオグを作る際にエイシャに力を狩りていたため、彼女の力がエイシャンに届かなくなる月蝕の間だけはその封印の力が弱まってこの時だけは地上に戻ることができたのです。そのためエイシャンでは月蝕が訪れる度にデーモンの大規模侵攻が起こるようになりました。またサル・エラムの高弟で七都市を築き上げたサル・シャザールは後にデーモンメサイアの予言として知られることとなるある予言を残します。
「やがて人間とデーモンの間に産まれたデーモンメサイアによってサル・エラムの作った封印は破壊されるであろう」と。
そこで平時は地上の悪魔崇拝者たちを使い、月蝕の際には直接介入してこの予言を成就させ封印を破壊することがデーモンの悲願となりました。

第1の月蝕 - 第2次対デーモン戦争 (330 YSD)

サル・エラムによるデーモンのシェオグへの追放の後、初の月蝕が起こりデーモンの大規模侵攻が開始されました。この戦いではまず大陸北西部の森林地帯に部族国家を築いていたエルフが犠牲となり、森の大部分が焼き払われました。その後人間など他の種族も戦いに加わりましたがやはり戦力差は圧倒的、そこで魔術師は優れた兵士を作り出すため、人間の犯罪者や奴隷にデーモンの血を注入するという試みを開始しました。
何度かの試みによりゴブリン、オーク、サイクロプスといった種族が新たに産まれました。彼らの戦闘力は凄まじくデーモンの軍勢はシェオグへと押し戻され、戦いは終わりました。しかしその後、最大の功労者であるオークたちは適切に扱われず、主に七都市、神聖ファルコン帝国の領土に留まった彼らは奴隷として過酷な肉体労働を課せられました。

強大な戦闘力を持つオーク。
魔術師により創造された彼らは元素竜への信仰を持たず
そのことも他種族から忌み嫌われる一因となっています

ネクロマンサーの登場

エルダー戦争でフェイスレスと戦った天使たちの中にベルケスという戦士がいました。彼は天使でありながらフェイスレスとの戦いを誤ったことだと主張し、同胞たちから追放されてそれを機にサル・エラムが発見した魔術、特に生と死にまつわる系統であるネクロマンシーに傾倒していきます。やがて彼は魔術師の都市である七都市でそれを教え始め、こうして誕生したネクロマンサーの集団は有力な学派、ハウスの1つであるハウス・エテルナとして七都市内で大きな影響力を持つことになります。

ネクロマンサーというと他のファンタジーものでは死者を操る邪悪な魔術師というイメージが強いですがエイシャンにおける彼らは生命を生み出し、死した魂を迎え入れるエイシャを崇め、その行いを助けることを誓った宗教的団体でもありました。強力なネクロマンサーの1人であるアギーレは定命の6種族の1つであるナーガに捕らわれていたマザー・ナムタルという存在を救出しました。ナムタルはエイシャが眠りにつく際、その苦悶が分離されて産み落とされた、6匹の元素竜の従姉妹とも言える存在で後にネクロマンサーの守護者としてエイシャとともに彼らから崇められることになります。
しかしナムタルを教母として迎え、宗教色が強まっていったことに不満を感じたベルケスは七都市を去り、闇の魔術の研究に没頭しました。
ベルケスと同様に宗教的側面を排除し学術的な研究に集中したネザーマンサーという分派も産まれました。彼等の関心は生と死よりも虚無に向けられていました。ベルケスの直弟子の1人でネザーマンサーとなったサンドロはエイシャンとその住民たちをエイシャや元素竜といった神々のような存在から解放(つまりそれらの抹殺)することを理想として掲げ、歴史の影に潜み数々の陰謀を実行してきました。

死の天使にしてネクロマンシーの創始者であるベルケス。
彼の弟子であるヴェイン、サンドロもまた
エイシャンの歴史に大きな影響を及ぼしました
エイシャの苦悶より産まれたとされるナムタル。
その毒を体内に取り込むとヴァンパイアになれます。
不老かつ食事、睡眠が不要になりますがナムタルの毒の無害化のため
定期的に人間の血が必要です
ネザーマンサーのサンドロ。
NWC版でも敵の黒幕的な人物として登場していますが同名の別人です。
欺瞞の達人であるフェイスレスすら欺く恐るべき知略の持ち主で
後にネクロマンサーの国であるヘレシュが破壊された際に死亡したとされていますが…

オークの反乱と獣人の創造 (467 YSD)

七都市での過酷な扱いに対しオークたちが反乱を起こします。デーモンの軍勢を駆逐した彼らの力は強大でしたが、やがて人間の神聖ファルコン帝国からも鎮圧のための援軍が送られ反乱軍は撃破されました。一部は捕虜となり、再び奴隷とされましたが残りは大陸の四方へと散っていきました。Dark Messiah of Might and Magicでオークが住んでいたパオ諸島も逃亡先の1つでした。神聖ファルコン帝国の女帝モーウェナ率いる討伐軍がここへ向かいましたが途中の航海で艦隊が謎の嵐に巻き込まれて全滅、モーウェナの後を継いだ子のコナー3世はこれをオークの絶滅を望まない元素竜の干渉と考え、オーク討伐を中止しました。

一部は奴隷に戻ったもののオークの大半は逃亡し、七都市では労働力の不足という問題が発生しました。そこでかつてオークを創造したハウス・キメラは今度は人間と獣をかけあわせることで獣人を作り出しましたが、不適切な扱いによりその多くは逃げるか死ぬかしてしまい、度重なる失敗の責任を問われたハウス・キメラは七都市内での影響力を大きく減らしました。

ケンタウロス、ハーピーは過酷な扱いに耐えかね
逃亡してオークと合流しました
ラマシュは合成の際に欠陥があり寿命が非常に短く
その死体はネクロマンサーにより復活させられ彼らの下僕になりました
ワニザメはナーガとの友好関係樹立のため贈り物とされ
彼らの元で忠実な兵士となりました
ミノタウロスはフェイスレスに連れ去られ
後に登場するダークエルフの兵士となりました
精鋭の兵士、士官として作られ厚遇されたラクシャーサのみ
魔術師の元に残り、今でも仕えています

エルフの統一国家建設

人間たちが統一国家であるファルコン帝国(後に神聖ファルコン帝国)を作り強大になってきたのを見て、それと隣接する北西部の森林地帯で暮らしていたエルフたちは警戒心を強めます。彼らはまだ1人の上王の下に各部族の長である族長が従うという緩やかな部族国家のままでした。
500 YSD頃に上王に選ばれたアーニエルは統一国家建設のため、族長の権力を弱め服従を強いようとしましたがこれには激しい反発が起き、反乱を起こす部族も現れましたがそのほとんどは鎮圧されました。唯一、女族長トゥイダーナに率いられた部族のみは独立を貫いていました。
このエルフの内乱を好機と見た神聖ファルコン帝国はまずトゥイダーナの部族へ侵攻を開始、トゥイダーナはアーニエルに支援を求めますが拒絶されます。その結果彼女の領土の多くが人間の手に落ちましたが、ここにきて人間によるエルフの影響圏の侵食を好ましくないと思ったアーニエルがようやく参戦しトゥイダーナの領土内で人間たちと激しく戦い始めました。

ダークエルフの誕生

どちらの勢力も信用できないと考えたトゥイダーナの元に意外な同盟相手が現れました。かつて天使と争って敗れ姿を消していたフェイスレスたちです。地の竜シランナから闇の竜マラッサへの改宗さえ受け入れれば手を貸そうという彼らの提案を受け入れたトゥイダーナの部族は闇の力を受け入れてその姿を変え、ダークエルフが誕生しました。フェイスレスの支援に力を得たダークエルフは人間、エルフ両種族の軍勢を領土より放逐、後にこの3種族の間で停戦が成立しました。エルフはダークエルフの独立を認め、人間はエルフの領土に対する権利の一切を放棄して多額の賠償を支払いました。

フェイスレスと契約する女族長トゥイダーナ

第2の月蝕 - 第3次対デーモン戦争 (564 YSD)

2回目の月蝕が起こり再びシェオグの封印が弱まり、デーモンによる地上への大規模侵攻が開始されました。この戦いはMight and Magic Heroes 6で描かれています。神聖ファルコン帝国内のグリフィン公爵家の当主スラヴァが謀略により命を落とし、その子供たちがそれぞれの運命、戦いに直面していくというストーリーです。

この戦いではいくつかの重要な出来事が起きています。
まず第1に新たなる天使であるセラフの誕生です。デーモン、フェイスレスとの戦いで個体数が激減した天使たちはその数の回復のため、死んだ天使の魂を繋ぎ止めておき優れた資質を持った人間の死体にそれを宿らせてセラフとして復活させるという計画を進めてきました。またこれにはもう1つの目的がありました。元々生きていた天使たちはサル・エラムの仲立ちにより成立した「黄昏の盟約」に束縛され宿敵であるフェイスレスを攻撃することができませんでした。しかしこの束縛の対象は当時生きていた者に限られるため新たに生まれたセラフはそれを無視してフェイスレスを攻撃することができたのです。この計画を主導していたのが存命中で最も強力な天使であるウリエルで、彼自身、母のオーロラと兄弟のミカエルを戦いで失っていました。そこでグリフィン公爵スラヴァの娘アナスタシアを操り父を殺させ、その罪でアナスタシアも処刑してスラヴァの体にミカエルを、アナスタシアの体にオーロラを宿らせるという計画を進めていました。しかしアナスタシアは大叔母であるスヴェルターナの手引によりアンデッドとして復活し、ウリエルの計画を暴露して父の仇を討ちました。

グリフィン公爵スラヴァの次女アナスタシア。
後に大叔母のスヴェルターナの後を継いでネクロマンサーの重鎮となります

第2の出来事はデーモン内の権力構造の変化です。デーモンはその誕生の時より6人の大君主により支配されていましたが、シェオグではカ・ベレスという力と知恵を兼ね備えた強力なデーモンが、同胞たちを大君主たちの圧政より解放しようと抵抗運動を続けていました。彼は大規模侵攻を好機として大君主たちを打倒しました。しかし現実でもよくあるパターンですが解放を求めて戦っていた革命家であるカ・ベレスはその目的が達せられると自らがシェオグの絶対的な支配者、デーモン・ソブリンへと変わってしまいます。その後デーモンたちは彼の指揮の元、地上への進行とデーモン・メサイアの予言の成就のために活動していくこととなります…

解放者から圧制者になってしまったデーモン・ソブリンことカ・ベレス。
以後エイシャの歴史に大きく関わってきます

この戦いは帝国側、デーモン側それぞれが内部に反乱を抱えたまま戦い続けることになりました。デーモンは帝国の首都ファルコンズ・リーチを包囲し皇帝リアム・ファルコンを討ち取ることには成功したものの、その後スラヴァの長子でグリフィン公爵家の当主となったアントン・グリフィンにより敗退、この時点でカ・ベレスによる革命は成功しており目的を達成した彼は地上への侵攻を中止しました。帝国ではリアムの姪のグウェンドリンがアントンと結婚して新たな皇帝となることとなりました。

戦後の神聖ファルコン帝国の変容

第3次対デーモン戦争中に発覚したウリエルら天使による謀略は帝国に大きな衝撃を与えました。天使と教会、異端審問官たちはかつては帝国内で巨大な権力を持っていましたが人間を一方的に利用しようとする天使に対する反感が募り、新皇帝グウェンドリンとその夫であるアントンもそれに同調して政治と宗教の分離を主張、これには国内から大きな反発もありましたがグウェンドリンは巧みな政治手腕をもってこれを鎮めることに成功しました。

トゥイダーナの死とダークエルフの離反 (566-586 YSD)

エルフの王国イローランで聖なる木として崇められていた巨木のブリシッガが突如の火事で消失、同時に上王アーニエルとその家族全員も不審な死を遂げました。彼の後を継いで上王となったバニエルはこれをダークエルフの仕業と断定、ダークエルフに対し1週間以内に国を去るか、留まって処刑されるかという最後通牒を突きつけます。
ダークエルフの族長であるトゥイダーナは配下の民に脱出を命じる一方で自らは留まり死を受け入れました。

20年ほどしてその火事の真犯人がデーモンであることがわかり、バニエルはダークエルフたちに帰ってくるよう呼びかけましたが拒絶されました。ダークエルフは東へ向かい、その後地下に潜って山岳地帯の地下に王国を築いていたドワーフたちと遭遇、武力衝突の結果敗退して少し西に戻り、無人の地下空間とその入口に彼等の国であるイグ・シャルを築き上げました。イグ・シャルもかつてのエルフと同様、1つの国の中に複数の部族が存在しそれぞれに族長がいる部族社会でした。

トゥイダーナの子の1人であるレーラグはその後、デーモンの支配者となっていたカ・ベレスから取引をもちかけられ、それに応じてデーモンに姿を変えています。その際に名前もアナグラムでアグラエルへと改めました。(Raelag→Agrael)

ダークエルフだった頃のレーラグ
カ・ベレスから与えられた試練に打ち勝ち
デーモンとなったアグラエル

第3の月蝕 - ドラゴン狩り (717 YSD)

約150年ぶりに月蝕が訪れデーモンの大規模侵攻が予期されましたが、この時はデーモンは地上の支配にあたり目障りな存在であるサル・バドンの竜騎士団に狙いをつけました。激しい暗闘が繰り広げられ結局デーモンは敗退したものの竜騎士団も大きな損害を被り、影響力を失っていきました。

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