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2024年8月にSteamで発売される注目タイトルかもしれないゲーム

Steamのサマーセールで今年2月に発売されたPacific Driveという車中心のサバイバルクラフトゲームを買ってみました。ゲーム自体もなかなかおもしろかったのですが、それに加えてなかなかに感銘を受けたのが難易度に関する設定の自由さでした。

このゲームは現在は無人となったアメリカ北西部、カナダを車で旅しながら廃墟と化した建物や放棄された車両から必要な物資を集めていくというものですが、何分長らく無人地帯となっていたため街灯などの照明がほぼなく、夜間では真っ暗な中を車のヘッドライトや発煙筒などを使って局所的に照らしてどうにかする必要があります。ヘッドライトはバッテリーを消費しますし発煙筒は消耗品なのでうまくやりくりしていく必要があります。

ところが…ゲームの設定の中で「夜の明るさ」という項目があります。ゲーム全体の明るさの変更は珍しくありませんが、これは全体の明るさはそのままに夜の見えやすさだけ調整することができます。アイテムが入った箱などインタラクト可能なオブジェクトをハイライト表示することもできます。
以下に同じ場所でデフォルトの状態と、夜の明るさ調整あり、常時ハイライトありの状態の比較画像を載せておきます。

屋外
夜の明るさの調整 なし
オブジェクトのハイライト なし
屋外
夜の明るさの調整 あり
オブジェクトのハイライト あり
屋内
夜の明るさの調整 なし
オブジェクトのハイライト なし
屋内
夜の明るさの調整 あり
オブジェクトのハイライト あり
おまけ
夜の明るさの調整 なし
オブジェクトのハイライト なし
発煙筒で照らしたところ

これらの設定を活用すればヘッドライトの点灯なしに夜間走れますし屋内はさすがに少し見づらいですが慣れれば発煙筒なしでも探索可能です。
こりゃ見やすい、プレイしやすくなるし最初からこっちでいいんじゃないの?と思われる方もいるかもしれませんがそう単純ではありません。
なぜなら「没入性」の問題があるからです。

没入性とはなにかについて語ると長いのでここでははしょります(いずれ別記事で書くかも)が、要はゲームのプレイ中、その世界にどの程度浸れるかということです。しかし没入度の高いゲーム、グラフィック(必ずしも写実的である必要はない)や音楽が高品質かつ統一感があり心ゆくまでそのゲームの世界に浸っている時にいかにもゲーム的なピカピカ光るオブジェクトがあったりしたら、便利ではあるが興ざめだと感じる人がそれなりにいるんですね。有名な話題としてはいわゆる「黄色いペンキ問題」があります。

少し脱線しますがゲーム内世界を舞台とするなろう小説で「ステータスオープン!」「インベントリに格納!」なんてやってる場面がありますよね。あれも没入性を大事にする人からするとありえない光景なのです。
いまだ発展途上の今日のVRならまだしも、それより大きく進化して五感全てでゲーム内の世界にいるように感じられるほどの状態の中でいかにもゲーム的なUIを表示することは、よじ登れる地点につけられた目印などとは比べ物にならないほどの落差があり没入性など消し飛んでしまいます。
ただしこれはあくまでも今日のゲーム文化の延長線上で言うならの話で、実際にそうしたVR体験が可能になる頃にはそんなこと誰も気にしなくなっている可能性もあります。

しかしこうした便利さを犠牲としてまでの没入性を全ての人が求めているわけではありません。開発者が没入性を重視して敢えて見づらい状態にしているのに対しそうした理由は知らない、知っていてもやりづらさ、ストレスの方が勝るという人は不満の声を上げるでしょう。この問題は最適解というものを見つけるのが難しい、あるいはそもそも存在していないのです。そこで各自が好きなように設定を変えられるようにすることはクレバーな、現実的な回答と言えます。

Pacific Driveでは他に被ダメージの有無、作業の簡易化など色々な設定項目が用意されています。

これらの設定の多くは難易度を左右するものですが、ごく一部で有効化すると実績が取れなくなるだけでそれ以外のペナルティは存在しません。これもまた優れたやり方で、ここで難易度を下げる必要があったり報酬が減るなどの要素を追加してしまうとプレイヤーはそれを利用することを躊躇い、せっかく用意した機能も使われず不満は解消されないことになりがちです。

では全てのゲームがこうした自由な難易度調整を持つべきなのでしょうか?必ずしもそうとは言えません。そうした万人向けの設計は得てして開発者の顔が見えない作品にもなりがちだからです。
矛盾するようですがゲーマーはPacific Driveのような好きなように調整できるゲームを歓迎しつつ、一方で不便さを伴う、開発者の考えを押し付けてくるゲームだからこそ熱狂することもあるのです。例えばソウルライクは今では人気ジャンルの1つですがなかなかに癖が強い作りです。しかしその癖の強さがあったればこそ初期作品がマニアの熱狂的な支持を受け、それをコアとして作を重ねるに従いファン層を広げていき、今では人気ジャンルにまで成長したとも言えます。

では結局万人向けの柔軟性と癖の強さ、どちらを重視すべきなのか?これについては私自身まだ答えが出せていないのですが、感触としては

  • 絶対的な王者がまだ存在しない新しめのジャンルにおいては癖が強い方が印象に残りやすく、その地位を占める可能性が高まる

  • 既に絶対的な王者、定番タイトルが存在しているジャンルにおいては高い柔軟性を備えることで一番人気のタイトルのプレイ後、似たようなゲームを遊びたいという人に選ばれる二番手的な存在たりうる

のではないかと。そういう意味ではPacific Driveは既にかなりの人気を得ているサバイバルクラフトというジャンルに実にうまく適応したタイトルと言えると思います。



Closer the Distance

  • 8月2日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: アドベンチャー

  • 日本語なし

  • 体験版あり

イェスタビーという架空の田舎の村で暮らしていたアンジェラという少女がある日交通事故で亡くなります。その事件は家族や親しかった人々に大きな悲しみと衝撃を与え、村は深い悲しみのうちに沈み込もうとしています。そこでプレイヤーが人々に行動指示を出し、互いに助け合って悲しみを乗り越えていくというナラティブ主導型のアドベンチャーゲームです。開発元は監視社会を描いたアドベンチャーゲームのOrwellの開発元で、話や雰囲気はだいぶ違いますがアートスタイルは似てますね。

いずれかのキャラを選択して動き回り
他の人や物とインタラクトすることで
話を進めていきます

最初はアンジェラの妹であるコニーのみ操作が可能で、彼女に指示を出して他のキャラクターと交流したり、いくつかの行動を実行したりすることができます。日が進むに連れて操作可能なキャラが増えていき、彼らにそれぞれ必要な行動を実行させていくことでより明るい結末を迎えることができるようです。最初は割とのんびりしているのですが操作キャラが2人、3人と増えていくとこのキャラにはあれを、あのキャラにはそれをやらせてと結構頻繁に操作キャラを切り替えて状態をチェックしたり指示を出したりする必要があってなかなか忙しくなってきます。リアルタイム制ですが一時停止と加速機能は用意されています。

キャラ情報ウィンドウに願望や必要な作業が全て表示され
何をすれば話が進展するかはわかりやすくなっています
重要イベントが発生すると通知が出ます。
そのキャラに切り替えるまでイベントの開始、進行を
少し待ってくれるようです。
重要ではないイベントはプレイヤーが見ていなくても勝手に進みます

各キャラには最大6つの欲求があり、その充足状況によってステータスが変化したり、行動に影響があったりもするようです。このあたりシムズとちょっと似てますね。なお住民は食事や睡眠などある程度の生活サイクルに従って動いており1から10まで指示しなければならないわけではありません。

欲求のうち上2つは全キャラ共通、
下4つ(キャラによっては3つ)はキャラごとに内容が異なります
各欲求を選択するとそれを満たせる
場所、オブジェクト、アクションが表示されるので
迷うことはありません

発端はアンジェラの死ですが村自体も色々と問題を抱えているようで、体験版ではそこまで確認できませんでしたがそうした問題についても扱っていくものと思われます。

残念な点としては、これは体験版の制限かもしれませんがセーブデータはプロファイルごとに1個だけ、つまり分岐しそうだったり後でまた見たい場面のセーブデータを取っておくことができず、別ルートを試したい、また見たいというときに最初からやり直さなければなりません。

私は正直ゲームのストーリーはあまり気にしてないというか、心を動かされることは少ない方なんですがこのゲームの体験版はプレイしているうちに引き込まれるものがありました。なかなか良質な物語を予感させるものがありますが、悲しいかな日本語がありません。Orwellは日本語があったのですが…ただ翻訳の質が微妙できちんと楽しめるというクオリティではなかったようです。アップデートで日本語が追加、質も十分であれば日本でも結構受けるんじゃないかなと思いました。

以下、体験版で遊べる冒頭部のネタバレを少し含みます。

家が数軒しかない寂れた田舎町イェスタビーに
ある晩パトカーが訪れるところから物語は始まります
最初に操作可能になるアンジェラの妹のコニー(コンコルディア)。
内気ですが創造性が豊かで心優しい少女です
アンジェラはかつて村を出て行きたがって母親と口論になり
腹立ち紛れに木の車輪を壊して飛び出していってしまいました。
車輪の残骸は母に悲しい思い出を呼び起こさせており
コニーはそれを修理することで母を助けようとします
このゲーム最高の善人、
医者にして村のまとめ役であるガリヤは
アンジェラの父が自ら墓穴を掘っているのを見てショックを受けます
そこで他の村人に作業をかわってくれるよう頼んで回りますが
快い返事は得られませんでした。
プレイヤーの選択によっては自ら手伝うこともできます
一方こちらは不動産取引で財を成し
現在は衰退しきっている村の再興にご執心のジャスパー。
根っからの悪人ではないものの利己的な面があり
その無神経な言動で遺族やそれに寄り添おうとする人々と度々衝突します
アンジェラの恋人のゼクは木工職人である父から
一緒にアンジェラの墓標を作らないかと持ちかけられます。
心の整理がつかない彼は一旦はそれを断るものの…
過去のアンジェラとのやりとりを思い出し
自らの手で墓標を作り上げることを決意します
しかしアンジェラの母と彼自身とでは
アンジェラに対して抱くイメージが異なっていました
彼自身の持つイメージとアンジェラの母が持つイメージ
墓標を作るにあたりどちらを優先すべきか…


Volgarr the Viking II

  • 8月7日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: アクション (メトロイドヴァニア)

  • 日本語あり

北欧神話を題材とした2Dアクションで、ストアページの説明によれば1980年代のアーケード風、ビジュアルはメガドライブのゲーム風のメトロイドヴァニアです。前作は2013年に発売されておりなかなかの好評を博しています。

やはりアクションは実際のゲームプレイ動画を見るのが手っ取り早いということで発表時に公開されたトレイラーを載せておきます。

若干注意が必要な点としてはたぶんライフ制ではなく残機制、1発くらったらやり直しというゲームらしいです。その分攻撃は全て普通にかわせるようにはなっているでしょうし、道中で拾える剣や兜などのパワーアップアイテムで1発だけ無効化みたいなことは可能かもしれませんが、今日では珍しくなってきているタイプのゲームなのでここ十数年以内にゲームをやり始めた人にとってはちょっと戸惑ったりすることもあるかもしれません。


Creatures of Ava

  • 8月7日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: アドベンチャー

  • 日本語あり

  • 体験版あり

謎の「枯れ病」が蔓延し死につつある惑星アヴァ、主人公のヴィック(ヴィクトリア?)は相棒の研究者タビサとともに、この星の原住民と動物たちを救うというミッションを受けてこの星へとやってきました。しかし原住民ナームの長は人間に対して不信感をもっているようでなかなか話を聞いてくれません。そこでヴィックは偶然手に入れたアヴァの古代文明が遺した杖をはじめとするアイテムを駆使してこの星を探索、パズルを解いたりクエストを達成して目標の達成を目指すというアクションアドベンチャーです。

救う方法というのがちょっと独特で、この星はもう駄目だから皆逃げようぜということで原住民は説得して、動物たちは星の各地にある脱出ビーコンまで誘導して方舟というか輸送船というか、それに転送していきます。それでいいのかと若干思わなくもありませんがもしかしたらある程度話が進むと枯れ病の治療方法が見つかりそのまま暮らせるのかもしれません。

動物を誘導するためには途中で手に入る笛を使います。動物に近づいて笛を取り出すと鳴き声を上げるので笛を使ってそれを再現(音ゲーチックなミニゲーム)、成功するとついてきます。動物は種族により岩に体当りして破壊するとかのアビリティを持っていてこれも目的地への到達を阻む障害物を取り除くためのパズル要素となっています。

このゲームの開発には高名なSF、ファンタジー作家であるテリー・プラチェットの娘で、自身もゲーム分野でライターとして活躍しているリアンナ・プラチェットという人が参加しています。代表作としてはミラーズエッジ、オーバーロード、トゥームレイダー(2013年発売のリブートの方)およびその続編のライズ・オブ・トゥームレイダーなどがあります。ただこれらのゲームの全体の人気はともかく、そのうちストーリーによる人気というものがどのくらいあるかはよくわかりませんが…。

ゲーム内容としてはありふれたアクションアドベンチャーですが全体的な作りや舞台となる惑星アヴァのデザインもしっかりしています。本格的なサバイバルクラフトものではありませんが技術研究、アップグレードなどの要素もありもともとこういうゲームが好きな人にとっては有望な選択肢の1つとなるかもしれません。


キャットクエスト3

  • 8月8日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: アクションRPG

  • 日本語あり

  • 体験版あり

それを手に入れることができればどんな望みもかなうという財宝のノーザンスター、かつては大勢の探索者がそれを求めて冒険に出るも手に入れられた者は誰もいませんでした。そして現在、15年前にネズミの海賊パイレーチュ王によって船を沈められ、天涯孤独の身となってしまった若きネコが伝説の宝を求めて旅に出るというお話のアクションRPGです。

ゲーム内容としてはレベル、装備といったRPG要素のあるアクションゲームで、じっくり楽しめそうな奥深い仕掛けとかは存在しませんが、サクサク遊べてお手軽に楽しめるカジュアルなゲームですね。戦闘は画面切り替えなしでワールドマップ上で行うタイプで、剣と銃による攻撃、回避、魔法といった行動が可能、また序盤から船が登場し、船に載った状態では砲撃と衝角による体当たりと歩行形態とは異なる方法での戦闘が行えます。

シリーズ3作目ですが作品間のつながりは多分ない、というかストーリーも楽しい会話こそあれ物語性はあってなきが如しという印象です。
難しいパズルに頭を悩ませたり、強力な敵に何度も挑んだりというような手ごわさのない、ストレスなしに遊ぶにはいいゲームではないかと思いました。前作、前々作も同じような路線ですが、どちらもSteamでは圧倒的に好評(レビューの95%以上が好評)となかなかの支持を得ているようです。ただ前作、前々作は価格が日本からは1300円、1500円だったのが3は2800円となっていて、この路線でこの値段だと若干割高感はあるかもしれません。元の価格は$13→$15→$18とあまり変わっておらず、円安のせいですね。


SteamWorld Heist II

  • 8月9日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: ストラテジー (XCOM系)

  • 日本語あり

スチームボットという非常に人間臭いロボットの海賊団を指揮して海を渡り様々なミッションを達成していくXCOM系ストラテジーゲームです。シリーズものですが世界観が共通なだけで基本的に作品間の話の繋がりはないため2からでも問題なく遊べます(SteamWorld Dig 1、2は例外的に繋がりあり)

ゲームの流れとしては広大な海を自分の船で動き回り、自分の、または中立の拠点を訪問して装備を整えたり依頼を受け、海軍や狂信者など敵対的な勢力が支配する拠点へ向かって戦闘ミッションを遂行していくというものです。全体マップ上では敵の船も徘徊しており、体当たりや砲撃などで撃破して少量の戦利品を得たり、またそこで受けた損傷を修復したりというカジュアルなアクションゲーム要素も用意されています。

戦闘ミッションでは視点は横から見た2DになっていますがXCOM系ゲームとしての基本は同じ、各ユニットは1ターン2回の行動が可能でそれを使って移動、攻撃を行っていきます。敵味方とも戦場のあちこちに配置された遮蔽物で身を守りながら戦うわけですが、それを攻撃する際は角度と距離を設定して狙いをつけ、放物線を描いて飛ぶ爆発物や壁に当たると跳ね返る弾丸を使って攻略していくことになります。このあたりはトレイラーを見るとわかりやすいのですが純粋なストラテジーというよりパズル性の高い戦闘と言えます。

戦闘で重要な役割を果たすのが各メンバーのクラスで、雇ったメンバーを自由に以下の6クラスにつけることができます。

  • 反射も含めた弾道予測が表示され正確な狙撃が可能なスナイパー

  • 機動力に優れ至近距離で致命的な攻撃力を発揮するフランカー

  • 近距離攻撃しかできないが防御力が高く敵を倒すと回復するブロウラー

  • 味方を治療したりカバーを作るなどの支援能力を持つエンジニア

  • グレランやロケットといった爆発武器で敵集団を殲滅できるブーマー

  • 敵を倒すと再行動が可能になるリーパー

これらのクラスにそれぞれ購入可能なアビリティが用意されており、戦利品として得られる歯車を使って強化していくことができます。そしてこのアビリティはその後他のクラスに転職してもそのまま維持が可能です。
ブーマーとスナイパーを組み合わせて遠方の敵集団に対し正確な狙いをつけたロケット弾を放り込むこともできますし、攻撃面では強力ながら脆いリーパーの防御面をブロウラーで強化したりということが可能になるわけです。

SteamWorldシリーズはミスタードリラー風のDig、都市建設のBuild、RPGのQuestなど方向性の違うゲームが色々出ているのですが前作のHeistはその中でDigと並ぶ人気と評価をもっており、私もプレイ済みですが非常に面白かったです。この続編ではキャラビルドの自由度が大幅に増しておりもともと楽しかった戦闘がさらに楽しくなっているように思えます。キャラや世界設定の癖が強いのと、戦闘に含まれるパズル要素は純粋なXCOM系ゲームを求める人にはかえって邪魔かもしれないといった懸念点はあるものの、今月発売されるゲームの中で私は特に期待している1本です。


Train Valley World

  • 8月10日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: ストラテジー (鉄道網建設)

  • 日本語あり

鉄道で資源生産地と工場、工場と都市を繋いで物を運び利益を上げるとともに発展させていく面クリア型のアクションパズルであるTrain Valleyシリーズの3作目です。前作は2019年に発売されていますが、シリーズ最新作が3ではなくWorldになったのはゲーム性がこれまでの2作品から大きく変わっているからと思われます。

Train Valley 1、2は前述の通りジャンルとしてはアクション要素のあるパズルに近いゲームで、プレイヤーは線路を引いて駅と駅を繋いだ後、任意のタイミングで駅から列車を発車させ、途中のポイントを手動で切り替えて目的地に到達させるというゲームでした。そのうえで目標時間までにクリアするために発車のタイミングをずらす、部分的に複線化する、ポイントを適宜切り替えてできるだけ多くの列車を衝突しないように走らせるというゲームだったのです。タイミングが結構シビアかつどの部分、どの目標から取り掛かるか戦略を組み立てる必要があり、最高評価を目指すと高難易度ながらやりごたえのあるゲームでした。

一方、このWorldでは経由する駅を指定して路線を作成し、列車を割り当てると後は自動で往復しますし、以前公開された体験版で遊べた範囲では衝突なども起こらず1本の線路で2つの列車が(少し速度は低下するものの)すれ違うことができました。パズル要素は半減、アクション要素はほぼ無くなり、カジュアルな経営ゲームに変わったわけです。
既存のゲームとしてはRailgradeあたりが近いと思います。

面クリア型であること、単に金を稼ぐことだけが目的ではなく、建設現場などに必要な物資を一定数運び込むことでクリア目標である施設が完成したり新たな産業が出来たりという部分についてはそのまま踏襲されています。

このゲーム性の大幅な変更はどっちに転ぶか、出てみないとなんとも言えないところはありますが…一応前作が非常に楽しめたのでその開発元の新作ということで注目作の1つとしてあげておきます。


Dextrissimi

  • 8月10日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: 格闘ゲーム (2D)

  • 日本語なし

  • 体験版あり

予め断っておきますとネタ枠です。中世で世界各地から腕に覚えのある剣士たちが集まって戦う2Dの一撃必殺格闘ゲームです。登場する国はトルコ、スペイン、インド、中国、日本、ドイツ、あと体験版では選べないアフリカのどこかの7つあり各国に剣士が1人ずついます。

ゲーム中に使えるアクションは上下左右の方向キーと4つのボタンなのですがどうも共通操作は方向キー左右の移動だけ、あとは剣士によってボタンごとのアクションが違うようで、同じボタンを押してもある剣士だと攻撃、別の剣士だとカウンターみたいになっています。

体験版だとローカル対戦しか選べず格闘ゲームとしてどんな感じなのかさっぱりわかりませんがまあ一風変わった格闘ゲームを探しているのであれば…あとは動画配信でウケ狙いでやるにはいいかもしれません。


Shapez 2

  • 8月15日発売

  • 早期アクセス

  • ジャンル: パズル (物流、工場建設)

  • 日本語あり

2020年5月に発売されたShapez.ioの続編です。コアの部分は前作から変わっておらず、採掘機を使って丸や四角といった基本図形を生成、ベルトコンベアで運び、各種加工機械で切断、回転、結合、着色を行って目標とされる形へ作り変えて納品していくというパズルゲームです。
その目標の図形を一定数納品するとゲームが進み、目標がより高度な加工を必要とする複雑な図形に切り替わるとともに新たな加工機械や輸送手段、新機能がアンロックされます。

コストの要素はなく、アンロック済みの機械やコンベアは全て好きなだけ設置できますし、切断して不要になった部分を再利用することなく捨ててしまってもペナルティや効率の悪化といったことは起こりません。

見た目は前作はごく質素な2Dグラフィックだったのが3Dグラフィックになっています。2Dから3Dへの変更は歓迎されないことも多いのですが、このゲームについてはそれにより高さを利用した輸送や加工がわかりやすくなるというゲームプレイ上のメリットがあり、また機械の1つ1つの動きを眺めるマイクロ面、ズームアウトして大規模化した加工物流網を眺めるマクロ面それぞれの面で見栄えがするようになっています。

以前体験版が期間限定で公開されていたのですが、プレイした感想としては建設作業が直感的でストレスなく遊べる点が非常に優れていると思いました。工場建設ものは既に人気ジャンルとしていくつもの作品が発売されていますが、機械を設置してコンベアで繋いでという時にツールベルトのページ切り替えや向きの変更、細かな位置調整が度々発生して煩雑に感じられるものが少なくないんですね。そうしたストレスは最初は小さくともプレイ時間が長くなるにつれて蓄積されていく、また複雑で大規模なブロックが必要になったときに手を動かす前から疲れてしまって、そこでプレイを止めてしまったりということがあります。
その点このゲームは必ずしも効率第一にする必要がないうえに操作もよく練られており大雑把な操作で期待した通りに配置されるなどストレスが少ない、むしろ操作していて気持ちよく感じるという点が優れていました。

工場建設は好き、あるいは興味があるけれど面倒なのが嫌なんだよなあという人にこそぜひプレイしてもらいたいゲームと言えます。ジャンルの向き不向きはあるでしょうが、今月発売の中でも最も安定というか期待は裏切らないゲームだと思います。


Dustborn

  • 8月21日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: アドベンチャー

  • 日本語あり

  • 体験版あり

舞台は2030年、しかし現実の歴史とはだいぶ違ったパラレルワールドのアメリカで理由あって地元にいられなくなった主人公たちがロックバンドの全国ツアーを装い、北米大陸を西から東へ横断しながら各地で様々な事件を引き起こしていくというロードトリップアドベンチャーゲームです。

西海岸のサンフランシスコから出発して
東海岸のメイン州まで4000マイルの旅が始まります

この世界では1963年の暗殺事件で大統領のJFK本人は無事、しかし妻が亡くなっています。その事件をきっかけとして「アメリカ共和国」が誕生、このアメリカはジャスティスという法執行機関が強大な権力を握る専制国家になっているようです。

ジャスティスの長官はケネディの2番目の妻となった
マリリン・モンロー(100歳を超えて存命中)らしいです

ゲームの内容としては…よくあるゲームとは少し違っていて説明が難しいのですが、メインはシーンごとに周辺の物を調べたり、仲間のキャラクターと会話して話を進めていくアドベンチャーゲームでそこに様々なミニゲームが入ります。バンドを偽装しているので音ゲーはもちろん、ほかにバットを投げたり振り回して向かってくる敵を蹴散らしていくアクション、トレイラーを見ると他にバイカーギャングとのカーチェイスやビルよりも大きな怪物と戦ったりといろいろ用意されているみたいですね。

音ゲーパートは基本的にやることは他の作品と一緒なのですが
ノートが上下左右から流れてくるせいか
若干タイミングの判定が難しかったです
ブーメランのように戻って来るバットを投げて
近づいてくるジャスティスのロボット兵士を撃退するパートです。
普通にバットを振り回して戦ったほうが楽だったりもしますが…

キャラは個性的で会話は楽しく世界設定も興味深い、また音楽もなかなか良いのですが問題は話の雰囲気にどのくらい馴染めるかでしょうね。主人公たちがいわゆる反抗的な若者(ただし年齢は30歳超え)、法や社会秩序など知ったこっちゃねえという感じなのでそういうキャラが起こすハチャメチャ騒動を楽しいと思えるか、全然共感できない、見ていて不快と感じるか、そこで評価は大きく変わってくるかと思います。不安であれば体験版をプレイしてみてください。日本語で遊べますし、雰囲気はよくわかるはずです。

ビジュアル、性格的に
日本人受けはしづらいかも…


Tactical Breach Wizards

  • 8月23日発売

  • 正式リリース

  • ジャンル: ストラテジー (ターン制、パズル)

  • 日本語なし

  • 体験版あり

Gunpoint、Heat Signatureの開発元であるSuspicious Developmentsの最新作で、ほぼ現代、しかし魔法が当たり前のように存在している世界で数人の魔法使いの部隊を指揮して小さな部屋での戦いを制していくゲームです。

主人公のジェンは風と雷の力を操る魔女でその力を使って探偵をしていましたが、ある事件の捜査で警察とトラブルになり事情聴取を受けていました。そこに謎の武装集団による襲撃事件が発生、その現場でジェンはかつて海軍の特殊部隊で働いていた旧知のザンという魔術師と出くわします。彼の説明によればこの襲撃事件にはザンの元上司、作戦中に行方不明になったリブという女性が関わっているとのことでした。リブは今や国内でも有数の力を持つリアクターという民間軍事会社に所属しており、彼らは何らかの目的をもって極秘作戦を遂行中らしいです。
ジェンとザンはチームを組んでこの民間軍事会社、時には治安当局の部隊と戦いながら事件を追いかけていくことになります。

戦闘画面は一見XCOM風なのですが実際にはInto the Breachの方が近いです。つまりダメージを与えて敵を倒していくのではなく、敵を押して壁にぶつけたり場外に押し出したりして倒していくパズル性の強いゲームです。1つの章にいくつかのミッションがあり、各ミッションは5x5~10x10くらいの小部屋で敵数人を倒して次の部屋へ、というのを数回繰り返すことでクリアできます。

突入前にそこそこ長い会話シーンが入ります
敵の体力は15ありますが
押し出し効果のあるアビリティで
部屋の外に放りだしてしまえば即死です
全ての敵を排除、
ラップトップPCなどの重要オブジェクトに
インタラクトすると次の部屋へ進めます
全ての部屋をクリアするとミッション完了、
周辺に浮いているのは部屋の外に押し出した敵キャラです。
落ちても死なないように魔法を使っているという設定らしいです

普通のストラテジーと違う点としては敵は基本的に受動的に行動する、例えば現在立っている場所から撃てる場所にプレイヤーのユニットが入ると攻撃しようとしますが、自ら接近して攻撃してくることはほぼありません。またザンには1秒先の未来を読む能力があり、それを使って敵がどう動くかを正確に予測することができ、それを見つつ自軍のユニットを動かすことができます。またターン内の行動の取り消しはいくらでもできます。これだけ聞くと簡単そうに見えるかもしれませんが、プレイヤー側のユニットのアビリティは直接ダメージを与える効果は低く正面からの戦いで撃破していくことは難しいのでゴリ押しプレイは通用しません。ただいくらでもやり直せるのでノーダメージ、スタイリッシュさとかにこだわらずクリアすることが目的であれば途中で詰まるということはないと思います。

ミッションを終えて本拠地に戻ってくるといわゆるレベルアップ、
アビリティに「連鎖数+1」「押し出し距離+1」などの
追加の特性を与えられます。
(再割り振りはない?)
次のミッションを開始する前に
情報や手がかりを紐づけて次の目標を決める
推理パートが入ります。
難しさはなく単純作業に近い、捜査気分を味わうためのパートですね

独特の世界観、個性的なキャラクター、洗練されたアートスタイルとなかなか魅力的な素材が揃っていますが最大の問題はやはり日本語がないことですね。会話シーンの数、1回あたりのテキストの分量が結構多いですし、パズル性の高い戦闘は各アビリティの効果をしっかり把握しておくことが求められます。よくわからないけど壁にぶつければいいんだろう?というような乱暴なプレイだと多分十分に楽しめないと思います。

体験版クリア時に表示される画面によると部隊に加わる魔術師は全5人、クリアまで10時間程度かかるコンテンツが用意されているらしいです(ストアページには14時間程度と書かれてますが)。とにかく日本語がないのが惜しく発売後の追加に期待したいところですが、残念ながら前作、前々作はいまだ英語のみのようで望み薄かなと思います。一応GunpointはSteamで圧倒的に好評(約9600件中97%が好評)、Heat Signatureは非常に好評(約6400件中94%が好評)と評価、注目度ともに高い開発会社ではあるはずなのですが…。


Memoriapolis

  • 8月30日発売

  • 早期アクセス

  • ジャンル: ストラテジー (街作り)

  • 日本語なし

古代から啓蒙時代まで約2500年に渡って都市を築き上げていくゲームです。古代においては大自然の中の小さな集落に過ぎなかったものが中世、ルネサンス、啓蒙時代を経ていくことで広がっていき、そこで行われる生産や政治活動も高度化していくというなかなかスケールの大きなゲームですね。

スケールが大きい分、存在する資源や生産活動は若干大雑把、例えば食料は肉、パン、野菜みたいな種類はなくて「食料」1個だけです。資源が少ないのでそれを生産、加工する建物もこのジャンルの他作品と比べると少なめです。正確には設置するのは建物ではなく地区的なものらしく、最初はただ生産施設が1つ建っているだけですが、その周辺に寺院や学校などの文化施設を建てると影響を受けた住民たちが勝手に家を建てて住み着き新たな居住エリアができていきます。彼らは文化施設の種類に応じた政治派閥を結成し、それが法令の制定など都市内の政治に影響してくるようです。道路も自ら作る必要はなくて地区を設置すると既存の道路と自動的に接続されます。そのため無機質な碁盤の目のような都市ではなくいかにもそれっぽい形に発展していくらしいです。
なおマップは多分固定だと思われます。

各時代はそれぞれ長さが決まっていてその最後まで到達するか、または時代ごとに設定された条件を達成すると任意のタイミングで次の時代へと遷移できます(時代を早く終わらせると余った時間は次の時代に持ち越される)。
時代が進むごとに一族の固有ボーナスを追加で選択でき、また新たな建物が利用可能になったり政治派閥が別の顔ぶれになったりします。しかし来るものあれば去るものありで、前の時代の文化施設は一定数しか引き継げず時代の遷移の際に選ばれなかったものは活動停止してしまうようです。これにより何回プレイしても最終的に同じような都市になってしまうというのを避けようとしているのではないかと思われます

各時代にはそれぞれ用意されたイベントがあり、古代だと例えばマケドニアから圧力を受ける、中世だとコンスタンティノープルの陥落といった歴史上の事件にどう対応するかの選択を迫られることもあるようです。ただプレイ動画をいくつか見た限りではイベントの数自体はあまり多くなさそう、また選択もどのボーナスを取るか、手放すかみたいなもので雰囲気作りの一環というか、それにより大きくゲームの流れが変わるわけではなさげです。

従来の街作りゲームとは異なる点がいろいろあってなかなか個性的、特にこのジャンルに慣れて少し飽きてもいるという人に良さげなゲームのように思えました。その分、蓋をあけてみたら期待していたのと全然違ったというリスクも大きくなるわけですが…。


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