2024年2月にSteamで発売される注目タイトルかもしれないゲーム
1月の注目作紹介の記事では2024年のゲーム産業について大分暗い見通しを述べてしまいましたが不安的中、2023年全体で1万人前後がレイオフされたのに対し2024人はたった1ヶ月で6000人以上がレイオフということになってしまいました。もっともこれは大企業でその規模に見合う大規模なレイオフが行われたというのが連続しただけで、別に業界全体のあちこちでレイオフが行われだしたというわけではありません。2024年のゲーム産業のレイオフについてはKotakuがまとめ記事を公開しています。ゲーム会社に詳しい方が読むと「あそこもやってたのか」と愕然とするかもしれません。
業界関係者数人の今後の見通しによればこのトレンドは当分続き、最悪のものとしては今年だけでは終わらず来年も続くだろうなんて予想も出ています。先月の記事でも触れましたがゲーム産業に対する投資は低調で新たな会社を興す、新ジャンルへの進出などリスクを取ることは難しくなっており、当記事で紹介しているような知名度は低いが見どころはあるゲームというのも減ってくることが予想されます。
Legendary Hoplite
2月2日発売
正式リリース
ジャンル: アクション (タワーディフェンス)
日本語なし
体験版あり
ストアページを開くとタイトル、そしてゲーム内容説明の大部分が日本語になっていますが、ゲーム自体は日本語に(今のところ)対応していないので要注意です。
だだっ広いフィールドを進軍してくる敵を自身の攻撃と補助ユニットである部隊を使って阻むPlants vs. Zombies風タワーディフェンスです。主人公はギリシャのイタキ島で衛兵隊長を努めているディオ、ある晩彼の守っていた門にスケルトンの軍勢が攻めてきます。彼らは地下の死者の世界を治めるハデスの手先で、なにか目的があってイタキ島に攻めてきたようです。ディオは自らの武勇と率いる兵士たち、そして神々からの恩恵を使ってこの脅威に立ち向かっていきます。
迎撃の手段としてはまず主人公のディオ、これは左右にのみ移動することができ、同じ列にいる敵に槍を投げて攻撃できます。また槍の他に剣ももっていて、こちらは攻撃速度が非常に早いもののすぐ近くまで迫った敵にしか使えません。どちらの武器を使うかは敵との距離により自動的に決まって切り替えや使い分けを意識する必要はありません。
部隊の配置にはそれぞれ設定されたコスト分のコンバットポイントが必要ですが、これは敵を倒したりWaveの早送りをすることで得られます。
ステージ外では使用する部隊の他にディオの装備を選ぶことができます。槍と剣は攻撃の威力や攻撃速度に直結し、盾と兜は被ダメージの軽減やコンバットポイントの獲得量などのボーナスを与えてくれます。またこれら装備にはそれぞれ使用型アビリティが設定されており、現在使用している装備により「扇状に槍を投げて攻撃」「敵を一定時間スタンさせる」などのアビリティを使用することもできます。これらアビリティはクールダウンのほか使用ごとにスタミナが必要です。実は通常攻撃もわずかながらスタミナを消費します。回復は移動、攻撃をせず一定時間静止状態にあると休息に回復しはじめます。常に攻撃し続けているとスタミナ切れになるのである程度は部隊に対処を任せ回復を行うスタミナ管理も必要になってきます。
体験版を最後まで遊んでみた感想としてはPlants vs. Zombies風TDとしては基本的な要素は一通り揃い、よくまとまってはいるものの、やるべきことがはっきりしすぎていて敵の編成や攻撃パターンに応じて最適な戦略を見つける、瞬時に正しい判断を下すといった要素は弱いかなと思いました。具体的にはまず全ての列に壁役と攻撃役を埋めていく、まだ埋まっていないところはディオを動かしてカバーして壁が破れそうになったら補強する、これを最初から最後まで繰り返すだけで次のステージに進んでも大きな変化はない、平板さは感じました。ただ体験版で遊べるのはまだ序盤なので中盤以降は頭を使わないとクリアできない局面も出てくるのかもしれません。
News Tower
2月13日発売
早期アクセス
ジャンル: ストラテジー (新聞社経営)
日本語なし
体験版あり
1930年代のニューヨークで、父と叔父が立ち上げた新聞社を受け継いで発展させていくという経営ゲームです。新聞は毎週月曜日に発行されるので日曜から土曜までの間に取材、組版、印刷して販売、それを1サイクルとして繰り返すことでゲームは進んでいきます。
記事には「政治」「スポーツ」「社会」などのタグがあり、中には複数のタグを持つものもあります。基本的に新聞に含まれるタグの数、等級により新聞の販売数が決まります。また同じタグを持つ記事を複数入れることで相乗効果などもあったりします。
内容の充実した新聞を作成するためには社内設備の充実が必要です。電信、執筆、組版などの作業用机を追加し、新たな社員を雇いましょう。最初は1ページ、3記事までの新聞しか発行することができませんが、印刷機のモジュールを追加することでページを増やして1回の新聞に盛り込める記事の数を増やし、売上を増加させることができます。他にも地球儀や地図、無線受信機などのアクセサリを追加することで従業員の能力を高めて各種作業の高速化を図ることもできます。しかし一部の設備は周辺に高温、騒音などのペナルティをもたらします。これは社員の幸福度を減少させ、逆に作業効率の低下を招くので部屋を壁で区切って騒音を減らしたり、扇風機を設置して高温の影響範囲を狭めたりといった対策も必要となります。
掲載する記事の増加のほかにも収入増加の方法はあります。それは定期購読者の獲得で、これは全体マップより新たな地区に進出していくことで得られます。
一つ注意すべき点としては、新聞という題材から掲載するニュースを選んで社会を操って…みたいな要素を期待される方もおられるかもしれませんが体験版を最後までプレイした限りではそういうのはないです。あくまでも新聞という商品を内容を充実させ、販売網を拡大していくという経営ゲームです。一応市長やマフィアから「このタグは載せないでくれ」みたいな要望を受けることは可能ですが、それも販売部数拡大、影響力ポイント獲得の手段であって世論を操ってというようなものではないです。
Lysfanga: The Time Shift Warrior
2月13日発売
正式リリース
ジャンル: アクション (2D、アイソメトリック視点)
日本語あり
遠い昔に封印された悪魔が解き放たれ、脅威に晒される王国を救うために代々王国の平和を守ってきた守護者(タイトルのLysfangaはこの守護者の称号らしい?)が立ち上がり、悪魔の拠点と化した古代都市の廃墟へと向かう…という設定のアイソメトリック視点(クォータービュー)のアクションゲームです。ストアページの説明に「ハクスラ」とありますが、これは日本で誤用されているランダム生成されたアイテムを拾ってキャラを強化して進んでいくという意味ではなくて敵との戦闘を楽しむことに中心が置かれているという意味と思われます。たまにゲームの説明で本来の意味でハック&スラッシュと書かれているのを日本のユーザーが勘違いして購入、「全然ハクスラじゃない、詐欺だ!」と不評レビューをつけているのを見かけたりしてもはや笑い話では済まされない事態になっていたりします…。
アクションゲームとしての特徴は…一点を除いてほぼありません。よくある武器やアビリティを拾って敵をざくざく切り捨てていくハイスピードアクションですね。唯一の特徴は時間を巻き戻して過去の自分を味方として活用できるということです。これはレースゲームのゴーストカーのように、一度普通にプレイしてある敵を倒す→時間を巻き戻すと半透明の自分が登場し前回のプレイを再現してくれるので今度は自分は別の敵を倒しに行く…というものです。巻き戻し機能は1回きりではなく、何らかの制限はあると思いますが1回きりではなく複数回巻き戻して同時に実行することができます。
正直言葉では面白さが伝わりにくい…というか続けてプレイしている動画が見当たらず私自身もよくわかってないんですが…敵1人を倒すというのを何回も繰り返すよりも、走り回って複数の敵を集めてまとめて倒してしまった方が楽なのでは?と思わなくもありません。どうもタイムトライアル要素があってゴーストキャラの活用でいかに短時間で敵を全滅させられるかというのが重要になるらしいんですが…。発売までに続けてプレイしている動画を公開するか体験版を出してくれたらなあと思ってます。ただ時間操作以外に特徴はないとはいえ、アクションとしてはそれなりに高クオリティでなかなか楽しそうだなとも思います。
The Thaumaturge
2月21日発売
正式リリース
ジャンル: RPG
日本語なし
タイトルのThe Thaumaturge(ソーマタージ)というのは魔術師のことです。1905年、ロシア帝国の占領下にあるワルシャワでSalutorと呼ばれる幽霊と対話したりその力を借りることのできるヴィクトル・シュルスキという主人公を操作して様々な事件の謎を解き明かしていくというストーリー主導のRPGです。
パブリッシャーの11 bit StudiosはThis War of Mine、Frostpunkなどでおなじみのところですが、このゲームの他にも昨年出たThe InvinsibleやChildren of Mortaなどいくつかのインディーゲームのパブリッシングを手掛けています。開発元のFool's Theoryは11 bit Studiosと同じポーランドの会社で、これまた同じポーランドの会社であるCDPRと提携してリメイク版Witcher 1の共同制作として名を連ねていたりします。
とりあえずいくつか動画を見た限りの感想としてはRPGのゲーム部分はあまり目新しいところはなく、ここが面白そうという部分は見当たりませんでした。戦闘も自分と敵が棒立ちでただ素早さの順に行動を選択して実行してそれを眺めるだけ、遮蔽物やアビリティを活用して頭を使って勝つみたいな楽要素もなさげです。ではどこがこのゲームの魅力なのかというと細部まで作り込まれた美しい世界、スラブ神話が元らしいエキゾチックな設定、重厚な設定、ストーリーなどですね。RPGよりもADV的な魅力のあるゲームだと思われます。その意味では日本語に対応していないのが非常に惜しいですが…発売後の言語の追加に対応したいところですね。
Pacific Drive
2月22日発売
正式リリース
ジャンル: サバイバルクラフト、ナラティブ
日本語あり
謎の組織ARDAの実験によりアノマリーが発生、怪奇現象が続出するようになった太平洋岸北西部(アメリカ北西部およびカナダ西部)をステーションワゴンに乗って走破していくゲームです。ジャンルとしてはサバイバルクラフトとなっていますがぱっと見では資源を集めて拠点を築いて…という一般的なものではなくて過酷な環境を通り抜けるために目的地へ移動を続けながら道すがらパーツを拾って車を強化していくというゲームみたいですね。
ゲームの流れとしては基本的には車道を通って現在いるエリアの出口まで向かいます。途中で壊れた車や廃墟があって、そこでは車を降りて部品やガソリンを入手することができます。車にカーナビ的なパーツを追加すれば周辺の地形や構造物を把握することができるようになり、時には車道から大きく外れた大自然の中にある廃墟で貴重な部品が見つかることもあるでしょう。そうして集めた部品は自動車工場で車を強化するのに使えます。壊れたドアを修理したり、照明をより強力なものに取り替えたり、怪奇現象から身を守るためのパーツを作ったりできます。
エリアの終着点にたどり着くと次に進むエリアを選ぶことができます。各エリアにはそこに存在する資源や脅威が設定されており、自身の状況を鑑みつつ次に行くエリアを選択していきます。先に進むほどアノマリーの脅威は深刻なものとなり、きちんと車を強化していないと先に進めなくなってしまうでしょう。車の強化と探索を繰り返して先へと進み、最終的にオリンピック半島の最深部までたどり着き怪奇現象の謎を解き明かすことが目的のようです。
乗り物中心のサバイバルゲームとしてはRaft、Voidtrainなどいくつかありますが、このゲームはどちらかというとストーリー主導で、探索、素材集め、クラフトはストーリーを進めるための準備程度ではないかと思われます。拠点のかわりに車を少しずつ強化し、ラジオで相棒的な相手と話をしながら視覚的にも見栄えのする様々な怪奇現象が発生する荒野を探索する、ウォーキングシミュレーターならぬドライビングシミュレーターみたいな感じでしょうか(その名前は既に別タイプのゲームで使われている気もしますけど)。
Nightingale
2月23日発売
早期アクセス
ジャンル: サバイバルクラフト
日本語あり
戦闘メインのサバイバルクラフトものです。類似のゲームとしてはValheim、最近だと先月発売されたEnshroudedとかがありますね。世界設定としてはヴィクトリア期をベースとして銃あり、魔法ありのファンタジー世界です。他の世界に通じるポータルで繋がった神秘的なフェイの世界を探索し、タイトルにもなっているナイチンゲールという街に到達することが最終目標です。ただし早期アクセス開始時点ではこの街はおそらく未実装です。
プレイヤーにはそれぞれレスパイト(休息)の領域という永続的、本拠地的なマップがありここで木を切ったり石を掘ったりして素材を集め、自らの拠点を作りそこでより強力な装備を作ったり様々な設備を築いていきます。他にNPCも登場し彼らを雇うことで拠点をより一層発展させていくことができるようですが、これが単に何種類かのNPCがいて彼らを迎え入れると新たな機能がアクセス可能になるのか、Medieval Dynastyのように労働者として資源収集や加工といった作業を割り当ててることができるのかはわかりません。
レスパイト領域で準備を整えたらより高度な資源を手に入れるため、古代の装置で他の領域につながるポータルを開き、遠征に出かけることができます。ポータルを開く際は基本地形を左右するバイオームカード、そこに住む生き物を決定するメジャーカードが必要になり、その組み合わせによって新たなエリアが生成されます。またポータルを開くのに必須ではないものの天候や時間帯を操作するマイナーカードというのもあるようです。
ポータルを通ってやってきたアライバル領域にはただ敵が徘徊しているだけでなくその拠点もあり、夜間には近くのプレイヤーの拠点を襲撃したりもするようです。襲撃を受けたくない場合は十分に距離をとるか、マイナーカードを使って常時昼にしてしまうなどの回避手段も用意されているようです。そしてまたアライバル領域には通常の敵よりもずっと強力なエイペックスクリーチャーというボス敵も存在しており、これの討伐が早期アクセス開始時点ではエンドコンテンツになるのではないかと思われます。下の動画はエイペックスクリーチャーの1つのフンババとの戦いを映したもので、7:10あたりから実際の戦闘が始まります。
マルチプレイに対応しており、当初は多人数でプレイすることが前提とするコンテンツも予定されていたらしいのですが1人で自分のペースで楽しみたい、マルチプレイ必須のコンテンツがあるなら買わないという否定的な反応が結構多かったようで、それに押される形で(少なくとも早期アクセス開始時点のコンテンツは)ソロで全て楽しめるように路線変更されています。
なお日本時間で2月3日の午前3時から6時までストレステストが開催されることになっています。サーバの状況に応じて参加者を追加していくということで誰でも自由にプレイ可能できるわけではないのと期間が非常に短く、日本からは参加が難しい時間帯となかなか厳しい条件が揃っていますが購入前に試してみたいという方にはいい機会になるかもしれません。
Star Wars: Dark Forces Remaster
2月28日発売
正式リリース
ジャンル: FPS
日本語なし
元は1995年発売の同名タイトルのリマスター版です。時期的には映画のエピソード4のヤヴィンの戦いの前後にあたり、反乱同盟軍の工作員カイル・カターンとして帝国の超人兵士作成プロジェクトであるダークトルーパー計画に挑むという設定です。このカイル・カターンはDark Forcesシリーズのオリジナル登場人物ですが人気が高く、後に原作のスピンオフ小説であるニュー・ジェダイ・オーダーシリーズにも登場したりしています。後にジェダイの1人ともなりますがこの初登場作品であるこのDark Forcesの時点ではその力に目覚めておらず、フォースの力は使えず銃や爆発物など一般的な武器で戦う人間の工作員となっています。
リマスター版の制作を担当したNightdive Studiosは他にTurokシリーズ、System Shock 2などの旧作のリマスターも手掛けており、その手腕については非常に評価が高く、ここでは名前は出しませんがある旧作のリマスター版が別の会社より出て評価がいまいちだったとき、「なぜNightdiveにやらせなかったんだ」と名前が出てくるほどの名声の持ち主です。
私はリアルタイムで遊びましたが今でも記憶に残っているくらいには良作でしたし、リマスターについても不安材料はないものと思われますが、ただやはり30年近く前のゲームなので…今となっては特徴のないマップと武器、途中で迫力満点のカットシーンや驚きの展開があるわけでもなく淡々と進みます。値段もNightdiveの過去作品からすると2000~3500円程度になることが予想され、プレイ時間に対してコストパフォーマンスは良くはないでしょう。単にレトロ調のブーマーシューターを遊びたい、昔の名作と聞いて…程度であればお勧めはしません。リアルタイムで遊んでいた、シリーズの途中から入ってそれより前の作品もやりたいと思っていた、原作ファンである…そうした事情をお持ちの方のみにお勧めします。