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【進撃の巨人という哲学書】38.命のリレー ~53話~

アニメタイトル:第53話 完全試合

あらすじ

ウオールマリア奪還計画です。
とにかく戦いのストーリーが凄すぎます。

壁中ではベルトルトが超大型巨人となり、大半の調査兵団が命を落としました。
アルミンは次の作戦が浮かびません。ジャンが代理リーダーとして指揮します。
エレン巨人が超大型巨人の足に食らいつきますが、蹴飛ばされてしまいます。

壁外外ではジーク獣の巨人の投石攻撃です。
調査兵団は成す術がありません。

エルヴィン団長もどうすればいいのか決断がつきません。
決断はつきませんが、これしかないという作戦は頭の中にはあります。
指示を求めるリヴァイと、迷うエルヴィンの会話が熱いです。

ついにエルヴィンは頭の中にある作戦を打ち明けます。
「この作戦が上手くいけば お前は獣を仕留めることができるかもしれない。ここにいる新兵と私の命をささげればな。」
エルヴィンの作戦は、特攻です。
ここにいる兵士全員で獣の巨人に向かって特攻をかけます。
それは獣の巨人が投げる岩石の雨あられに兵士は打ち砕かれ肉片となり、全員の死を覚悟した作戦です。
当然、その特攻の先頭はエルヴィン自身が走らなければなりません。
そして後方からただ一人、リヴァイの戦闘能力によって獣の巨人を倒す。
リヴァイの戦闘能力にかけ、リヴァイ以外の全員が特攻というおとりという作戦です。

エルヴィンの迷いはこの兵士全員を死なせる事。
自分も死ぬ事。
地下室に行きたいという自分の夢も捨てる事。
しかし
ここまで多くの部下を仲間を死に追いやってきた。
そしてここまで来た。
夢である地下室の秘密はもうすぐそこなのに。。。
エルヴィンの個人的夢と、調査兵団団長としての使命が、今さらながら交差します。

それに決断を下すようにリヴァイが言います。
「夢を諦めて死んでくれ。新兵達を地獄に導け。獣の巨人は俺が仕留める。」
事は決まりました。

全員命を捨てた特攻です。


あれこれ考えてみよう。

エルヴィン最後の演説で必死の特攻を兵士に説得します。

エルヴィン
「まったくその通りだ。まったくもって無意味だ。どんなに夢や希望を持っていても、幸福な人生を送ることができたとしても、岩で体を打ち砕かれても、同じだ。人は、いずれ死ぬ。ならば人生には意味は無いのか?そもそも、生まれてきたことに意味は無かったのか?死んだ仲間もそうなのか?あの兵士達も...無意味だったのか?いや違う!!あの兵士に意味を与えるのは我々だ!!あの勇敢な死者を!!哀れな死者を!!想うことができるのは!!生者である我々だ!!我々はここで死に、次の生者に意味を託す!!それこそ唯一!!この残酷な世界に抗う術なのだ!!兵士よ怒れ。兵士よ叫べ。兵士よ!!戦え!!」

雄たけびと共に兵団は獣の巨人に向かって特攻します。

誰しもいずれ死にます。
誰しも必ず死にます。
死にも意味はあります。
それは次の生への命のリレーです。

命のリレーという言葉を私はよく使います。
私には父と母がいて。父と母にもまたそれぞれに父と母がいて、そのまた父と母がいて。
1,2,4,8,16,32,64,128。258。。
指数関数的にその数は増えて。その先っぽに私がいて。その一人でもいなければ私は存在していなくて。
その命のリレーの「軌跡」は「奇跡」そのものです。
生とはDNAの成せる業で、その命のリレーの意味は涙が溢れる程に尊いものです。
しかし生まれた命はその命を生き、そして死んでいく意味はDNAをも凌駕しているのではないでしょうか。
例え子が無くとも、一人一人の生には、そして死には意味があって、その意味を次の世代に繋げる。
それもまた立派な命のリレーなのです。

幸いに私には一人の娘がいますが、私の生の意味は娘に限った事ではありません。
次の世代へ次の世代へそれもまた命のリレーなのです。

兵団は特攻を開始しました。

獣の巨人
「哀れだ…何度も過ちを繰り返す。しまいには壁の中の奴ら全員年寄りから子供まで特攻させるんだろうな…。」
「どうせ誇り高き死がどうとか言い出すぞ…ふざけやがって!…みんなを誇り高き肉片にしてあげようぜ」

哀れみと怒りをごちゃまぜにして岩石を投げるのです。
兵士たちは次々とその岩石にぶつかり肉片と化し死んでいきます。

真っ先にその投石は先頭を走るエルヴィンにも。。。

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