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【進撃の巨人から見る心】51 偽りの自分  ~61話62話~

アニメタイトル:第61話 闇夜の列車
アニメタイトル:第62話 希望の扉

あらすじ

大陸のマーレ部隊として戦う知性巨人の力を持つ者が集合しました。
ジーク(獣)、ライナー(鎧)、ボルコ(顎)、ピーク(車力)の4人は今後の戦いの方針を話し合います。
もちろんマーレ人には聞かれていないという前提で話すが、盗聴されているであろう事は皆が察しています(多分ボルコは察していない)

話の内容をまとめるとこうです。
兵器の進歩が進み、巨人は絶対的な兵力として通用しなくなっている。
そうなればエルディア人の存在意味が無く、むしろ、他民族はエルディア人の根絶を願う。
それを防ぐにはパラディ島にある「始祖の巨人」の力が必要になる。
しかし、「始祖奪還計画」が成功してもエルディア人に対する世界の反感感情を抑えられるとは思えない。
その為に、物語が必要だ。
始祖奪還までの筋書きを用意するんだ。
世界にエルディア人の存在意義を民衆に植え付ける。
それに「タイバー家」が協力してくれる。

さて。ジークをはじめとする面々は何を考えているのでしょう。
ダイバー家とは一体何でしょう。
再びあのパラディー島の悪魔のような戦いが繰り返されるのです。

物語は、ライナーの視線で仲間達との訓練兵の時代。
それぞれがそれぞれの知性巨人を継承する流れ。
パラディ島侵入へと、物語が進みます。
壁内人類にとっては、この進撃の巨人の物語の幕開けであった、壁の上から超大型巨人が姿を現すまでの物語になります。


あれこれ考えてみよう。

今回はライナーの心を紐解いてみようと思います。

ライナーを表現する言葉は「英雄」です。
子供の頃から英雄に憧れ。知性巨人の継承者となる為に訓練をします。
しかし、実はライナーにはたいした才能はなく、選抜メンバーの中でも落ちこぼれだったのです。
それが、その情熱でなんとか「鎧の巨人」の継承者に選ばれました。

「始祖奪還計画は顎・鎧・超大型・女型で決行する」
「マルセル・ベルトルト・アニ・ライナー、任せたぞ」

ライナーは鎧の巨人として選ばれました。
これで別れて暮らしていた父に褒められるかと思いました。
しかし、マーレ人である父は完全にライナーを拒否しました。
ライナーはその心の傷を振り切るようにパラディー島に侵入します。
皆を救う英雄になるんだ。

パラディー島に侵入して一時休息を取っている時にマルセルは言います。

「ライナー、すまない」
「本当はお前は戦士に選ばれるはずじゃなかったのに」
「俺が、お前を持ち上げたり、弟を貶めたりして軍に印象操作した」
「俺は、弟を守りたかった」
「ライナー、すまない」

つまり、ライナーの実力はポルコ(マルセルの弟)には及ばなかったのに、マルセルの裏工作で鎧の巨人の継承者に選ばれた訳です。
それをライナー本人は今の今まで知りませんでした。
そんな気持ちの整理のつかない瞬間に、いきなり現れた巨人にリーダー各のマルセルが食われてしまいます。
そのマルセルを食った巨人がユミルです。
それでユミルが顎の巨人を継承したのです。


いきなりの巨人の出現。そしてマルセルが食われる現場を目の当たりにして一同はとっさに逃げます。
「もうここまでだ。帰ろう。」というアニとベルトルトを制して、ライナーは3人で計画を遂行する道を選びます。
ここまでのライナーは弱虫の劣等生だったのです。
しかし、ここで「マルセルが必要なら俺がマルセルになる」と自らがリーダーとなり突き進む事を誓います。

当初、壁内の訓練兵として登場するライナーは「リーダー気質」で「熱血」でした。
鎧の巨人であるとカミングアウトしてからのライナーは「任務に忠実」で「一途で」「そのくせ分裂症」で「何か影がある。」
そんな印象を与えました。
そのライナーの人格はどう形成されたのでしょう。

元々は弱虫の劣等生で、しかし持ち前の熱血さと真面目さでそれを払拭するほどの情熱でしがみつきました。
結果的に、ホントはガラでもないリーダー役を買って出て苦しんでいます。

分かり安い程に心の中が分裂していて。
マーレ戦士としての訓練兵の仲間達と。調査兵団としての仲間達と。
エルディア人としての正義と。その為にパラディー島のエルディア人を殺さねばならない使命と。
様々な矛盾に苦しんでいます。

人の性格は先天性のものなのか。環境に寄るのか。おそらくその両方であろうとは思いますが無理をして自分を繕う日々は。
苦しいものです。

「ホントの自分」などという流行歌チックな言葉は陳腐で好きではありません。
「ホントの自分」など自分が一番分からない気もします。
しかし
「偽りの自分」というのは間違えなくあって。
「偽りの自分」は自分が一番分かっています。

苦しいものです。

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