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ランボーが関西弁で叫ぶ、ってなんでねん。

みなさんランボーはお好き? あ、スタローンじゃなくて詩人のほうです。19世紀末フランスを駆け抜けた天才詩人、アルチュール・ランボー。そのランボーの詩を関西弁で超訳した本、というのがありまして、やしの実ブックスから好評発売中です。著者は詩人・重兼徹。

中原中也の翻訳をベースに、関西発ポエトリーリーディングの至宝・重兼徹が超訳。三者の才能が交錯して、名詩のあらたな魅力が浮かび上がる…という一冊なのですが。いきなり関西弁でランボーと言われても「なんでやねーん」とツッコミたくなる方も多いと思いますので、ここで刊行のいきさつをご説明しますね。

まずこちらをどうぞ。

これが重兼徹による関西弁朗読、アルチュール・ランボーの中でも最高のキラーチューン「永遠」でございます。ね、すごいでしょ。収録は2023年6月3日、 川越のライブハウスROTOM 。マダガスカルから来日した詩人Tokyo Haremを囲むイベントでのものです。せっかくなのでもうひとつご紹介。


ランボーが実は関西弁にハマるわけ

実は私・村田と重兼氏は二十年来の友人なのですが、この朗読にはたまげた。悲哀とオモロが入り混じった豪速球のアルチュール・ランボー。重兼徹のエキスをたっぷり滲ませながら、でもやっぱりランボーだ…と納得したりもして。しかもこれを初披露したのはパリ・セーヌ川沿いの路上だったというのだから、そらシビれるっちゅうねん。即座に相談を持ちかけ、なぜかケバブ屋で「あの関西弁ランボー、本にせえへん?」「ええですけど」てな調子で話が決まったのでした。

しかし!(こっから大事なポイントその1)この本は決して勢いだけで生まれた訳ではありません。著者曰く「ぜひ、十代半ばの方に読んでもらって、ランボーに負けない詩人になってくれたら」(あとがきより)という思いが込められた一冊。そもそも、ランボーが故郷シャルルヴィルからパリに上京したのは17歳のときでした。一日も早く都会で才能を爆発させたくてウズウズしていた、若くてやんちゃで地元じゃ負け知らず♪な天才少年…と考えると、関西弁翻訳もなんだかしっくり来るのではないでしょうか。

波乱の生涯もなるほどよくわかる安心設計

そして(大事なポイントその2)そんなランボーの人生が、巻末の解説ページでしっかりチェックできます。解説を書いていただいたのは詩人・平川綾真智氏。地方都市シャルルヴィルでの少年〜青年期から、ポール・ヴェルレーヌとのスキャンダラスな関係そして晩年まで、波乱万丈の生涯がよくわかるのでランボー初心者(実は私もそうです)も安心。

さらに(大事なポイントその3)巻末にはランボー、中也、重兼徹それぞれの年譜付き。詩人の魂が、時代や場所を超えて継承されるのを感じてください。三詩人のイラストを描いていただいたのは『パンティオロジー』『スパイ手帳』の秋山あい氏です。

というわけで、アルチュール・ランボー好きにも、そうでない方にも読んでほしい痛快な一冊。

8月25日には、著者による朗読が聴けるイベントがあります。
ポエトリーフェス下北沢「詩で自由になりやがれ」
場所は 北沢タウンホール。重兼氏のステージは15:30〜17:30のどこかになる予定。もちろん本の販売もしますよ。お待ちしています!



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