ホラー「蛆女」& 詩
詩
Ideale
ずっとずっと昔のこと
目覚めてみると
未来の妻が横で死んでいた
彼女の死に顔は美しかった
それは芸術のカテゴリーに属する美しさだった
それは外面だけの美しさでもなかった
それは心から滲み出てくる香りだった
そこには通俗的なものが一切なかった
それは理知的な美しさのエッセンスだった
僕は涙を流しながら忘却の川の淵に立ち
緩やかな流れに乗って去っていく妻を見送った
それから僕はずっとずっと忘れることもなく
死んでしまった妻のことを思いながら暮らしている
僕がず