週中の詩06「悲しみも糧に血肉に、背を押す方へ」

登場人物
・上代尊…”ヒナギク”の同人誌に魅了された男。尊み求めて彷徨う上り野郎。アカウントネームは“SEM-01”(読み「せむいち」)。ファンと名乗るのはこわいよね。
・米沢聖…年末即売会で尊と出会った少女漫画大好きレディ。”ヒナギク”は最推し。アカウントネームは“ツバキ”。ファンは平等。
・桜ケイ…尊と聖の推し絵師、同人作家”ヒナギク”そのひと。描いている作品はすべて全年齢作品。今夜はがんばらせて。

~1月29日21時09分 尊と聖、各マイルームおよびSNS内~

上代尊(推しトークって何を語ればいいんだ?)〈首をかしげる〉

”SEM-01”「まだファンっていうほどではないですが(汗)」

”ツバキ”「いやいや、直接買いに行って『ファンです』と言っている時点でもう立派なファンです!」

”SEM-01”「そんなものですかね」

”ツバキ”「そんなものです」

”SEM-01”「僕は昔、今でもある先生の少女漫画を愛読していて高校生の時にSNSでその作品についてコメントを投稿したら『俄かファン』と袋叩きにされたんです。トラウマです」

”ツバキ”「とりあえず、作品に罪はないからね」

”SEM-01”「もちろんです」

米沢聖(空気が重い)〈頭をかきむしる〉

”ツバキ”「”ヒナギク”先生の話、します? いっぱいほめて拡散しよう(提案)」

”SEM-01”「そうですね、失礼しました。今回の新刊尊み深いシーンだらけで消えそう」

”ツバキ”「消えるな(笑)”ヒナギク”先生の作品はいつも無邪気さが全面的に出ていて瑞々しい。今回の新刊も顕著になってた」

”SEM-01”「描かれてる女の子はみんな楽しそうだったりほほえましかったり悲しそうにしている子はほとんどいなくてそこが個人的に好きです」

”ツバキ”「泣き顔の子なら過去にイラストサイトに投稿していたけど」〈イラストのリンクを添付〉

”SEM-01”「あああああ、つらい、つらい(泣)」

”ツバキ”「よしよし、頭を撫でてやろう」

”SEM-01”「あっ、まだいいです(素)」

”ツバキ”「なんでだよ(#^ω^) けどこういう悲しげな女の子もまた見てみたいって思ってる(真顔)」

”SEM-01”「た、たまにならいいかな(震え声)」

~1月29日23時01分 尊と聖、各マイルームおよびSNS内~

”ツバキ”「無理とかしてないかな」

”SEM-01”「心配になりますよね」

”ツバキ”「ありがとう、今日はいっぱい付き合ってくれて。そろそろ眠くなってきたのでおやすみなさい! ”SEM-01”さん」

”SEM-01”「いえいえ! おやすみなさい、”ツバキ”さん」

~1月29日23時02分 ケイのアトリエおよびSNS内~

桜ケイ〈イラスト作成をしながら、ときどき口を緩ませて”ツバキ”と”SEM-01”のやりとりを眺める〉

桜ケイ「よし、あと1時間くらいがんばるぞ」〈体を伸ばす〉

”ヒナギク”「今日はもうちょっとだけ頑張らせて」


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