週中の詩10「特に導かれていない4人」
登場人物
・上代尊…”ヒナギク”の同人誌に魅了された男。尊み求めて彷徨う上り野郎。アカウントネームは“SEM-01”(読み「せむいち」)。夢は特に語れないが、楽しむだけの青春は将来的に無価値だと思うこの頃。
・尊の友人たち…個人情報保護、および尊の希望で、本編では「笑」「爆」「Q」と呼称。3人はゲームの話で盛り上がり、尊はそれを見守る。そんな関係が19歳の頃から続いている。卒業したら絶対疎遠になるやつだ。
~2月21日09時07分、”近所銀行”~
ATM 「ご利用ありがとうございました」
上代尊〈ATMから仕送り金を下ろす〉
~2月21日09時28分、尊の部屋~
上代尊「ええと、これが食費、これが……」〈スマートフォンの通知音が耳に入り手を止める〉(グループメッセージか)
友人笑「今日ヒマだからオケかボウリングどう?」〈送信〉
友人爆「おk」〈返信〉
友人Q「課題終わったしいいぞ」〈返信〉
友人笑「尊はどう?」〈返信〉
上代尊「ちょっと待って。課題ももうすぐ終わるから」(ほんとはもう終わってるけど)〈返信〉
友人笑「行けたら12時までにここで」〈地図のデータを添付〉
上代尊「了解」〈返信〉
~2月21日09時53分、尊の部屋~
上代尊「今月は新刊もないし、ゆとりありそうか?」〈机上の金を眺める〉
上代尊「今日はいけそうだ」〈返信〉
友人笑「OK」〈返信〉
友人爆「おk」〈返信〉
友人Q「こうして休みに遊べるのもあとちょっとだな」〈返信〉
上代尊(確かにそうだな。思えばこいつらとつるんで結構経った)
~上代尊19歳の春、12時03分、学園食堂にて~
友人笑「よし、あがり!」
友人爆「強えな」
友人Q「よしもう1回」
上代尊(楽しそうにトランプするなあ)〈弁当を食べる〉
友人笑「お、あんたもやるか?」
上代尊「いいのか?」
友人Q「もちろん」
~上代尊19歳の春(同日)、12時40分、学園食堂にて~
友人笑「強えじゃん」
上代尊(8勝7敗、勝ち越した)
友人爆「盛り上がってるとこ」
友人Q「悪いんだけどさあ……」
友人笑「やべえ! 次の講義が!」
~上代尊20歳の夏、12時05分、学園食堂にて~
友人笑「でさ、特性持ち探すのに2時間かかって……」
友人爆「いやあ、そんなにかかったかな?」
友人Q「そもそもあれ個体値高く……」
上代尊〈無言で昼食をとる〉(盛り上がってるな)
~2月21日10時03分、尊の部屋~
上代尊(あの春以来、つるみ始めたけど、ゲームなんてろくにしなかったからゲームの話で3人盛り上がってる中、聞き役に徹してたな)
上代尊「メシは食べてきた方がいい?」〈送信〉
友人笑「外で食べようぜ」〈返信〉
友人Q「お代はいつもどおり、各々で払うってことで」〈返信〉
友人爆「おk」〈返信〉
上代尊「了解」〈返信〉
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