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akira muraccoの仕事-音楽ジャケット編-

text : akira

今回久しぶりのコラムです。(かなり途切れてしまってごめんなさい。)

林央子さんの"わたしと『花椿』"を読んでいる。林さんは、花椿という雑誌の編集室に所属されていた方。初めの方に「編集者はどんどん人に会いにいきなさい」という言われがあった。

音楽のジャケットを描かせてもらえることがたまにある。これは、音楽に絵をつけるだけなわけではなくて、それを作品として、ものによっては商品として出される時の一番最初の印象となる。
そしてそれは基本イラストレーターであるわたしとミュージシャンとの一対一のやり取りで作られる。

いろんなジャケットの作り方があるので、
このコラムでは自分で覚えている範囲で幾つか制作に特徴があるものをピックアップしていこうと思う。(音楽コラム的ではないけど…!)

⬛︎高井息吹 - 配信シングル 欠片/瞼
阿佐ヶ谷で以前やっていた個展に来てくれて終了後に一緒に食事をしているときに本人より依頼された。
とても好きなミュージシャンの一人となっていたので驚きが身震いに変わってその空間のことは今でも忘れられない。
制作に関しては、本当にいろんな検証をした。曲が出来上がっていくのを聞かせてもらいながら、たくさん提案して私も息吹ちゃんも
なんだか納得できず、結局合宿みたいな形でどうしてもとお願いして息吹ちゃんの家に伺い、一緒に制作したら息があったようにこれだこれだ!と納得するものができた。
これはものすごく一例としては、珍しい制作の仕方であると思う。けど、とても楽しかった。

⬛︎さとうもか - 配信シングル 舟
依頼された時は、もかちゃんは長らくの友達のようになっていていた。当時のもかちゃんの所属している会社のスタッフの方とのやりとりが主になって制作していた。
連絡の間に入ってやってくれている時の制作は、もかちゃんの意見をスタッフさんとの連絡のやり取りで汲み取ることがものすごく必要だと痛感した。
ジャケットはヴィンテージの楽譜のようなイメージがあったみたいで、いくつかの楽譜の画像を送ってもらったりしながら、その中で、もかちゃんの最初の曲の作られた意図や
その時の気持ちを伺いつつ、ライブで聴いていた曲でもあったので、ジャケットの四隅のあしらい、レースの囲みのようなものや、二人の人が重なるようなモチーフが生まれた。

⬛︎kiwano - 配信シングル アールグレイ
kiwanoは、原宿での私の個展で流していた曲に対して、これ私の曲です、いう第一声で面白くって興味をより持つことになる。。。
弾け出すように音が跳ねるところが彼女の曲の特徴であると勝手に思っているのだが、こちらも間に人に入っていただきながら依頼をいただいて、
仮曲はまさにそんな雰囲気で、弾けるような印象を作ろうというところは変えないでいこうと思いながら制作した。
モチーフの制作はスムーズだったと思っているのだが、その後の最終の色とか見せ方をどうしようかな、と、色々悩み相談しながらできた。
高井息吹ちゃんのように実際一緒に制作を見てもらいながら確認しながら作ることはいろんな共有事項ができていったその、真逆のような作り方でもあった気がする。
本人の意向が今までで一番汲み取ることが難しかった制作だと思う。。。(私の理解力の問題はもちろん大きくある)。互いに信頼し合うところに戻ったりしながら、まずは。。。!可愛いものを作ろう!と
試行錯誤した制作だった。

⬛︎ふたりの文学 - CDシングルわだかまりの秘密
こちらは、ケースにとしてでのジャケット制作だった。初めてではなかった物理フォーマットのジャケットではないものの、まだ経験値の浅い状態であったので
サイフォングラフィカさんにデザインとディレクションをお願いし、制作した。
その頃描いていた、スケッチのような素描のようなイラストの群を色々見返しながらモチーフを決めていった。
オレンジ色の花をいろんなふうに見立てて制作した。一つの決まりを作ってそれ以外は自由にやっていたので、決まりでガチガチな感じになりすぎず軽やかなものが出来上がりました。
こちらはサブスクにはないようなのでジャケットの写真をあげておきます。


ジャケット面
ジャケット裏
開いたところ
CDを取ったところ

⬛︎リバーヴス - CDシングル 街のつぶて
リバーヴスの依頼はサイフォングラフィカさんから合作という形で制作となった。
最終的には、異素材的なジャケットとなってものすごく興味深い画面となったのだが、
デザインとイラストの間くらいのこの感覚の発見は大きかった。
制作側の決定権が私だけではないと自分の甘さや、面白い発見があります。

以上です。

私の中で、主にジャケットの仕事などは、
実際自分を指名して、制作させていただけるのはどこかにつながりがあったところなのです。
コロナ禍でライブにはあまりいけてないのでまた私の判断で、行けるようになればなと思っている。
その前は、東京や名古屋にライブのために行っていたことが多くてそこでの出会いはジャケット仕事をいただけることの
ものすごく大きなきっかけの一つだと思う。
実際に会って、自分の考えと他者の考えてるところを互いに出して、そこに何かがあったらもしかしたら依頼が来る。

そして、ジャケットは私とミュージシャン(時にはデザイナーや間にいる人)とで作る。
曲はミュージシャンのものなので見せ方までイラストレーターが考える場合も多い。
特にコロナ禍でのサブスクでの画面のみでのジャケットが主になってからは、そのようなことが多くなったと思う。
できる範囲で、色や構成で他と並んだときに違いが大きく見える感じとかをものすごく考えるようになった。
ちょっとビジュアル面での編集してるみたいだなと思っていたので、
林央子の著書にはなるほどやふむふむが多かった。

実際に参考になったりする人も多くはないだろうと思うし、
これはやっぱりコラムじゃないな笑 と思ったけど、
個人的に残せたらいいなと思っていた事柄の一つなので。。。!

そしてspotifyにて私の今までのジャケットのサブスクあるかぎりの書かせてもらったジャケットのアーカイブのプレイリストを作っていますので、もしよかったら。。。!


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