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あなたのために何ができる?~アメリカの山中で神を信じた瞬間(後編)~

いまでも深く心に刻まれたまま消えない心残りがある。遠い昔のことなのに時々思い出す。あの時、できなかったことを。あの時、すべきだったことを。いまとなってはどうしようもないことだとわかっているけど、忘れられない。

何年かぶりにアメリカ人の親友と再会する日、アメリカの空港に降り立った私を、友人は大声で名前を呼んで、大きく腕を広げて、その腕に私を抱き込んだ。私はとてもうれしかったけど、日本人にはハグの習慣はないし、照れくさくて、されるがままだった。

ナインマイルキャニオンでの出来事の後、自分の元に戻ってきた車を見て友人は泣いた。いつも明るく、私を楽しませてくれるおおらかな友人が泣いた。
私はどうしたらいいかわからなかった。友人の悲しみや痛み、いろんな感情が手に取るようにわかるのに、立ち尽くすだけだった。あの時私がとるべき行動は、友人を抱きしめてあげることだったって今でも思う。

あの時、抱きしめてあげられたら。
わかっているよ、
つらかったよね、
もう大丈夫だよ、
そう言わなくても、言葉以上にその思いを伝える方法は、抱きしめてあげることだったと思う。

そんな心残りが今の私の行動の元になっているような気がする。誰かが困っている時、どうしてあげたらいいのか。
その人に合わせた寄り添い方ができるといいなと思っている。

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