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映画『アイアンクロー』ショーン・ダーキン監督

小学生のころからザック・エフロンが好きで、
絶対に見逃せない作品だ!ってなってた。

正直、プロレスは興味がない。
なので、正直、鑑賞前は不安だった。
だけど、プロレスよりも、家族愛。
愛にあふれた作品だった。
その愛が強いが故の悲しくも感動的なストーリーとなっていた。

この家族の悲劇の原因は、父フリッツにある。
完全な「悪」でも「善」に振り切らない描かれ方に、
とても人間味というか、多面性を感じた。

『アイアンクロー』 The Iron Claw (2023年)
監督・脚本:ショーン・ダーキン
出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ハリス・ディキンソン、スタンリー・シモンズ、モーラ・ティアニー、ホルト・マッキャラニー、リリー・ジェームズ

『ゴッド・ファーザー』の再来?

『ゴッド・ファーザー』のコレルオーネを感じる父親だった。
家族を守るために権力を得る。
家族がすべてだった。
そのために裏に手を染めるわけではないけれど。

フリッツは移民ではない。人種的な疎外感も迫害もなかったが、
中流階級とは程遠い生活を送っていた彼には、
アメリカンドリームを強く願っているように感じた。
それゆえ、息子たちに託しているようだった。
印象的だったのは、ケリーがオリンピックの出場がなくなり、
フリッツがケリーにいうセリフだ。

「押し付けたくはない。
だけど、そろそろプロレスはどうだ?
家族が一致団結する時だ。
家族でプロレスはやるべきだ。」

選択肢を与えているようで、プロレスを強要している。
「家族」の結びつきが強い家で、縛り付ける。
まるで呪いの言葉のように。

最後のシーン



フリッツの最後の登場シーンも心に残った。
ずっと連れ添っていた妻ドリスから冷たくされ、
孤独な様子から、だんだんとルーズになっていく。
夕食が用意されていなくても、怒ることなく、
「そうか」と言って、椅子に座る。
彼の孤独さがより浮き彫りになる。
そして、だんだんと小さくなる存在が、
主人公ケビンが父フリッツからの呪縛から逃れて、
自立していく様子も表しているのではないか。

あえて彼の死は描かれていない。
時間軸的にはケビンが引退した後すぐになくなっているから、
描かれていてもおかしくはない。
私が思うに、そこには、監督のフリッツへの尊敬と愛、
そして、ケビンがこれ以上家族を見送るのがつらい、という願望があったのではないか。

最後に

4兄弟を演じた4人の役作りは熱量がすごかった。
腕の大きさが倍ぐらいになってたし。
ザックの演技も素晴らしく、自然と涙が出てくるような、ゆっくりと引き込まれるような感じ。
プロレスのシーンもリアルで、
ファイトシーンが苦手な私は目をつぶってしまった。

シネコンではなく、小さい映画館でしか上映してないのが、もったいない。
ぜひ劇場で観てほしい。

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