見出し画像

気が付けば生産終了

RICOHのCX4。
高校生の頃読んでいた、雑誌によくある鞄の中身特集で、この人の持ち物かわいいなぁと思う人が持ち歩いていたカメラは、いつもRICOHのCXシリーズだった。

何となくの憧れで欲しくなったコンデジは当時のお花屋さんのバイト代と引き換えに私の手元にやってきて、今では愛着のしみこみすぎたカメラとして部屋の引き出しに眠っている。

CX4を手に入れた頃、私は映像関係の学科に所属してCGを専攻していた。
同じクラスの写真専攻だった友達と、高校から駅までのバスで20分の道のりをCX4を握ってよく歩いた。
もう10年近く前のことになる。

最初の保健の授業では蜂と蛇に遭遇した際の対処法を習う立地で、猫にもよく会った。(この知識は結局使うことなく3年間を終えた。)
当時私が撮っていた中でも珍しい色合いの、暗くて眠たい写真だけれど、なんとなくこの辺の匂いというのか、雰囲気を感じる気がする。

実家の最寄り駅から家までの道のりも、写真をよく撮った場所はどこに何があったか鮮明に覚えている。
雨上がりに見上げた、この鬼柚子が植えてあった左側には金柑の木があった。
鬼柚子、この写真を撮った時はまだまだ手のひらに乗るくらいだけれど、とんでもなく大きくなるので調べて見て欲しい。(きっとびっくりするよ。)

人はほとんど撮らなかった。

1日1時間に1枚ずつ写真を撮ってインタラクティブコンテンツに起こすという課題が出た時に申し訳程度に友達の後ろ姿を撮ったくらい。
とてもよく晴れた日で、さんさんと降り注ぐ太陽の光とコスモスを楽しんだ。

夕焼けがひどくきれいな日。この日は空に気付いてから家まで小走りで帰ってベランダから身を乗り出してカメラを向けた。

ごく普通の一戸建てのベランダに平均値の身長の手持ちではご近所さんの屋根も木も電線も映り込むけれど、それもまたアクセントになったななんて満足した。

この写真は特に気に入って、自分のポートフォリオサイトの背景にも使った。

画質か描写か、あの頃の鮮やかな色の持ち上げかたも感じるけれど、味があるような気がしてどれも好き。

これは校外学習で撮影した。

六本木だなんて目一杯背伸びした場所で見つけた空に浮かぶ不思議な形のワイングラス。このショットだけ鮮明に覚えているけれど、高い場所で撮ったということ以外は覚えていない。
この日は藍鼠色をテーマにして1日写真をとった気がする。
嘘。
後付けで藍鼠色をテーマとして課題を出した。

周辺減光、当時はきっと可愛いと思ってたけど今見るとチープだなぁ。

インプットとアウトプットを重ねると魅力に感じるものも変わっていくのだなと思う。

バキバキに持ち上げた色も当時は新鮮で魅力に感じていたと思うし、その後社会人になって関わったインスタグラマーたちの中でも、初期はとんでもなく鮮やかな色がトレンドで、とにかく流行っていた。
少なく見積もっても5年間くらいはこの鮮やかな色に惹かれていたはずなのに、今となってはもうちょっと古い表現だなあぁという印象。

フィルムや現像液だとか、技術的な要因で色が変わったことからの「古い色合い」とはまた違うはずなのに、流行り廃りでも古い表現だな、と感じることに不思議さを覚えながら久しぶりにCX4を起動してみたり。

電池がへたっているようだったけれど、新しいものに差し替えたらまだ使えるのかな?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?