夜の闇

我ながら色々やって充実!と思った日の夜のこと。
食べたものを片付けたのち、最後にテーブルを拭こうとしたら、手がショーユの瓶に当たって瓶が宙に舞った。さらに、蓋がちょいと開いていたらしく、ショーユまでもが黒々と宙に舞った。

全部片付けたのに〜、最後にこれかよ〜ヒィぃぃぃ・・と、キッチンやら床やらに飛び散るショーユたちを机の下の床に這いつくばって拭いていたら、目の前に椅子があった。

もしや!と思って顔を上げたら、案の定、お気に入りの布張りの椅子が、草間彌生さんを思わせる水玉模様に。

これは撃沈であった。床やキッチンは拭けばなんとかなる。いまはショーユくさい部屋になろうとも時間がなんとかしてくれる。しかし布張りは・・。ちーん、という言葉では表現できないくらいの時は、省エネモードのように静かに悲しみの暗闇に取り憑かれる。ネットでしみとりの方法を調べ、拭き取り、乾かし・・と黙々と続ける。ドライヤーは使わない方がいいらしく自然乾燥させている間に、どっぷりと疲れた体を癒すため、アイスを食べようとしたところ、今度は目の前にちょこまかと黒く動くものが・・・。

Gであった。今年初のGとの対面が、よりによってショーユデー。追いかけたけれど本棚の後ろに行ってしまって、退治はできなかった。

夜21じ近くに、この2つの出来事が重なったことで、その日の充実っぷりが全てすっ飛んだ。夜に一人ぽっちでショーユとGに立ち向かっただけで、無力感と絶望感にとりつかれる。もうお風呂なんて入りたくない、何もしたくない、寝てしまいたい、でもGが現れるかも、と思ったら眠れへんやん・・と、負のオーラ全開になり、まぁまぁ長く生きてきた人生の良いところも、ワンクリックで消え去るかの如くだった。何も知らずにLINEでメッセージをくれる他の人の人生がなんとなくきらきらしているように見えて、ショーユ臭い部屋にいる自分がとっても惨めに思えた。

ちょっとしたら、いままで散々悲運(おっちょこちょい?)を乗り越えてきたじゃないか、Gともチューともナメナメと散々戦ってきたじゃないか、歳とともに弱くなってきたのかしら、と腰をあげて、ヨレヨレとシャワーを浴びた。そして、いつも通り眠りについた。(そしてすぐに眠りについたらしい)

翌朝起きてドキドキして見たら薄くなっていたけれど、輪シミがうっすらできていてしょんぼり。でも、お天気がよかったので、気持ちも上がり、色々調べて解決策にあたり、Gは果敢にも2日ほど夜のアイスタイムにチョロチョロと出てきたけれど、翌々日には仕留めてすっかりご機嫌である。

散々色々やって、人にも助けられ、人生こんなもんよねと図太く呑気に生きていけるようになっても、夜は闇のパワーが強烈らしい。一瞬にして悲劇のヒロインになってしまう。特に夜の虫(チュー含む)は私をズブズブと沈み込ませ、体力も健やかな心をも奪うらしい。







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