我が熱

春も光風、草にしっとりとした、
匂いが近づいてくる
銀色に砕けた夜空に浮かぶ、
ほっそりとした三日月は、
指先の中で、貴女の重力に撓んでいる

廃線の駅は、口の中に解け、
その甘味を、ニ匹の氷は知らない
時刻表は、ウィスキーに乗り、
魚のふりをする代わりに、
言葉に連絡しないグラスに、嫉妬をぶつけた

真珠色の、アスファルトは、
ベンチに凭れ掛かり、
花の中は、償いを諦め、
濡れては乾き、生まれては死に、
その甘味を、胃は知らない

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