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ポッキー史に残る至難さ!?担当者が語る「ポッキー 贅沢仕立て」開発秘話

こんにちは、「ポキトモ」note編集部です。
今回は、『ポッキー贅沢仕立て』について紹介させていただきます。

皆さんは、『ポッキー贅沢仕立て』をご存知ですか?通常のポッキーと比較してチョコが3倍以上多くかかった、濃厚でコク深い味わいのちょっと贅沢なポッキーです。2020年9月に『ポッキー午後の贅沢』からリニューアルして発売されました。
リニューアル発売から1周年となるこのタイミングに、発売に至るまでの担当者のこだわりや思いを「ポキトモ」note編集部がインタビューしてきました!
   
実はこのポッキーのリニューアルは、「ポッキー史に残る至難さ!?」とグリコ社内でもささやかれていたほど難易度の高いプロジェクトだったそうです。製品の開発チームには多くの関係者が参加していますが、今回は「マーケティング」「商品開発」「デザイン」の各分野でメイン担当をしていた3名の女性社員にお話を聞いてきました。

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マーケティング担当:妹川陽香さん
グリコ8年目社員。『贅沢仕立て』のリニューアルがポッキーチームでの初仕事。入社前からぽってりフォルムのポッキーファン。

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デザイン担当:大塚夏希さん
グリコ4年目社員。入社以来ずっとポッキーのことを考えてます(笑)。ポッキー『贅沢仕立て』の味は、私のポッキーのイメージを変えました。

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開発研究担当:五味やよいさん
グリコ14年目社員。プライベートでもチョコばかり食べており、昔からチョコレートが大好き。ポッキー製品を担当できているので毎日が幸せです。

『午後の贅沢』をリニューアルした同商品が、発売当時計画を大きく上回って売れた理由とは?「ポキトモ」note編集部の女子ライター・ミクニが3人に『贅沢仕立て』の誕生秘話や思い出話をインタビューしました。

「大人同士でもゆったりシェアハピできるポッキーを」

妹川さんZOOM

ミクニ:「ポキトモ」note編集部のミクニです。よろしくお願いします。『ポッキー贅沢仕立て』は20年9月に『ポッキー午後の贅沢』からリニューアルされたとのことですが、どんな狙いがあったんですか?

妹川さん:ポッキーブランドは全体として、特にファミリー層に人気の強い商品なんです。一方で、子育てを卒業した方々が急にポッキーブランドから離れていってしまうという課題も抱えていました。

ユーザー調査を進めると「ポッキー=大人数でワイワイ楽しむもの」というイメージが強く、大人同士のゆったりとしたお茶の時間に選ぶお菓子になっていないことが分かりました。主力のポッキー小箱シリーズは本数が多いので、家族みんなでシェアして食べるのにはいいんですが、子育てがひと段落してくると「みんなで食べる」という機会は減ります。どちらかというと、ちょっと贅沢なお茶菓子と一緒に、コーヒーを飲みながらゆっくり語り合う、という方が大人の生活スタイルに適していそう…。
そこで、ゆったりとした大人同士のお茶時間を楽しみたい女性に向けたポッキー開発として『贅沢仕立て』チームが立ち上がったんです。

ミクニ:リニューアル前の『ポッキー午後の贅沢』も大人向け商品でしたが、『午後の贅沢』にはどんな課題があったんですか?

妹川さん:大人同士のお茶時間向けポッキーを作るにあたって、既存のポッキーが持つ「みんなでワイワイ」のイメージをどう脱却するかが『午後の贅沢』の課題でした。でも、ユーザー調査の結果『午後の贅沢』ではその課題が解決しきれていないことが分かったんです。

大塚さん:『午後の贅沢』にはデザイン面にも課題が残っているように感じていました。
ユーザー調査では、ターゲットであるはずの年代の女性たちから「贅沢過ぎる印象」「自分のためのお菓子という感じがしない」という意見や、中には「シャム猫を抱いたマダムのイメージ」という衝撃のコメントも…。『午後の贅沢』のデザイン自体が悪い訳ではないのですが、やや狙いが偏っているのかもしれないという気づきがありました。
改めて練り直して、今の大人の女性は感覚が鋭いので、現代らしい「大人かわいさ」をパッケージにしたい、という想いになりました。

「研究所として究極の逸品とも言える商品ができた」

五味さん

ミクニ:開発担当・五味さんのこだわりポイントもお伺いしたいです。

五味さん:ミルクショコラについては、『チョコのカカオ感』と『ビスキュイ(焼き菓子)のバター風味』の2点ですね。ビスキュイの発酵バター風味に関してはバターの香りと相性が合うこと、そして2本食べたときにちょうどいい味を目指して、何種類も試作し、リニューアル前よりもカカオの風味をより感じられるものに仕上がりました。また、カカオ感については発酵バターの風味との相性と、2本食べたときにちょうどいい味わいを目指して何種類も試作しました。この秋には、カカオをより感じられる味わいに進化しているので、是非食べてもらいたいです。

贅沢仕立て①

ミクニ:たしかに袋を開けた瞬間から、バターの香りが濃厚。これだけで贅沢感を感じます。また、もう1つのフレーバーである『贅沢仕立て』のアーモンドミルクフレーバーは、お菓子としてはチャレンジングな味でしたね。

妹川さん:フレーバーはアーモンドミルクにして正解だったと思っています。贅沢感がありながら、身体のサポートにもつながる…大人の女性にぴったりですよね。

五味さん:もともと飲料であるアーモンドミルクを、お菓子のフレーバーとして表現するのは難しかったです。何度も試作し、アーモンドミルクの風味を最大限に表現できるようにこだわり抜きました。
私もポッキー開発を担当してもう7年になりますが、『贅沢仕立て』は研究所としても究極の逸品、と言えるくらい美味しさに自信があります。

この秋に更なる進化を遂げた「ミルクショコラ」もカカオ感がアップしたことで、甘ったるさのない大人の味が完成したと自負しています。ぜひアーモンドミルクと食べ比べてみてほしいですね。

「チャレンジングなデザインが良い意味の違和感」

大塚さんZOOM

ミクニ:パッケージ面の課題もあったということで、デザインに関してもこだわりが詰まっているのではないかと。

大塚さん:『午後の贅沢』のチョコリッチな贅沢さはそのまま感じてもらいながらも、新しくリブランドする『贅沢仕立て』では”手に取る瞬間から嬉しくなれるパッケージ”をデザイナーさんと一緒に何パターンも考えました。「シャム猫感」は、時代錯誤にならないように常に気を付けていたポイントかもしれません(笑)。

妹川さん:その後「シャム猫感」は、打ち合わせでも頻出ワードになってましたよね(笑)。普通は一度しかやらないコンセプト調査も何回もやりながら、大塚さんとも何度も話し合いながらすり合わせましたよね。

大塚さん:コンセプトがなかなか定まりきらず、あのころは妹川さんともよくぶつかってましたね(笑)。

ミクニ:完成形のデザインはミントカラーが印象的ですよね。

贅沢仕立てパッケージ

※発売当時のデザイン

大塚さん:今回の色使いは、私が担当したポッキーの中でも、最もチャレンジングなものになったと思います。「ポッキー=赤」のイメージからは大きく離していて、かつ味に寄りすぎていない「雰囲気重視」の色使いでしたが、結果的に店頭でのいい違和感となって、手にとってもらうキッカケをつくることができました。

パッケージ上の商品説明も、デザインの世界観を崩さないように最小限にまとめて、最後の最後でパッケージの質感をマットに変更して……試行錯誤の連続でした。お菓子のパッケージのイメージと大きく離れたチャレンジングなデザインだったので、社内の理解を得ることが難しく、チーム一丸となってGOサインを獲得しにかかったこともいい思い出です。

五味さん:研究所としては「もっと商品の情報を載せてほしい」とか「マットなデザインになると、品質確認でやることが増えちゃうな」とか、デザインチームに対していろいろ要望もあったんですが…。
出来上がった製品を手に取ってみたら、マットデザインで良かったなあとすごく納得しました。そのくらい上質感のあるパッケージになったなと、私も感じています。

大塚さん:そう言ってもらえて嬉しいです!五味さんたち、研究所の方がつくった製品を、一番良い形で伝えるのがデザイン部の仕事なので!!笑

「一袋に2本のポッキーを、誰かと分け合えるような」

贅沢仕立て②

ミクニ:生まれ変わった『ポッキー贅沢仕立て』は、大人の女性のコミュニケーションにどんな影響を与えていると思いますか。

大塚さん:贅沢感・上質感を感じられる商品を手に取ることは、自分自身の日々を大事にすることに繋がるのではないかと思います。
事前調査でも、自分時間や大切な人との時間が取れるときには、好きなお茶とお菓子で自分なりの贅沢を楽しむという女性も多くて。日々大変なことはあっても、自分も大事にしつつ…自分の大切な人と一緒に過ごすシーンでの、ひとつのコミュニケーションの助けになってくれるかなと思います。

五味さん:あとは、グリコのアイス「パピコ」とかもそうなんですけど、2本でひとつのものって、やっぱり「誰かと分け合いたい」という気持ちになると思います。大切な誰かと分かち合いたい、という思いやりも素敵なコミュニケーションですよね。

妹川さん:そういう意味で、贅沢仕立ては「大人夫婦のコミュニケーション」を助ける商品になったのではないかと考えています。1本でもけっこう満足感があるので、袋を開けたときに「ねえ、一本いる?」という声かけに繋がるのではないかなと。

五味さん:大人という意味では、もう手が離れている子どもとのコミュニケーションにも活きるのではないでしょうか。誰かが買ってきて、リビングに置いてあるだけでも嬉しくなるような雰囲気を持っていると思います。

大塚さん:個包装デザインもかわいいから、メッセージを書いてメモや付箋代わりにもいいと思います。オフィスシーンのコミュニケーションにもいいかも。

最後に読者の皆さまにメッセージ

ミクニ:最後に読者へひと言、メッセージをお願いします。

大塚さん:私自身、数あるポッキーの中でも一番『贅沢仕立て』が好きなんです。食べたら分かる良さは絶対にあると思うので、ぜひ一度手に取ってみてほしいですね。

五味さん:アーモンドミルクはビタミンEも入っていますし、女性の美しい輝きを助けてくれるお菓子でもあるので、たくさんの女性に楽しんでほしいです。

妹川さん:こんなにたくさんの議論を交わす仕事は初めてでしたが、だからこそ本当にいいものができました。ミルクショコラフレーバーの方も、こだわりが詰まっています。ぜひ食べ比べて、好きな味を見つけてみてください!

各分野、それぞれの担当者の開発秘話はいかがだったでしょうか?今回インタビューした3名以外にも、たくさんのグリコ社員の思いが詰まった『ポッキー贅沢仕立て』。まだ試したことがない方がいらっしゃいましたら、この記事でご紹介したエピソードを思い出しながら、ぜひ一度ご賞味ください。

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