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狂気に満ちた朝子に征服されたい 〜SHISHAMOの闇〜

俺は、宮崎朝子が世界で一番「いい女」だと思っている。

「何が」かは分からない。ただ、無性に好きなのだ。朝子が好きだ。

この自分でも分からない、溢れ出る朝子への愛を上手く伝えられずに、ただただ、「あぁ、朝子可愛い…」と言い続けていたら、ある日友人がこう言った。

「いやぁ、可愛いかどうかは別として、朝子って何か、こう…

 丁度いい…よね… 」

「………。」

心の中のしこりやくすみが取れたような気がした。空を仰ぐと、雲ひとつない青空だった。



SHISHAMOって、甘酸っぱい恋愛ソングで恋する女の子の味方の元気ハツラツな、典型的で正統派な王道スタイルのガールズバンドっていうイメージだったけど、最近明らかに進化してる。

ていうか、デビューまだ6年くらいでアルバムもう6枚出してる。1年に1枚ペースって…加えてツアーとかもやってるでしょ?年頃の女の子、恋愛する時間もぼちぼち無い…

朝子、恋愛できてるか?しないでいい。俺の朝子なんだから。



時を戻そう!

甘酸っぱい、時には甘々すぎるような恋を描いてきたSHISHAMOが最近、「女」になってきた。「女の子」から「女」に。

しかも、「強くて怖い狂気じみた女」に。



この曲は、彼氏の家にまとわりついている、元カノと一緒に住んでいた過去にひとりでに苛まれている彼女の不安が描かれている。

定番のシチュエーションだと、自分のものじゃない女物の私物が彼氏の家にあってそこから彼氏の浮気発覚!みたいな流れだけど、おそらくこの曲のカップルは普通にしっかり付き合ってる。部屋もベッドもドライヤーも君と私のものだから、普通にSEXもしてる。(ちなみに、SHISHAMOはSEXをしているという関係を物を使って暗喩するのが得意。朝子、スケベだな。)

この彼女は彼氏を愛しているし、彼氏からもちゃんと愛されているのに、彼氏の家にいるとどうしても元カノの存在が勝手に頭によぎってしまう。

体を重ねて、一番愛を感じるときに、一番今の愛について不安になってしまう。この感じ、セフレを好きになった女の心と一緒ですね。はい。ここテストに出ます。

確たる証拠があるわけでもないのに、勝手に被害妄想を膨らませて不安になる。こういう女は、しばらくすると癇癪を起こしてヒステリックになって手が追えなくなります。メンヘラの始まりです。正常な男はさっさと手を引きましょう。俺は朝子なら全てを受け入れます。お前ら最低だな。

ちなみに、みなさん、「パラサイト 半地下の家族」は観ました?

目に見えない、普遍的な何かを表現するのに「匂い」を用いることが極めて有効な手段であることがこの映画から分かるんですが、この曲におけるそれも「匂い」で表現されているんですね。

ポン・ジュノよりも先に宮崎朝子は作品に取り入れていたんですね。いやぁ、もう、宮崎作品最高!ジブリが好きな女は何となく「危ない匂い」がするので嫌いです。以後お見知り置きを。



ちょっと待て朝子。落ち着け朝子。一旦その手に持ってるレスポールを置いてせめてこっちのEpiphoneのSGにしてくれ。こっちのほうが軽いから。無茶するな朝子。

"あの娘の城"の彼女、やっぱりメンヘラに転化しちゃいましたね。

これ、怖いのが、特段大喧嘩してるわけでもなく、何の気無しの会話の流れでいきなりレスポールぶん投げようとしてるところですよね。てか、投げたんだ。怖すぎる…異常者だろ。

そりゃ、彼氏もさすがに怒鳴るし思わず殴るわ。でも、そうされて、それこそが私の大事なものって消化してるのが余計に怖い。傷つけられて愛を感じるタイプ?DV耐性付けるな朝子。俺が守ってやる。

この曲の主は、男女の価値観の相違。互いの価値観の理解と共有ができたら幸せなんだろうけど、人生そうは上手くいかないよね。女って何であんなに服買うの?体ってひとつしか無いの知ってる?ちなみに俺は服はバンドTしか持っていない。ひとつ聞きたいんですけど、バンドTってオフィスカジュアルに入ります?

今回はレスポールを始め、彼氏の大事にしてる「モノ」が彼女にとって邪魔なものとして認定され消されたわけだけど、これが「ヒト」だったらどうするんですかね。

消すよ。朝子は消す。俺には分かる。闇に染まった朝子に恐れるものなんて無いんだから。



あーあ、とうとう朝子を怒らせちゃった。知らないよ?お前らが悪いんだよ?

散々、SHISHAMOにとやかく言ってきた奴ら、みんなこれ聴いて怯えてらぁw 死ねばいいだとさ。おい、お前ら。遺書の用意は出来たか。

俺は常に朝子を愛してきたから救われる。信じよ、さらば救われん。

もう、この曲に関しては曲の中の女の子じゃなくて、朝子本人だろうね。朝子をフロントマンにSHISHAMOがこの世知辛い音楽業界に参入してきてから今に至るまでの、彼女たちのバンドとしての評価、人としての評価、女として人前に出ることの苦悩とか、SHISHAMOの苦しみみたいなものが痛いほど伝わる。

傷ついて泣いたんじゃない                      傷つけてもいいと思われてることに泣いたのよ

SHISHAMOは高校の頃から注目されて、とにかく若かった。若い女の子は時として、本来の魅力では無い部分で良くも悪くも評価される。

「若い女の子」という箔はSHISHAMOにとって良くもあり悪くもあった。便利であり邪魔でもあった。

ナメられることが多かったんだと思う。SHISHAMOは。

しっかりSHISHAMOを追ってみてほしい。朝子が何を考え曲を作っているか探ってみてほしい。

俺はガールズバンドがけっこう好きだが、SHISHAMOのレベルの高さは群を抜いてると思う。

何を評価点にするかは、それこそ価値観の違いが出ると思うが、SHISHAMOの曲は正直だ。人間のリアルな気持ちを隠すことなく表すのに長けてるバンドだ。

それは、歌詞を書く宮崎朝子が良い意味で「普通の人間」だから、普通な私たちリスナーの心を言い当てることができるのだと思う。


恋に盲目になり周りが見えなくなる時期もあるし、人生の路頭に迷う時期もある。SHISHAMOはいかなる人生の時期も描いてきた。

最近のSHISHAMOの狂気は、朝子が、SHISHAMOが、この6年ほどの音楽業界の中で成長し、大人の女性になってきた過程においての、彼女たちのリアルな今なんだと思う。

大人になった朝子とSHISHAMOの更なる魅力が楽しみでしょうがない。

俺の朝子よ。永遠に美しくあれ。


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