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クレバワカル

20代と40代のころ、椎名誠さんの本をよく読んだ。

特に好きだったのは、編集者として働いていたころのシーナさん。

本でいえば『銀座のカラス』や『新宿熱風ドカドカ団』などで、仕事をするうえで大切なことを教えてもらった。
そんなことを言いながら、ほんと~?ビール飲んでただけじゃない?とも思うけれど、シーナさんが仕事をしているお話は、なぜか刺激的だった。

どの本だったか、中野の《クレバワカル》という名の飲み屋の話があった。

そこで何があったのかも忘れたが、すごいネーミングだと思った。

クレバワカルなんて、行かずにいられないだろう。


そんなことを思い出したのは、クレバワカルものだなと痛感したからだ。

最近、次々湧いてくるような書類作りに追われている。

しかし、自分の考えで作るわけではないし、始末書の類だってやらかしたのは私ではない。

だから本人に会って打合せをしないことには、書類が書けないのだ。

会えないことに、日々不満が募っていた。
明日は会って打合せして、あれとこれを作って・・・と思っていると、急なキャンセルになって、また先送り。

最近は待ってばかりで、休暇を取るタイミングを逃してばかりいた。

しかし、そんな心の叫びが通じたのか、今日は時間ができた。
忙しい(ほんとに?)先生と勤務時間の短い私と、結構がっちり話す時間ができて、ほっとした。

会えずにイライラしていた気持ちも、一つ問題が解決していくたびにほぐれていくのを感じる。

とにかく会って話すのが一番なのだ。

相手がクレバワカル話ばかりだった。

心がけというほどのことではないが、私はとにかく会いに行くようにしている。

メールや電話で済むような小さいことはそれで済ますけれど、お願いが含まれるものや、手戻りが起きそうな時は、会った方が良いことが多い。

仕事が順調に進んでいるときなら、相手の時間を奪うことのないよう、できるだけノックはしないようにしているけれど、それは相手が研究者の場合だ。

事務処理を急ぐ場合は、会いに行くに限ると思っている。

接触回数が多いほど親しみを持つというザイオンス効果もある。

今日は総務課に行くと、何人かに「金曜日いた?」と尋ねられた。
ずる休みしている間に「ミタライいないの」「知ってる?」「知らない?」「どうしたんだろ」と心配してくれてたらしい。
秘書はそれぞれの研究室にいるので、いてもいなくてもわからないのに。

メンヘラでも無理ないと思ってたと言われて、ずる休みを白状した。
そして総務のメンバーに「やっちゃえ、やっちゃえ」と応援された。

そんなわけで、先週金曜日にずる休みをして気分転換し、今日はラッキーが重なって仕事が進んだ。

会って話して、お願いして感謝して、仕事はそれを繰り返しながら進んでいく。

どっち側かは別にして、クレバワカルを実感した一日だった。

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