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2つの弁当

これは私がまだ大学生だった頃の話だ。
その日、私は夜にゲームを数時間やっていたため、いつの間にか深夜の時間になっていた。終わった頃には「お腹空いたなー!」、「晩ご飯どうしようかな?」となっており、「スーパー開いていないしコンビニでいっか!」という結論に至っていたのだ。(ほぼ一択だが。)外は季節が冬ということもあり凍えてしまいそうな寒さであった。内心「寒いから行きたくないなぁ、でも行かないとご飯食べれないしなぁ」と天使と悪魔が囁いていたが背に腹はかえられないと思い我慢してコンビニへ行ったのだ。
コンビニではパスタか弁当の2つしかなく、お腹を満たすならご飯だろう、だが価格的にはパスタだ。ここでも迷う。2度目の「背に腹」使用で弁当を晩御飯用と明日用で2つ買ったのだ。

コンビニから自宅へ帰っている途中、通常ならば通るはずがない電車がこちらへ近づいてきたのがわかった。時刻は午前3時、電車は室内ライトだけがついている。私は「メンテナンス的なものだろう」と思い、踏切で通り過ぎるのを待つ。電車が通り過ぎる時、一瞬だけ声と寒気を感じたが、きっと季節のものだろうと踏切を渡り道中を帰った。
そこから10分くらい経った頃だろうか、後ろから何かが聞こえる…。「いやいやwそんなテレビみたいなことないだろうw」と最初は高を括っていたのだが、その声が段々と近づいてくるのがわかる。
「カ%#」
「クウェ@¥&」
「カエセ…カエセ…」
どうやら「かえせ」と言っているらしい。私は内心「絶対これは後ろを振り返ってはいけないやつだ」と思い、一心不乱で全速力で走る。
家に着いたときには身体中から汗が噴き出し、冬なのに暑いと感じた。家という安心からか気が緩んでしまい弁当を食べそのまま寝てしまい、3時間くらい寝ただろうか。外は少し明るくなっていた。
睡眠で喉が渇いていたため布団から起床し冷蔵庫へ手を伸ばす。するともう1つあったはずの弁当がない。
「なぜだ?あの時落としたのか?いや、そんなはずない」
家に着いたときには確かにあった。玄関には鍵をかけたから外からは入ってこれない。
「嫌な予感がする……。」
すると耳元の近くから「カエセ」と聞こえた辺りで記憶は途切れている。どうやら気絶していたらしい。

あれから5年経つが身体にも日常にも変わったことはない。「あれは本当に何だったのだろうか」と未だに疑問が残る。もうあの思いはしたくない、弁当の恨みは重いのだ。

END。



いかがだったでしょうか。
全然怖くなかったと思いますw
謎のやつに弁当食べられただけです。
また暇になったら書きます。

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