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「ブラタモリ」を好きなわけ(家で★深読み)

この番組はほぼ欠かさず観ています。
先日、「登別温泉はなぜ『いい湯だな』?」の回を観ていて、
(どうして俺はこの番組が好きなんだろう?)
と改めて考えました。

物事を客観的に観察し、分析するのは趣味のひとつなのですが、ここでいう「物事」には「自分自身の嗜好や行動」も含まれるのです。
いや、厄介な人間ですね。

ひととおり考えて《結論》がでました。

1.旅が好きだから

2.地質学が好きだから

3.地方で頑張っている研究者が活躍するから

この3点です。

1.旅が好きだから

二十歳ぐらいまでに、国鉄周遊券とユースホステル・学生寮とバックパッカーで、沖縄をのぞくほとんどの都道府県を歩いたほどの旅好きなので、タモリさんとNHKの女子アナが全国各地を「転戦」する、ある種「旅番組」として楽しんでいる自分がいます。

2.地質学が好きだから

どこかに書いたかもしれませんが、私は小学校の5,6年生の時に「天文地質クラブ」という部活に所属していました。
指導者の先生は熱心なローカル地質学者で、彼に連れられて私たちは、春から秋にかけて月1度ぐらいのペースで化石を採りに山を歩いたり、オパールが含まれる珪化木けいかぼく(「石化」した樹木)や宝石のガーネットを探しに河原を歩いたりしていました。
我々は部活所属の小学生に過ぎませんが、先生に命じられて、名古屋大学で開かれた学会(たぶん、理科教育関連?)で化石と地層に関する学術発表をさせられたこともあります。

紆余曲折の末、私は「無機材料」という、いわば「人工の石材」を研究する仕事に就きましたが、これも、幼い日の《刷り込み》が関係しているのでは、と疑うことがあります。

「ブラタモリ」をご覧の方はおわかりでしょうが、タモリさんが旅した土地の、産業・経済・文化・歴史などがなぜ生まれたかを、主に《地質学》を通じて解き明かすのが、番組の重要なコンセプトになっています。
例えば、
・その地形はどのように生まれたか?
・その地でその工業が発達したのはなぜか?
・なぜここは良質な漁港なのか?/肥沃な農地なのか?
・その地で多彩な泉質の温泉が湧き出るのはなぜか?
(登別の回はこれでしたね)

小学校の時に憶えた岩石の名前、玄武岩、流紋岩、……などが番組中で頻出するのも懐かしい(タモリさんの博識には驚きます!)。

5年ほど前になりますが、「ブラタモリ」に「天文地質クラブ」時代の同級生が出て来て、タモリさんに地層の説明をし始めたのは驚きました。
小学生時代の彼はどちらかといえば「天文」よりで、真冬の夜に天体観察をしていたイメージでした。
けれど、大学で地質学を専攻し、博士課程まで進んだ後、地方国立大学の先生になっていました。
すごいぜ!
その後彼と酒を吞む機会がありましたが、やはり「三つ子の魂……」というか、より本格的な《刷り込み》結果のようでした。

3.地方で頑張っている研究者が活躍するから

実は、今回の記事で最も強調したいのが、最後に挙げるこの点です。

「ためしてガッテン」でも、「ヒューマニエンス」でも、科学的に物事を解明しようという番組にはたいてい、《専門家》として有名大学の先生が登場します。
そりゃ、「第一人者」なんでしょうから、そこに文句を付けたり、茶々を入れるつもりはまったくありません。

対照的に、「ブラタモリ」には、訪れた先の《市町村の学芸員》だったり、《郷土史家》だったり、
『全国的には無名だけど、その土地のことは一番よく知っている』
《ローカルな研究者》
が登場して、タモリさんに問題を出し(結構な確率で解いちゃうんだよな、これが……)、答えを説明する。

私の旧友も「その地の研究者」ということで登場しました。
(この時NHKに発掘されたのか、彼はその後、「潜れ!さかなくん」にも出てきて ── ビックリした!)

私の個人的な好みはさておいても、
「ブラタモリ」という番組の、日本!にとっての《最大の意義》は、実にこの、

《ローカル研究者にが当たる》

ところなんじゃないかな、と思うのです。


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