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【笛吹けど踊らず】(新釈ことわざ辞典)記事版

今回は、お相手の男性がさすがにシニア過ぎたのでは……?

高校時代の同級生が内科のクリニックを開業したため、40代半ば頃によく診てもらっていました。その頃の話です。

「Pochi、お前、あっちの方は大丈夫か?」
「え? あっちって?」
「ウチでバイアグラの処方もできるぜ」
今は特許が切れてこの薬以外の製品もあるようですが、その頃はほぼ独占状態でした。
「ああ、……今のところ必要ないけど……まあしかし、そこまでしてカミさんと……」
「ハハハ! カミさん相手に使う人なんているわけないだろ! オレんとこに処方して欲しい、と来るオジサンの相手は大体、浮気相手のおネエちゃんだ」
そして、付け加えた。
「オレ、ものすごーく、感謝されるんだぜ!」

『先生のおかげです! ホント、今まで生きててこんなうれしかったころはない!』
ほとんど涙を流し、彼の手をとって感謝した自営業者のオジサン(ほぼ、ジーサン)までいたという。
「そのオジサンな、行きつけのスナックのおねえちゃんを口説いて口説いて、やっと温泉一泊旅行にこぎつけたんだ。でも肝心の時に……」
『……あんなに情けなかったことはない』
と彼に処方を依頼してきたという。

【笛吹けど踊らぬ】時には、《秘密兵器》を使うんですね……。

ちなみに、友人は、
「カミさん相手に使う人なんて……」
と断言しましたが、その後、米国に赴任した時に聞いた話では、かの国では、
《踊れなくなると、奥様から離婚を突き付けられる》
こともあるそうで、夫婦間でこうした薬を使うのは一般的なんだそうです。

《踊れない》=《愛がない》
と見なされるのだとかで、それを聞いて思ったものです。
(……なんだか、たいへんそうだな……)

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