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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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2024年5月の記事一覧

【一を聞いて十を知る】(新釈ことわざ辞典)記事版

その多くが単なる《早とちり》であることは言うまでもない。 私の評判は悪い ── 家族とTVドラマを観ている時は特に。 「こいつが犯人だ! 間違いない!」 「お! この事故であのヒト、記憶喪失になると見た!」 「この二人、幼い頃に生き別れになった姉妹 ── っていう設定じゃないかな!」 「この手術、そろそろ問題が起きるぞ ── 出血が止まらなくなるとか……」 「ああ、うるさい! ちょっと、黙っていてよ! 聞こえないじゃないの!」 さらに評判が悪いのは…… 「『僕が君を

【寄らば大樹の陰】(新釈ことわざ辞典)記事版

「就職では『大企業でも陰不足』と考え、猛勉強の末に国家公務員になりひと安心、その後はずっと陰に隠れていました。稀に木陰からでようと思うことはありましたが、日焼けが怖くて……。退職後ですか? 大樹の陰に小さな木がたくさんあるのでその陰で……」 社会人生活をほとんど大樹の陰で過ごした人の独白ですが、彼らにはオキテがあり、定年を待たずして大樹から離れなければならないことが多いとか。でも、大樹の陰にいくつもの木があって、今度はそれらの木の下に移るだけなんだそうです。しかも、以前の職