さよなら、キリンベッド (エッセイ)
Good-bye, Kirin bed
ひとり暮らしの部屋を出て、誰かと二人で住む場所に移る時、新しい住居の利用可能スペースとの関係はもちろんだが、特に同居相手の嗜好による制約から、それまで大事にしていたものを手放さなければならないことがある。
学生だったこともあり、その時の私は、ほとんど何も持っていなかった。
市場価値らしきものを持つのはコンポーネント・ステレオだけ、あとは机と椅子がひとつずつ、それらは相手に許容された。
けれど、ひとつだけ《別れ》なければならない《家具