マガジンのカバー画像

晴旅雨筆(エッセイ)

161
これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

オリンピックの《団体種目》には、2種類ある (エッセイ)

パーティーなど、みんなが盛り上がっている時に、《興覚め》なことを言うなどして、その場をしらけさせたり、雰囲気を壊す人を、英語表現で、《A wet blanket》と呼ぶ。 オリンピックが始まった。 《Wet blanket》と指さされたくはないな、と人並みに世間体は気にしつつも、このタイミングで、ずっと以前から思っていることを書いておきたい。 ********** 今回のオリンピックについて、開催意義・開催リスクなど、2013年の決定以前から抱いている個人の意見はあるが

さよなら、キリンベッド (エッセイ)

Good-bye, Kirin bed ひとり暮らしの部屋を出て、誰かと二人で住む場所に移る時、新しい住居の利用可能スペースとの関係はもちろんだが、特に同居相手の嗜好による制約から、それまで大事にしていたものを手放さなければならないことがある。 学生だったこともあり、その時の私は、ほとんど何も持っていなかった。 市場価値らしきものを持つのはコンポーネント・ステレオだけ、あとは机と椅子がひとつずつ、それらは相手に許容された。 けれど、ひとつだけ《別れ》なければならない《家具