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【日本初解説】Akash(AKT)という銘柄調査

暗号資産Cosmos(ATOM)が1/15 9:30に価格が一時的に28%上昇しました。

この理由はCosmosの運営するテレグラム上で「Akash」というプロジェクトのCEO Greg Osuri氏が話をしたことがきっかけだったと思われます。

Cosmosの価格を上昇させた「Akash」については、日本人になじみのある取引所で扱われていないため、まだ日本語で解説されたものがありません。
どのような銘柄なのか調べてみました。

Akashサイトのトップ画像-2


1.Akashをざっくり知っておく

Akashは「アカシュ」と発音されています。トークンは「AKT」です。

Akashは、将来のGAFAMの地位を狙うプロジェクトです。
似た銘柄にはStorj(STORJ)やFilecoin(FIL)、Siacoin (SC)がありますが、目標は少し異なります。


2.Akashが狙う将来の地位と目標

Akashは「クラウドコンピューティング」を提供することを目標としています。この目標を到達するには、AmazonやGoogleといったGAFAMの地位を狙うと自身のサイトでは表現しています。

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そもそもAmazonなどは、どのような地位にいるでしょうか。
Amazonというとネットショッピングを思い浮かべますが、最も利益を上げているのはAWSという巨大なクラウドデータサービスです。
GoogleはGmailやGoogleフォトなどのツールを無料で利用できます。

これらに共通するのは、AmazonやGoogleが提供するサービス・商品を利用し、巨大なデータセンターでデータの管理・保存をしてくれることです。そしてこれらの業界はGAFAMの影響がとても大きいのが現状です。

Akashはこれらの企業が行っているクラウドサービスとツールの提供などをAkashのブロックチェーンの仕組みで行うことを目標としています。


3.Akashの考える「クラウドコンピューティング」

2019年の世界のクラウドデータベースのシェア率は次のようになっています(Gartner社 2020年8月調査)。AmazonのAWSは企業に使用されているためシェア率が半数を占めています。

サーバー利用率

これらのデータ利用には、世界各国に巨大なデータセンターが配置されコンピューターが稼働しているのです。

しかし実際は、世界840万のデータセンターでは活用されていない空き容量が85%あると言われています。Akashはこの85%を活用しようと考えています。

Akashは、空き容量を抱えたデータセンターがデータを管理・保存したい企業や個人に対して容量の一部を販売・貸与する仕組みを考えています。

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例えるならば、Airbnbのような仕組みに近いです。Airbnbは「家や部屋を貸したい人」と「旅行などで部屋を借りたい人」を結ぶサービスを提供しています。

これと同様に、Akashは「空き容量のあるデータセンター」と「有効活用したい企業」をブロックチェーンで結び、クラウドサービスにデータを保存できるようにします。

ここまでだとStorjなどと目標はあまり変わりません。
Akashはさらに、データの保存サービスを基軸にしてDeFiなどの分散化アプリのサービス提供も考えているようです。さらにAIなどのデジタル技術の活用もしていくと思われます。

一方、現状Storjはクラウドの提供を目標としていますが、将来的にはAkashのようにツールの提供も目指す可能性はあります。
双方が次の目標へ動き出す可能性はあるため、Akashがどんなサービスを提供していけるかが発展のカギになると考えます。


4.キーワードは「止められない」

GAFAMのクラウドサービスとの差別化として、「止められない」をキーワードとしています。

近年はGAFAMがネットの情報を握っているとの話はよく出ています。先日はAmazonのサーバーを利用していたことからあるSNSアプリの利用が一時停止になった場面もあり、サーバーの管理が中央集権化していることは顕著です。

Akashはこれらに対して、ブロックチェーンベースでAkashDeCloudという仕組みを構築するため、一か所の意向により止めることはできないことをアピールしています。

さらにAkashDeCloudは、GAFAMよりも「速く」「安く」サービス提供ができるとPRしています。

ブロックチェーンベースで構築することでGAFAMのサービスのようなアクセスの集中による遅延を抑え「速さ」を追求でき、人を介した保守管理が最小限になりコストが抑えられるため「安く」サーバーレンタルができるとのことです。

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またAkashプロジェクトの公式サイトや進捗報告の際にも「止められない」という単語は出てきており、確実に進捗している順調さをアピールする場面にも使われています。


5.AkashとCosmosとの関係

では、冒頭に触れたCosmosが上昇した要因になぜAkashが関係するのでしょうか。

それはAkashはCosmosSDKと呼ばれるものと繋がっているからです。

CosmosSDK
Cosmosの開発ツールのようなもの。これと各ブロックチェーンが連携することでCosmosベースのトークンとの相互交換ができるようになる。

CosmosSDKとAkashが繋がることにより、CosmosベースのトークンとAKTが相互的に交換できるようになります。

今回の価格上昇は、このような関係性がある前提でAkashがメインネット2の環境を誕生させると発表したことがCosmosにも影響すると考えられ価格上昇につながったと考えられます。
Akashもこの発表により価格が143%上昇しました。


6.Akashの開発状況と今後の動き

現在はメインネット1という仕組みを基本に動いていて、メインネット2へのバージョンアップのためテストネット(試験的に問題点などを洗い出す段階の環境)としてフェーズ3を公開しているところです。

今後は、2021年2月中旬にメインネット2の発表を予定しています。

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テストネットのフェーズ3では、DeFi、ゲーム、データベースなどに使われるアプリをテストネット上に展開し機能や使いやすさの向上に向けた改善をしています。
展開したアプリの一覧はこちらから確認ができ、DeFiならUniswap、Pancake Swap、ThorChain BEPSwap、Yearn.financeなどがあります。

メインネット2では、フェーズ3の実証内容も踏まえ、Cosmos SDK 0.40と互換性を持つ形に移行します。
Cosmosは2021/1/10にCosmos SDK 0.40(別名:スターゲート)のアップデートを発表しました。これにAkashも接続できるようになるとの発表がされています。

CosmosにはCosmosエコシステムと呼ばれる仕組みがあり、各トークンがCosmosの仕組みを経由してつながることができます。そのためAkashはCosmosと繋がることでエコシステム上の様々なトークン銘柄とも間接的につながることができます。

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これにより、今後Akashが展開するサービスの決済を様々なトークン銘柄で支払うことができるようになります。
後ほど触れますが、その逆でAKTトークンで様々なサービスの決済も可能となります。

例えばCosmosはイーサリアムとも連携しているため、イーサリアムベースのトークンもCosmosを経由してAkashに支払うことができます。
そしてこの一連の繋がり、流れをIBC(Inter Blockchain Protocol)と呼びます。


7.AKTトークンの役割

AkashのトークンはAKTと呼ばれます。
PoS(プルーフ・オブ・ステーク)の仕組みで動いているため、ステーキングが可能でもあり、ガバナンストークンとしての役割も果たします。

現状は主要な取引所には取引はできず、国内ではほとんど注目されていません。残念なことにTradingViewでもチャートの確認ができません。

取引可能な取引所(2021/1/24時点)
Bitmax(2020/10/26開始)
BitMart(2020/12/7開始)
Bithumb Global(2021/1/12開始)
DigiFinex(2021/1/26開始予定)
※BitMaxはLINEが提供する取引所とは別です。

取引ペアはどれもAKTUSDTとなっており、Bitmaxの価格では2021/1/24の時点では1.81ドル(約187.45円)です。
先日のCosmosの価格上昇と同じタイミングで上昇し、143%の価格上昇となりました。

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AkashはCosmos SDK 0.40を活用しCosmosとの互換性があるため、AKTでFilecoin、SiacoinのSkynetの利用料を支払うこともできます。

Akashのメインネット2の発表では、AKTの活用方法について他にも次の内容に触れていました。KMSやDNSのサービスに言及するあたりがAkashのプロジェクトならではと感じます。

①Solana(SOL)、Kava(KAVA)とも提供しAKTの流動性の提供ができる

②KMSサービス提供をするNuCypher(NU)、DNSを管理しているHandshake(HNS)のサービス利用料もAKTで支払いできる
  KMS・・・分散キー管理システム
  DNS・・・ネット上のサイトとURLを紐づける仕組み


8.リンク集

今回Akashを調べた際に利用したサイトをいくつか載せておきます。興味を持たれた方の参考になれば幸いです。

①Akash公式サイト
https://akash.network/
②Akash公式Twitter
https://twitter.com/akashnet_
③Akash公式ブログ
https://akash.network/blog/
④AkashのCEO Greg Osuri氏のTwitter
https://twitter.com/gregosuri

「Akash」との名前は古代のサンスクリット語から来ているそうです。古代サンスクリット語はインドで文章などを書く際に使われた言語で、「Akash」はオープンスペース、空といった意味になります。

ちなみにサンスクリット語は仏教を通じて日本語にも影響しています。特に仏教に関連する単語には、サンスクリット語に似た発音のもの(檀家、阿修羅など)があるらしいです。

Akashのプロジェクトは空のように無限で自由なオープンクラウドのビジョンを実現することを理想としています。無限の可能性に向け、今後どのようなサービスを展開し提供できるかが重要になってきます。

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