ソーシャルPM実践ワークショップ2021 第2回『ソーシャル課題解決に向けたステークホルダー&ベネフィットマネジメント実践WS』のご案内

みなさん、はじめまして。ソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会(ソーシャルPM研)の渡辺と申します。
2021/10/23(土)に【ソーシャルPM実践ワークショップ2021 第2回『ソーシャル課題解決に向けたステークホルダー&ベネフィットマネジメント実践WS】と題しましたワークショップを開催し、その講師&ファシリテータを高橋と渡辺にて務めさせていただきます。

■『ステークホルダーマネジメント』に関して
ソーシャル・プロジェクトに限らず、それぞれ価値観の異なるステークホルダーの方向性をひとつにして、プロジェクトを推進していくのはハードルの高いことです。
特に、企業のビジネスにおけるプロジェクトであれば、最終的には「利益をあげる」という目的がありますが、ソーシャル・プロジェクトにおいては、必ずしも「利益をあげる」ということだけがゴールとは限りません。
もちろん、プロジェクトを継続していくためには利益が必要という局面はありますが、ソーシャル・プロジェクトに関わるステークホルダーは、目的も価値観も背景も異なる多種多様で非常に複雑な関係性があり、利益よりも感情を重視するようなことも多々あるように思います。
「利益」という分かりやすい共通の軸がないソーシャル・プロジェクトでは、それぞれのステークホルダーが何を求めてプロジェクトに関わっているのか(積極的、消極的な関与含めて)を見極めることが重要だと考えます。
その見極めのためのツールとして、ワークショップではステークホルダー登録簿などを学んでいただきます。
また、今回のワークショップでは、ステークホルダーに関する課題を発見するための手法のひとつとして、フィールドワークについても触れます。
新型コロナ禍により世の中はリモートが主流となり、私自身含め北海道など地方に住んでいる人にとっては便利な時代になりましたが、ステークホルダーがどのような感情を抱いているかは、現地・現場でフィールドワークを行うことでこそ見えてくる場合があります。
今回のワークショップもオンライン開催なので、本当の意味でのフィールドワークが実践できないのは残念ですが、ステークホルダーとの会話の重要性や、課題解決のアプローチを体感してもらえればと考えています。

■『ベネフィットマネジメント』に関して
上記で、ソーシャル・プロジェクトでは各ステークホルダーが何を求めているのかを見極めることが重要と書きましたが、必ずしも「利益」を目的としないソーシャル・プロジェクトでは、なんとなく社会によい活動をやって、よかったねで終わってしまうような場合が中にはあります。
そのような見えにくいソーシャル・プロジェクトの活動成果を可視化するのが、「ロジックモデル」と「ベネフィットリスト」になります。
「ロジックモデル」は、政府など行政機関がEBPM(エビデンスに基づく政策立案)を掲げるようになり、目にする機会が増えてきたように思います。しかし、政府などの公共公益機関が作成しているロジックモデルの中には、職員が結論ありきや前例踏襲で作成した「やらされ感」が滲み出ているようなものもあります。ロジックモデルをきちんと作成することで、異なるミッション・ビジョンを抱く人たちが、どのようにして同じアウトカム(成果)を目指していくのか確認し共有するために有効になります。
また、ロジックモデルで整理したアウトカムが、ステークホルダーにとってどのようなベネフィットがあるのかということを整理し、時には定量的な指標を定め、具体的な目標に向けた活動へフィードバックしていくための取り組みが、「ベネフィットリスト」の作成になります。
難しそうなイメージがある「ロジックモデル」と「ベネフィットリスト」ですが、使いこなすことができれば、ソーシャル・プロジェクトを進めていくうえで強い武器になると思いますので、この機会に是非とも体感してみていただければと思います。

■ワークショップの進め方に関して
今回のワークショップは、完全オンラインで実施します。
私は北海道に住んでいるため、地方にいながらにしてこのようなワークショップに関わる機会があり、とてもありがたく思っています。
一方で、東京など都市圏在住の方は、せっかくのワークショップなのにオンライン開催ということで、物足りなさを感じられる方もいらっしゃると思います。
そのような物足りなさをなるべく軽減するため、一方通行の講義だけではなく、Zoomのブレイクアウトルームを活用したグループワークを行います。
全国からオンラインで集まった同じグループの方や、ソーシャルPM研のスタッフ、講師とのコミュニケーションを通じて、単に知識を学ぶだけではなく、ご自身で考えたりアウトプットしたりする機会としていただければと思います。

■『ソーシャル課題』に関して
今回のワークショップの演習の題材は「地方自治体におけるeラーニングを用いた教育事業」です。どこの地方自治体においても起こり得る社会課題のケースを通じて、ステークホルダーに関する課題解決の体験をしてもらうことを狙いとしています。
教育に関する社会課題は、SDGsでも「4.質の高い教育をみんなに」として目標が掲げられているように、世界的に取り組みが必要な分野となっています。
日本では文部科学省でGIGAスクール構想が掲げられ、教育ICT環境の整備推進が急速に進んでいますが、教育格差などの問題を抱える自治体や学校は多く存在するのが現状です。
私は、本業では自治体やパブリックセクター向けのDX推進などのITコンサルティングをしており、一緒に講師を担当する高橋さんは教育研究事業などのプロジェクト実績を多く経験されていることから、地方における教育事業に関する課題を多くの人に知って、考えてほしいという想いがあり、今回の演習テーマを設定させていただきました。
デジタル庁ができ、「誰一人取り残さないデジタル社会の実現」の下に自治体DXや行政DXが推進される中で、地域活動が中央省庁の方針に振り回されるということがあります。今回のワークショップも、背景にはGIGAスクール構想という国の方針があり、その中で地方における教育事業に関わるステークホルダーがどのような課題を持ち、どのような課題解決プロセスが考えられるか、擬似的に体験していただきたいと思います。

■個人的な『ソーシャル課題』との関わり
私は北海道の旭川出身で、現在はUターンで北海道に帰ってきて札幌(なので正確にはJターンです)に住んでいます。
大学進学から上京して(大学では妖怪研究や民俗学を学んでいたので、フィールドワークの経験は長いです)、新卒でそのまま東京本社の会社に就職しましたが、2011年に配属先の茨城県で東日本大震災に被災しました。停電、断水という状況でしたが、幸いにして自分自身は無事であり、会社は製造業だっため工場が操業できないということで復旧の目処が立つまで自宅待機になり、時間ができたので近くの避難所での救援物資の仕分けなどの作業ボランティアに参加しました。電気が復旧し、インターネットが使えるようになっても物流が安定せず、食料やガソリンがいつどこに入ってくるかが分からなかったため、当時流行っていたmixiにコミュニティを立ち上げて現地情報の収集・発信・連携活動を行いました。当時は、目の前のことをやるので精一杯でしたが、今思えば、これが私の「ソーシャル活動」との関わりの原体験でした(この時の経験は、北海道胆振東部地震で被災した際にも役に立ちました)。
この活動が直接のきっかけではないものの、自分の人生を考え直すきっかけとなり、その後はコンサル業界への転職、北海道へのUターン移住、そしてソーシャルPM研究会への入会と、現在に至るまでの価値観に大きな影響を受けたのは確かです。
現在は、プロボノとして北海道のCOVID-19拡大防止のためのプロジェクトへ参画したり、福島県会津若松市の妖怪を用いた町おこし・地域活性化プロジェクトをPMOとして支援させていただいたりとソーシャル・プロジェクトに関わる機会を多くいただき、本業の仕事以外での活動を行っています。
ソーシャル・プロジェクトに関わる方々は、色々なきっかけや想いから行動されていますが、私の場合は、震災を機に社会活動に関わったことがきっかけでした。
今回のワークショップが、みなさまがソーシャル課題やソーシャル・プロジェクトに興味を持ち、考え、行動するための、ひとつのきっかけになれば幸いです。

■開催概要
・日時:2021年10月23日(土)9:30~17:00
・場所:オンライン(ZOOM)
・参加費:3,000円
・申し込み方法:▼下記申し込みサイトから▼
 https://pmi-japan.eventos.tokyo/web/portal/426/event/3584/
・講師:高橋潤、渡辺恵士朗

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