春田と牧がくれたもの

おっさんずラブの最終回から1週間経過した。え、まだ1週間?
もう、数ヵ月経つような気がする。
ならば、春田と牧は、別れた1年間をどれ程長く感じたのだろう。
またそんなことを考え、涙ぐむ。
おっさんずラブのおかげで、この2ヶ月で増える一方だった体重が3kg以上減り、逆に終わったはずの更年期が復活した。
仕事は手につかず、春田と牧以外は白黒の世界に見え、常に二人の事が頭から離れない。
この症状は私だけでなく、結構な人が患っている。
症状は完璧に「恋煩い」である。先進医療でも治せない。
人生を振り返っても、ここまでの重症は無い。
20代にはそれなりに恋愛もし、
人生でこれ以上、人を好きになることは無いだろうという恋もした。
しかし、その恋を遥かに越える恋をしたわけである。
しかも、それは現実世界では無く、テレビドラマに。
今、「テレビドラマ」、と書くのに凄く抵抗があった。
私にとって、春田と牧は単なるテレビドラマとして存在するのでは無く、
実在し、日々泣いたり笑ったりしているのである。

私の学生時代は、少女漫画黄金時代だった。萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子。彼女たちの作品は漫画と言うより、完璧な芸術作品であり、
彼女たちの作品を読むために「生きていたい」と思っていた。
大学に入り、私は現実生活に目覚め、今まで、あの頃の自分を「記憶も存在も手が届かないとこに隠すようにしてはぐらかしていた」

今、私は10代の少女の様に恋をしている。

じゃあ、「私の40年間は何だったんだ?」「大人って何?」
春田の様に頭を掻きむしる私。

恋愛、結婚、出産、離婚、子育て、仕事、
公私共に200%で頑張り、心と体をすり減らし、
50代半ばで退職し、ようやく自分の時間が持てるようになった。
心に余裕ができたから、こんな気持ちになれたのか?

結局、「大人になる」とは、家族を含め他の人間やその人間関係を一番重要視し、それに一喜一憂し、自分の事は二の次にできる「状態」のような気がする。

それはそれで、良かった。そうでないと
現実社会では生きていけない。

でも、私は十分「大人」を演じた。
これからの「お釣りの人生」は、
もう、はぐらかさない。

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