かわせみ亭コラム#6

日本人の性格特徴を形づくったもの その③ 生き残るための知恵として結晶化した日本人の行動規範

人間に襲い掛かる苛酷な自然災害は、まさにこの「鍛錬」や「焼入れ」という試練を日本人の共同体に与えるのと同じ効果を生み出したことであろう。強大な自然災害に遭遇して、われわれ日本人の共同体は、自然の脅威を克服するために、組織内の不純物を排除すること、すなわち個々の勝手な行動を規制し、その構成員の力を同じ方向にまとめ上げることによって力の最大化とスピード性を獲得してきたものと思われる。これらは集団として生き残るためのさまざまな知恵や行動規範という結晶体を生み出し、日本の共同体は、それらを継承発展させてきた。これらが、いわゆる日本の伝統的行動規範や信仰、文化を生み出す源になったのである。 また日本の共同体を守ってきたこれらの伝統的行動規範は、我々の先祖における人命を含む多大な犠牲によって産み出されたということを忘れてはならないだろう。

 日本人の性格特徴を形づくったもの その④ 折れず曲がらずよく切れる

 このような性格特徴を身につけた日本共同体という刀は、折れず、曲がらず、よく切れる、いわば伝家の宝刀であると同時に、使い方を誤れば、身を滅ぼす妖刀にもなりうるという経歴をもっている。
 それは例えば、われわれ日本人は極端から極端に走りやすい国民だと言われているが、日本人および日本の共同体における性格特徴の極端な両面性は、次のようなことである。「集団行動から孤立分断へ」「協調的から予定調和へ」「寛容から排他的へ」「正直さから隠蔽へ」「恩情的から功利的へ」「恥を知るから恥知らずへ」「自律から指示待ちへ」と挙げたら切がない程の極端な変容振りである。これらの両面性は、時代の変転により、明るい面から暗い面へ、またその逆へと極端に振れる傾向をもっている。これらの日本人における陽気な調和性と、その真反対とも言える陰気な攻撃性は、日本人における極端な行動の原因ともなっている。これらのことは、日本人における性格特徴である潔癖性および審美眼がもたらすものであると考えられ、これらはまさに日本列島の豊かな自然と苛酷な自然が織りなして作り上げてきたものであり、同じ性格特徴が持つ正の局面と負の局面の由来であろう。

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