とうとうやってきた成長神話の行き止まり

(かわせみ亭コラム#18)
 現在の我々のこれまでの状況を振り返ってみるに、現在までのやり方の延長線上には本当の解決は絶対にないだろうということが確信される。現在までのやり方である、経済拡大、経済成長以外に国家繁栄の道はないという成長神話に基づいた考え方および行動基準はもはや現在の閉塞状況の解決策にはなり得ないであろう。際限のない欲望に応えられる無尽蔵の資源はこの地球という星には存在しないのだから。地球の資源は有限であることは誰もが知っている道理である。それに対して際限なき人間の欲望に応え続けるという経済成長路線自体、最初から破綻する運命にあるものと言っても過言ではないであろう。「まだ大丈夫だろう」ではなく、「もうだめだ」なのである。
 我々が、これから成すべきことは欲の制御ということである。その手始めとして、まず不要不急なものを捨て、無駄をなくすことから始めなければならない。我々が本当に必要とするものは何かということについて、今こそ真剣に考えるべき時に至っているのではないだろうか。例えば、不要な物として、安いがすぐに故障するような物、不要な機能がたくさん付いている物、大型・大容量の物、今すぐは必要のない物、複数そろえる必要のない物、贅沢・華美な物、必要以上の物等などたくさんある。このような物を作り続けなければ繁栄を持続できないような繁栄は偽の繁栄であって、いつまでも続くものではない。もう何でもありの盛りだくさんで、高級機能という名の不要な機能や性能を追い続けるようなことは製造者も消費者もやめた方がよい。
 目指すべきは、安くはないが長期間故障しない物、必要な機能・性能のみを装備した物、適度な大きさに自由に変化できる物、すなわち簡素・質実剛健・長寿命・単機能特化・柔軟性・省資源などの特長を備えた、日常の簡素な生活に密着した妥当性の高い商品の開発・製造を日本の国土で日本人によって行うことに尽きるであろう。
 要点は、過度・華美に過ぎず、不足・貧弱どちらにもつかない妥当性の高いものの開発製造にシフトすべきであるということである。このような製品など日本にも世界にも余りないであろう。開発も困難を極めるであろう。価格競争に巻き込まれず、資源を無駄使いせず、簡単には真似ができず、本当に消費者に喜ばれ、人々の安心安全の役にたち、日本でしか創り出すことのできないものを目指すしか道はないと思う。みなさんどうでしょうか。

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