見出し画像

お元気で (28)

37年生きていれば大なり小なり「後悔」という経験がある。

悔いなく生きる、後悔しないように。と言葉で言うのは容易いが
それを中々実行できないのがある種の後悔にもなるのであろう。

今日、もう少し早く起きればよかったな。
も後悔であり
今日、ラーメン大盛りにしなければ良かったな。
も後悔である。

色んな場面、日々で後悔を感じる事があるが
その一つに人の訃報を知った時がある。

画像1

先日、入門当初から大変に良くしてくださった演芸関係者がお亡くなりになった。

二ツ目に昇進後も毎年お仕事を頂いてたし、
年齢的にも人生の大先輩であったが
ただただ色んな話をしてくださり聞いてくれた。

そして最後には必ず
「志の太郎さんはいいねー」と毎回褒めてもくださり
お世話になりっぱなしの方であった。

コロナ禍、そしてその方の体調があまり良くないというのは知っていたが
ここ2.3年中々お会いする機会もない日々が続いていた。

お亡くなりになる少し前、若手の寄席の楽屋で後輩と
「○○さん元気にされてるかな〜」などと話をしたばかりであった。

何故あの時に
メール1通、電話1本しなかったのだろうか。
こんなに連絡をしやすい世の中で、何故か不精になっている。

きっと心の中で、近いうちにまた会えるという考えもあったのだろう。

訃報を知り、コロナ禍ということもあり、通夜、葬儀はなかったのだが、
最後にお顔を拝見しお線香を上げられるとの連絡を受け、どうにかお別れを言う事ができた。

しかし、お顔を見た時に
なんで連絡しなかったのだろう
もっと色々な話をしたかったなと無念の思いが残った。

以前も書いたかもしれないが、会いたいと思う人にはやはり会った方がよい。
会えなかった、会えなくなった後ではかなり大きな後悔になる。

その事を詫びつつ。

あと「好きなの呑みなよ」と言われ、それを鵜呑みにした私が遠慮せず1番高い「獺祭」をボトルで注文した事を詫びつつ。

献杯をしてグラスを傾けながら心の中でその方と語り合った。

あっ。酒一滴も呑めない人だった。笑

ウーロン茶でやり直すか。

この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com