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えびっぷり (85)


!!ピュー!!ガシャーン!!ブリブリ!!ぺローン!!ドロドロ!!カーン!!ブリブリ!!バサー!!ピョン!!スポーン!!ブリブリ!!

 いかがだろう。読者の皆様はきっと、擬音を思いつくままに適当に並べてみただけだと思うかもしれないが、実はその通りである。これらはただ適当に擬音を並べただけである。なかでもブリブリを気に入り過ぎてしまい、多用するのを止められなかった。ブリブリ!!と書いただけなのに、何かを想像し勝手に脳が喜んでいるのだ。今時小学生男子でもこんな気持ちにならないのではないだろうか。ブリブリ!!音(”ぶりぶりおん”とする)を、現在進行形で聴いている訳ではないにも関わらず、ブリブリ!!音が頭の中に鳴り響く。おそらく記憶の中にある様々なブリブリ!!音が、何らか滑稽なものばかりであったからではなかろうか。その上で現実もさることながら、漫画や映画やアニメなどで鳴らされたあらゆるブリブリ!!音が、文字通り音を立てて脳内に響き渡っているのかもしれない。 筆者にとってはたまたまブリブリ!!音であったが、何を滑稽に思うかは人それぞれなのだろう。ブリブリ!!よりもシュポシュポ!!やピーヒョロ!!の方が好きという方も、多分にいるのだろう。 それにしてもだ。いつから海老はぷりぷりになったのだろうか。子供の頃海老を食べて、ぷりぷりだとは思わなかった気がする。一体いつからなのだ。気になったので適当に調べてみた。海老業界曰く、大手冷凍食品会社(何処だかわからない)のcmで使われて広まったのだそうだ。となるとぷりぷりの海老は冷凍食品の海老であり、新鮮な海老の表現としては正しくない可能性がある。考えてみるとお寿司の茹でた海老はぷりぷりではないし、生の海老はトロトロっとしている気がする。海老フライも特別ぷりぷりでもないし、言うなれば大きな海老の天ぷらなどはブリンブリン!!している。唯一ぷりぷりなのはエビチリなどの中華料理の海老だけではないだろうか。 海老通曰く、ぷりぷりの海老は保水剤なるもので、人工的にパンパンに膨らませた結果のものであり、本来の海老の食感は”ぎゅっぎゅっ”だそうだ。

 自らの考えと同調してくれるものが見つかるのは、不思議と嬉しいものである。それが海老業界や海老通となればなおさらのことである。これから海老の食レポを見たり、親兄弟姉妹配偶者などが、中華以外で海老を食べる際、ぷりぷりなどと擬音を発することもあるだろう。海老業界や海老通はぎゅっぎゅっだと教えてあげたくなるかもしれない。その時は決して押しつけずに優しく聞いてあげてほしい。その海老は本当にぷりぷりですか、と。


この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com